4章 能力革命の目覚め
私はこの建物の中で練習場と言われてる場所にいた。
「じゃあ、君。ここにある空き缶に向かってコイン投げてみて」
「君なら出来ると思うわ」
コイトスと七丘さんがそう言う。
「じゃあ、行きます」
そう言ってコインを飛ばすが、上に飛んでいくだけだった。
「はぁ……これじゃあ、力も何もアホなだけだわ」
少しイラつく。
「ここにモナコがいないのだから、今話してやってもいいんじゃないかな?あの話」
「そうね。あなたに今から彼女と谷本百合……王茂子子の話をしてあげるね」
「あっ、谷本さんで大丈夫です。お願いします」
「うん」
私は彼女にそう頼んだ。
「まずは谷本百合からの話から始めるわね。あなたが来る少し前に彼女はここにいたの。彼女が持っているコインは白だった」
「えっ?黒じゃないんですか?」
「あら、君も見たのね。そう、今は黒に変わったの。二つの名を持った証拠にね。まぁ、詳しいことは私もここにいる皆も神にあったことは無いわ。……でも近くにいる一匹を除いてね」
「せめて名前出して欲しいな。まぁ、記憶が消えて詳しくは話せないし、言わないけど」
「とにかく話を進めるわ。彼女はモナコちゃんが来てから妹のように彼女を育てたの。そして君たちのようにタッグ……とは言ってもまだ戦ったことはないわね。でも、彼女たちのタッグは昔でいう海賊のメアリー・リードとボン・アニーみたいな感じだった。しかし急に彼女はここに来なくなり引っ越してしまったの。引越したことも通知無しの居場所も分からない状況かな。ちなみに彼女のフォンフードもその引っ越す前日に机に置いてしまったの。そしてある時、ニュースで彼女が地域の子とかくれんぼしていたらしく、翌日に井戸の中で死んでしまったというわけよ。雨による水没したらしいわよ。そして彼女は神によって蘇生されたというコイトスからの報告が来て現在に至るわけよ。その蘇生の際に何らかの状況でコインも黒になったわけ」
「でもなぁ。まさかとは思うんだけど彼女は強くこの世界を真っ白に綺麗に事件をなくした世界にしたいって思ってたんだけど……まさかね」
「何よ、コイトス?」
「いや、別に……」
「あんな女なんて死んでしまって当然まし!!」
その声の主は……モナコちゃんだった。いつからここに来ていたのだろう。近くに来て二人分の缶コーヒーを持っていた。
「あんた、本当に口が悪くなるわね」
う言って彼女はモナコちゃんの頬を拳で殴る。唇から血が流れてる。
「昔に慕っていた女性をそんなにまで言うんじゃないよ」
「何よ、何も分からないくせにまし」
「分からないよ。でもずっと黙っていたけどさ。あんた、谷本さんを来させないようにした理由があるんじゃないの」
「どういうことだい。七丘」
「こいつはね……」
モナコちゃんは地面に持ってきた二つの缶コーヒーを叩きつける。
「モナコちゃん……?」
彼女は今までに見たことのない顔で七丘さんを睨みつけてその場を走って去ってしまった。
「あらあら、あんなカワイイ子があんな顔をしたら話す気力がなくなっちゃうじゃないの。まぁ、そういうわけで今は話せないわ。でも、これだけは言えるわ。死ということはこの団体に入った以上、軽く口にしてはいけない。あなたも覚えておきな。それとあの子は裏切ってない。あの子は彼女をどんな事しても守り抜きたいから強くなった。あなたも強くなって彼女を守りなさい」
「……」
「返事ぐらいしなさい。男でしょ?」
「はい!!」
そうだ……私はどんな事をしても彼女を守るんだ。昔の彼女たちの戦いに勝てるように。
「さて、彼女だけが教えるのは自分がここにいる意味がない気がするから教えてあげよう」
「あぁ、隠さず教えてくれ」
「まず、技名は長いければ長いほど強くなる。モナコが使った赤弓よりも君が使った雷銃弾の方が強いのはそのためだ。そしてコインの色によって火や雷を出すことも武器も異なってくる。さらには倉田双子のように違う能力が重なった時に新たな技を生み出せる天才もいる」
「あの二人、別々なの?」
「そうだね。モナコは火。君は雷。谷本は不明かな。亮は土。姫子はなんだっけ?何か怪しい技術で操るみたいな。七丘は水。大橋は植物系を。そして星野は浮く系を操るみたいな……」
なんで総長なのにこんなに技が怪しげなんだ。
「コイトスは?」
「僕かい?僕は……うーん……光も運も操れるから……うーん、天を操るかな?」
またもや、意味不明な解答か。
「ふーん、ありがとう。俺はもっと強くなるよ。今からでもね……雷龍殺し(サンダードラゴンキラー)」
「ほう。なかなかだ。まさか缶を焦がし上下に真っ二つとは……本当に君なら全て上手く行きそうだ」
私はこうして今日……明日……明後日……その次と日々訓練した。
平日も休日もここが開く限り練習した。
その間、モナコちゃんと七丘さんはあのまま不仲になっていた。もちろん、除け者はしなかった。モナコちゃんが七丘さんを無視する程度だった。七丘さんはお構い無しにモナコちゃんに話しかけてるが。
まさかあんなことがここで起きるとはこの時、誰が思っただろうか。