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俺、実家の手伝いをする  作者: くろのわーる


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第10話

 初めての手伝いから数日後。俺はだらけていた。


「アーサー様!アーサー様!」


 何やらマリアがうるさい。


「もうすぐお昼ですよ!早く起きてください!」


 言うが早いか、ベットにうずくまっていた俺の布団をマリアが無慈悲にも剥ぎ取っていく。


「マリアさんや後生です。後、少しだけ・・・ね?」


「さっきもその前も同じことを聞きましたよ!」


「(どうやら俺の睡眠もここまでのようだな)」


 観念した俺はベッドからはい出してマリアに着替えを手伝ってもらいながらお昼ご飯の為に広間へと向かった。


 広間には既に俺以外の家族、アリシア妃にレイナート兄上、そして母さんのテレサが席について待っていた。

 ちなみに父レオンはセントネル国境の砦で指揮をとっており、不在。もう一人の兄ヘクトールはまだ迷宮都市で修行中だ。


 昼食は賑やかに進み、もっぱら話題は先日に頑張った俺の話だ。


「本当にアーサーのおかげで財政が豊かになり、助かるよ」


「アーサーは凄いわね」


「私も誇らしいわ」


 みんなに褒められるととっても嬉しい。


「今回はリーゴのシーズンも終わり間近ということで量的には10分の1以下でしたけど、来年はもっと期待出来るでしょうね」


 なぬっ!?


 おもわず、食事していた俺の手がピタリと止まる。


 今、気のせいか兄の言葉の中に不穏な言葉が混じっていた気がする。


「アーサー、来年もよろしく頼むよ」


 兄は期待に満ちた笑顔を向けてくる。そんな笑顔を向けられては断れる訳がない。俺が女性だったら失神しているレベルの笑顔だ。


 しかし、ただ平然と受け入れる訳にはいかない。


「わかりました。ただ今回のことで色々と分かったこともあるので後でご相談させてください」


「そうだね。僕の方でもアーサーに相談したい事があるから食事が終わったら話し合おう」


 賑やかに昼食も終わり、約束通り兄と話し合う為に共に執務室へと移動する。


 部屋に入るとこの間と同じようにソファーに座るように薦められ、兄付きメイドさんがお茶を出してくれた。


 香りを楽しむようにお茶を一口含んだあと、優雅な所作でティーカップを置くと兄上が切り出してきた。


「さてと、先ずは僕から話させてもらうね」


 俺は何を言われるのか予想がつかず身構える。


「アーサー、そんなに身構えなくても大丈夫だよ。良い話だからね」


 兄の言葉を聞き、俺の体から力が抜けるのを見計らい兄が話し出した。


「アーサーがこの間、頑張って作ってくれたドライフルーツなんだけど、商人達や購入者に大変好評らしくてね。それでリーゴに限らず、他の果物でも出来ないかって話が出ているんだよ」


 ぶっちゃけ思いつきで作ったドライフルーツだったけどこの世界でも受け入れられたことに安堵する。


「アーサー、どうかな?他の果物でも出来そうかい?」


「試してみないとハッキリとは言えないですけど何種類かは出来ると思いますよ」


「それじゃあ、後日にも良い報告を待ってるよ。それとリーゴで果実酒は出来ないかな?果実酒が出来れば、特産品として他国に輸出してリーゴの知名度も上がると思うんだ。そうすれば、相乗効果でドライフルーツももっと売れると思うんだけど、どうかな?」


 さらなる販路拡大に売上アップを狙うとはさすがは兄上!


「分かりました。ちょうど、腐りかけでまだ処分してないリーゴが空間収納にあるのでそちらも試してみます」


「よろしく頼むね。僕からの話は以上だね。それでアーサーの相談っていうのはなんだい?」


 俺のターンがやってきました。


「はい。実は相談っていうのはドライフルーツ作りの増産と効率を上げる為に人を雇えないかなと思いまして・・・」


 俺ひとりでは疲れるし、面倒だし、楽をしたいから人を雇いたいとは間違っても本音は言わない。


「成る程・・・確かにアーサーだけに任せるのも今後のことを考えると問題だね。だけど、人を雇うにしても錬金術が使える人材となると・・・」


 実は魔法や錬金術を扱える人というのは貴重である。魔法を学ぶ為には魔法を使える人に弟子入りするか専門の機関で学ぶ必要があり、また個人で学ぼうにも魔法書は貴重で高価な為、一般人ではほとんど手が出せない品物なのである。


「兄上、そこは自分に考えがあります。」


 俺の考えとは自身の加護を使うことだ。俺の貰った加護、『地球神の加護』は配下ならば、俺が所持しているスキルをレベル1の状態で付与することが出来る。これを活用して俺の代わりに生産してくれる錬金術師を増産する予定だ。


「つきましては奴隷を購入したいんですけど・・・」


 この世界やナイトレイ王国には奴隷制度がある。借金のかたや税金が払えずに身を売るしかなくなってしまった通常奴隷と犯罪を犯して奴隷に落とされた犯罪奴隷の2種類の奴隷が存在する。


「それは城に仕える者達じゃなくて奴隷じゃないとダメなのかい?」


「ダメなことはないですけど錬金術を教えるのに際して成人を越えていると魔力の伸びが悪いと本に書いてありましたので子供の奴隷を購入してどうせなら一流に育てたいと思ったのと奴隷を使うことによって他国への術師の流出を防ぐことが出来て賃金も抑えることが出来ると考えたんですけど・・・ダメですか?」


 しばし、目を閉じて黙考した兄は笑顔に戻り話し始めた。


「アーサーの言うことにも一理あるね。ただ子供の奴隷を王家が無理に働かせるのは外聞が悪いから考えないといけないね」


「それでしたらこういうのはどうですか」


 俺は兄に奴隷の子供達に教育を施すことと週休2日制を提案し見事に受け入れられた。

 後にナイトレイ王国内において週休2日制度は広く受け入れられる事となる。


 話しもまとまり、執務室を後にした俺は兄に頼まれたことを実行する為に使用人に城下町でいくつかの果物を購入してくるように指示を出し、作業室で試してみたところ、城下町にある果物は全てドライフルーツにすることが出来た。ただし、リーゴに比べて割高になってしまうのは仕方のないことだろう。



◇◇◇◇



 それから数日が経った頃、まただらけた生活を送っていた俺の元へ奴隷達を住まわせる場所が確保出来たという報告が届き、報告を受けた俺はマリアと護衛の騎士を引き連れて奴隷商へと向かうのであった。



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