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第三話  Doctor's reasoning

「まさか・・・・・・ッ」

 天夜の声。

「片間さんッ!! なんということだッ!!」

 だが荷物検査を提案した新月が、一番驚いていた。

 それはそうだろう。だって検査を提案したのは新月。努力が報われなかったのだから、その顔も当然だ。

 新月は全員の方を向いて叫んだ。

「《裏切り者》さん!! よく聞いて下さい!!

貴方が二重人格というのが嘘だとしたら、貴方を呼んでいるのが分かる筈です!!

こんなデスゲームに参加したところで無意味です!!

早く正体を現して下さい!!」

 その声は裏切り者には届かなかった。やはり二重人格というのは本当らしい。

「でない、みたいですね・・・・・・」

 どんなときでも大声でハキハキと話していた新月が、突然声が小さくなって俯いた。

 皆もそれを見て落ち込み始めていた。一部の人はまだ落ち着いているが。

 でも俺は、あることに気付き始めていた。

 そもそも《裏切り者》は、どういう条件で人格を変え、タイムリミットでプレイヤー全員が眠っている間どうやって起き、どうやって寝て、人格を変えているのか。

 武器はどうやって入手しているのか。

 替えの服などを全て新月に燃やされた状況で、どうやってナイフで人を殺した時の返り血を防いでいるのか。

 そこが疑問点だった。

 だけど、《裏切り者》の本来の人格に一切気付かせない方法なんて、そんなに無い筈だ。

 例えば、本来の人格が睡眠を取ると人格が入れ替わり、《裏切り者》の人格に変わった上で人を殺し、《裏切り者》が睡眠を取ることで本来の人格に戻って目覚めるとか。

 ただ、武器と服――いやナイフが俺達を混乱させる為の偽装工作という可能性もあるが、そこまでは分からない。

 それを言うタイミングを伺いながら、俺は彼らを見続けた。

「おい新月コノ野郎! そもそもてめえがこの状況を仕切っている時点で怪しいんだよ!

てめえじゃねえのか!?」

「違いますよ!!」

 チンピラ口調のサッカー選手、(ニジ)(ハラ)(ケイ)(スケ)に反論する新月。

 このままではまずい。

「おい! 仲間割れしたところで状況は良くならない!

やめろよ二人とも!」

「んだよコラッ藍田! てめえは俺に教えを説くツラかコラ」

「そ、それは」

「冷静になって」

 少女の声。少し落ち着いてる。

 確か眼鏡を掛けた短髪の少女・緑間(ミドリマ)(アヤ)だった気がする。

「藍田君も言った筈だよ? こんなところで争いなんかしてる場合じゃないって。

これ以上殺させない為にも、どうするか考える必要があるね」

「そうだよ。皆は黒幕になんて負けない筈だよ?」

 天夜も緑間の意見に賛成した。

「そうだな。これからは少し動かないと言わず、調査をしよう」

 俺の提案で、いくつかに別れて皆が動き出した。

 何人かは先程死亡した片間の死体を調べ。

 何人かは武器が出そうな場所や隠し場所になりそうなところ、そして仮に返り血を浴びたとして洗い流せる場所を調べ。

 俺と天夜と緑間は、事件についての話し合いをしていた。

「俺が思うに、《裏切り者》は寝ることで人格交代出来ると思うんだ。

あと、あのナイフはフェイクだと思う。

返り血を浴びたとしてどこかで洗い流すにしても服は濡れると思うし、乾かすにしてもかなりの時間を要する。しかも返り血を防げるようなものも無い。でも俺達が寝ていたのは数十分くらいの出来事なのは天夜の腕時計で確認済みだから有り得ないしな。

まあそもそも睡眠ガスで眠っている間どうやって《裏切り者》だけ起きているのかが不明だけどな。

だから多分、返り血を浴びないように遠くから発砲で間違いないと思うぜ?」

「なるほどね。藍田君の推理は正しいと思うけど、確かめる術が無いのが辛いね。

気絶させて確かめようにも武器は全て燃やされてしまったし、スタンガンの類いも無い。

頭を殴ったりぶつけたりして気絶しようとするのは流石に痛そうだからお断りさせてもらうよ」

「となると、残された問題はあの傷が果たしてナイフによるものなのか別のものなのかが気になるよね。

私達の中にそういうのに詳しい人がいないのがちょっと辛いけど・・・・・・」

 俺も警察の司法解剖の様子を一度医学生時代に見たことはあるが、俺がやったわけではないので役には立てない。

「ところで藍田君って、検死とかは出来ないの?」

「出来ないな。検死は一度も自分でしたことはないし、そもそも道具が無い。

だけど近距離だと返り血を浴びる筈だから今のところ、

遠距離の線が濃厚かな。近距離の可能性もあのナイフがあることから、ないとは言い切れないし、20%くらいの確率で近距離攻撃による死だろう」

「かなり高めに考えてるんだね」

「次に死ぬのは俺達かも知れない。だからありそうな可能性は必ず考えておかなきゃいけない」

 因みに俺は、近距離である可能性は20%と言ったが、遠距離の可能性が80%かと言うと、そうではない。

 他の可能性もいくつか考えてある。あと三つくらい。

 一つは黒幕が殺した可能性――これは10%。

 二つはそもそも《裏切り者》が存在せず、プレイヤー以外――即ち黒幕側の誰かが殺した可能性が5%。

 三つは、これは有り得ないと考えているが、片間自身が何らかの理由で自殺。これが2%くらい。

 つまり、遠距離による殺害の可能性は63%。

 それ以外の可能性も十分考えられるが、今思いつくのはこれくらいだ。

「あ、藍田君。タイムリミットが」

「そろそろか」

 天夜が腕時計を見ながら言う。

 その内ガスが放射され、俺達は眠りについてしまった。

 

◇◇◇

 

「また、お前か」

 あの少女が、また現れた。

 制服姿で。俺も黒い詰襟を着ていた。

 また、少女は何かを呟く。

 雲に口が隠されるが、何とか分かったのは。

『た』と『う』。

 

◇◇◇

 

 俺が寝ている間にも、やはり一人死亡していた。

 死んだのは、神谷(カミヤ)恵美(メグミ)

 自意識過剰で口が悪かった、女性プレイヤーだ。

 片間の時と同じく、謎のナイフを突き刺されていた。


松野心夜です。そろそろバレンタインとテストがやってくるぜこの畜生な松野心夜です。

うがああああああああああああああああああああああああああ!!

まあソードアート・オンラインの映画やるしいいや。

今回は藍田がひたすら推理していく内容ですが、どれが真実かは皆さんが考えてみて下さい。

話が進んでいけば、藍田が考えた答えが正解かも知れないし、

もしかしたら意外な答えが正解の可能性もあります。

では、第四話もよろしくお願いします。次は氷のピアニストを更新するかもです。

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