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第一話 Death game for the second time

松野心夜です。汝は裏切り者なりや?2です!

前作よりも面白く分かりやすく書けるように頑張りますので、よろしくお願いします!

前作を読んだ方がより本作を楽しめますが、前作があまりに不評だったので、これのみでも読みやすいようにしておきます。

・・・・・・。

「誰が、こんなことをしたんだ?」

 目の前に、仰向けに倒れる少女。その地面には血溜まり。

 その状況を、俺は許せなかった。

 人間として、そして医者として。

 まだ、助かるのでは・・・・・・?

 そう思い、メスを取り出す俺。

 その手を、掴む者がいた。

「ダメだ。その少女を助けるというのかい?」

「当たり前だ!! 俺は研修中と言えど医者だ!!

医者が治さなければ、誰がこの子を助けるんだ!?」

 俺は腕を動かそうとする。掴む力も強くなった。

「残念だが、お前はその子を助けることはおろか、その手段たる手術すら出来んよ」

「何故だ!!」

 俺が振り向くと、そこには誰もおらず、何が何なのか分からないままブラックアウトした。

 

 チュン、チュンと小鳥が囀る音が耳を刺激する。

 朝日も、鉄格子の隙間から入って俺の体に・・・・・・。

 は? 鉄格子?

 俺はそれに気付いて、辺りを見回す。

 手入れのされていない便器。

 自分が寝ていた、如何にも質素なベッド。

 床や天井は真っ黒いコンクリート。

 入り口には鉄格子。

 ここって、まさか、牢屋!?

「うわああああああ!!」

 何をした!? 俺が何をした!?

 まさか知らない間に、俺は診察中とかに性犯罪とかでもやっちまったというのか!?

 生まれてからの二十三年、そんなことをした覚えは俺にない!!

 いや、でも妙だな、と俺はすぐに落ち着きを取り戻す。

 鉄格子の扉を引いてみる。鍵は掛かっておらず、そのまま開け閉めが可能だった。

 そして俺の服装を見ると、囚人服ではなく、白いシャツ。

 白衣もハンガーに掛けてある。

 俺はその白衣を、シャツの上から羽織った。

 その白衣のポケットに、ある物が入っていた。

 紙切れ。それを読んでみる。

『よく眠れたかな? 個室から出たまえ。

二階に行けば、全てが分かる』

 全て? 俺がここに囚われた理由もか?

「あの、君?」

 後ろから声。俺はその方向に振り向く。

「お前は、俺をここに閉じ込めた連中の仲間か?」

「大丈夫。僕も囚われていた側だよ」

 笑顔で言う少年。

 大人しい茶髪に、どこか女性的な青い瞳を持つ美形。ブレザーとか中性的な服を着れば似合いそうだが、彼が着ているのは詰襟。

 牢屋から出ると、その少年が左手を差し出す。

「よろしく、僕は北条(ホウジョウ)天夜(アマヤ)だよ」

 天夜というらしい少年の手を握る。華奢だが、その手は力強い。

「君は?」

「俺は、藍田(アイダ)(シロ)()。研修医」

「え、藍田君ってお医者さんなの? すごいね!!」

「と言っても研修医だから、まだ怪我の治療と執刀の助手くらいしか出来ないぞ」

「それでも心強いよ。じゃあ、行こうか。皆待っている筈だよ」

 皆?

 その言葉に疑問を感じたが、俺は天夜について行く。

 

 ロープを使い、二階まで上がる。

『集合場所』と書かれた張り紙が貼られた扉を、勢いよく開ける。

 そこには十人の人間がいた。

「お、おい・・・・・・」

「ん? アンタも囚われの身だった奴かい?」

 俺より少し年下そうな青年が、悠々と呟く。

「そうなんだけど、何の為に集められたんだ!?」

「知ってたらとっくに言ってるわ! この完璧美人のあたしですら、この状況は謎よ!!」

 さっきの青年と同じくらいの女性が答える。

「あ、あの私にも分からないです・・・・・・」

 こっちはちょっと臆病そうな、もの凄く年下そうな小柄な少女の声。

「何が始まるんだ?」

 天井の一部が外れ、裏側をこちらに向けた。

 それはモニターだ。『Sound Only』と表示され、金属質な音がスピーカーから流れた。

『皆様、ゲーム会場へようこそ』

 ゲーム?

『私がゲームマスターの、ムラマサと申します。

今から皆様には、己の命を賭けてゲームをしてもらいます』

「おい! それってどういう意味だゴルァ!!」

 サッカー選手の格好をした男が叫ぶ。

『平たく言えば、貴方達に殺し合いをして欲しいのです』

「こ、殺し合いですかぁ!?」

 さっきの小柄な少女が、怯えながら言う。

『ただし、ただの殺し合いではありません。

貴方方の中にいらっしゃる、装置によって殺人鬼の人格を有した二重人格者、このゲームでは《裏切り者》と呼ばれる者を探し出して殺すゲームです。

ですが、その《裏切り者》は、その人自身でも分かりません。

それでは、このデスゲームについてご理解いただくため、こちらの映像をご覧下さい』

『Sound Only』の字が消滅し、映像が映し出される。

『デスゲームのルール。

開始前に予め一人の脳に、殺人鬼の人格を強制入力(インストール)し、一般プレイヤーの中に混ぜます。

そのプレイヤー、通称《裏切り者》の人格は、タイムリミットで、本人の人格と交代します。

記憶は一切引き継がない為、《裏切り者》の正体を知るのは、GMのみです。

《裏切り者》はタイムリミットでプレイヤーが眠っている間に覚醒し、誰か一人を殺します。

《裏切り者》の襲撃で一般プレイヤーが全滅した場合、《裏切り者》には特別賞金一億円を手に入れることが出来、この牢獄から脱出することが出来ます。勿論《裏切り者》の人格をデリートしてからの退場となります。

一方、全滅する前に《裏切り者》を見つけ出し殺害した場合、一般プレイヤー側の勝利の勝利とし、そのまま退場してもらいます。

因みに、《裏切り者》を殺害した時生き残ったプレイヤーが一人だった場合、そのプレイヤーに特別賞金として一億円を与えられます。

ただし、禁止事項がいくつかございます。

タイムリミットで睡眠ガスを吸っても眠らない、一時間以内に一人の人間が殺せる人数である一人以下を無視などの行動をした場合、ルール違反としてGMが処刑させていただきます。

以上がルールです』

 映像が消え、再び『Sound Only』の文字。

『理解していただけましたか? これがゲームのルールです』

「ふざけるな!! 俺はそんな殺し合いなんてしない!!」

『ルールに従えなければ、藍田白世様、貴方が私に処刑されるだけです』

 黒幕の答えはシンプルだった。だからこそ、逆らう力を失った。

 俺は医者としてこんな状況が許せなかった。

 本来、人の命を救うべき立場の医者が人の命を奪わなければならない状況。しかも俺が《裏切り者》なら、俺の意思にかかわらず、俺の体を使って殺人鬼が誰かを殺す。

 そう思うと、とても辛い。

『それでは、ゲームを開始します』

 映像が途切れ、天井にモニターが引っ込んだ。

 皆、驚きを隠せない様子だった。

 当たり前だ。自分が裏切り者かも知れない。

 そんな状況で保っていられる方が、むしろ不自然だ。

 だけど俺は殺さない。何があっても。


前書きから飛んできた松野心夜です。どうだったでしょうか。

今回の主人公は研修医、つまり医者ですね。

医者がデスゲームに参加したら何を思うのか、と思って書きました。

今回は前作のVRの世界とは違い、アビリティなども存在せず、現実の命を使って牢獄で戦います。

よって裏切り者も、前作と比べるとちょっと弱体化していますが、すみません。

次回も、お楽しみに!

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