光葬
(光はすぐに消えてしまうように、私も貴方の記憶から消えてしまいたい)
貴方にとって、私とはどのような存在だったのでしょうか?
「愛してるよ、勿論愛してるよ!君がなくなったら僕がどんなに悲しむか!」
私は、貴方の泣き顔なんて見たくは無いは。
「うん、じゃあ死ぬなよ、死なないでくれ!僕の前からいなくならないでくれ!」
‥‥‥ごめんなさい。それは、やっぱり出来ないみたい。
「なんでだよ!‥‥‥なんで‥‥‥。」
だって、私の身体はもうもたないみたいなの。人間の身体とは脆いものね。‥‥ねぇ、貴方が悲しまないように、私は貴方に一つだけおまじないを架けていくは。それで、貴方は泣かなくてすむもの。‥‥そして、それは私の願いでもあるから。
「‥‥あれ、お前。」
彼は一人、部屋の真ん中に置いてある椅子に座っていた。
「どうしたんだよ!彼女の葬式だろ?言ってやんないのかよ‥‥?」
彼の手には、彼女が『いるはずだった』の写真が握られていた。その写真には、笑顔で写っている彼しかいなかった。‥‥彼の記憶のように‥‥。
「‥‥‥なぁ、彼女って‥‥誰?」
彼は、一筋の涙を流していた。
(記憶は無いのに、悲しいのは身体が覚えているからなのですね。嗚呼、やはり人間とは愚かで醜い生き物だ。)