表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/22

7. ゲームの中の、


「恨、み……?」


恨み、恨み。…恨み。

ああ、なんて単純なワードなんだろう。

なんでたった3音にこんなに動揺してるんだろう。

嫌だと思った。聞きたくなかった。

だって確かに俺は酷いことを言って、あのテツを泣かせたわけだから。

思い出したくなんかなかった。

毎日つまらないなと思いながら過ごす平凡な日々に、もう既にテツの影はなかった。

だから、なんで、なんで今さら?

もうとっくに時効だと思っていた。


「多分お兄ちゃんにも心当たりがあると思うけど、ずっと恨んでるよ」


「ずっとって、」


いつから?


聞こうとして、やめた。

分かりきってるから。

あの時からの恨みなら相当積もり積もったやつだなあ、なんてぼんやり思った。

いや、それも気になるけど、それよりもなんで緑里が全てを知っているかのように語るかの方が不思議だった。

前世で見たって、一体どんな前世を送ってきたんだろう?

今と同じような感じなら、とてもじゃないけど来世のことなんか予測できそうもない。

不思議だった。分からなかった。

テツとは子供の時くらいしか面識のない緑里の口からアイツの名前が出てくるのは。


「お兄ちゃん、自覚してほしいの」


「何をだよ」


「黒島 哲平は、傷ついてる」


「、っ」


「お兄ちゃんが知らない顔すればするほど、誤魔化せば誤魔化すほど傷ついて、それが恨みに変わっていくの。

さっきの様子を見る限りじゃ何が原因かは分かってる、ってことでいいんだよね…?」


知られている、と思った。

誤魔化せないと、 理解した。

誤魔化したいわけじゃないけど、緑里には知ってほしくなかった。理想の兄でいたいと思っていた。

少し間が空いたけど、頷いた。

原因は分かってる。傷つけたことも、知ってる。

でも、まだ謝れてない。


「よかった…。ゲーム観てた分にはもっと冷たくて、黒島 哲平のこと毛嫌いしてた感じだったから」


「…ゲーム?」


「お兄ちゃんが私の知ってるお兄ちゃんでよかった」


緊張したような面持ちをようやく崩して、にっこりと笑う。

愛らしい笑顔を見て、不可解な気持ちになった。


ゲームって、なに?


全てを知っている。

何度目かに感じたその態度に初めてゾッとした。



お前、本当に緑里なの?



声にならない疑問が降ってきた。




閲覧ありがとうございます。

更新に随分間が空いてしまいました。すみません。


次回の更新は8話が短いので、8.9話連続投稿となります。

既に予約済みなので、大丈夫…なはず!

明日の夜9時です。

また読んでいただけると嬉しいです。

中々話が進まなくて滝汗です。


20150510 夏野 五朗


※すみません、名前間違えてました。夏野 優奈→夏野 五朗です。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
web拍手
→頂けますと大変励みになります。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ