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18・隠しキャラは肩身が狭い


頭を抱えて、緑里は大きくため息を吐き出した。


「どうしたら……、どうしたら……、」


「……緑里、そんな深刻に考えなくってもさ、ほら、本当に俺が死ぬかなんて分かんないじゃん」


「っそんなこと言うけど!そんな、そんな簡単に言うけどさ!

もし殺されちゃったらどうするの!?お兄ちゃんは私が殺されるかもしれないってときに、そんな風に思ってられるの!?」


あまりの剣幕に息を呑んだ。

緑里は本当に大人しい子だった。

父さんが生きていた頃はとても活発だったから、もしかしたらずっと我慢してきていたのかもしれない。

昨日は別人のように感じたというのに、今ははっきりと緑里だと思った。

何故だろう。だけど、ポロリと落ちた涙の美しさは、俺を想う妹にしか流せないものだと思った。


「ごめん、緑里。その、……言い訳もできないけど、でも、俺も死にたくないし、まだ死ねないよ。緑里1人じゃなくて、2人でもっかい考えよう」


「……うん。ごめん、大きな声出して」


「それは全然大丈夫。えっと、とりあえず緑里の知ってることを教えてくれる?」



緑里の話ではこうだ。

6月の梅雨の時期に転校してきた主人公は共通ルートを終え、夏休みに入る段階で個別ルートに移るらしい。

尚攻略サイトによると、個別ルートは他の攻略キャラとの絡みもあるが、ルートに入った以上リセットかエンドしない限りそのキャラしか攻略できないらしい。

それからメイン攻略対象者は赤川先輩らしく、スチル数が断トツで多いらしい。ちなみにスチルというのは、キャラクターの生写真?みたいなものらしい。人気なキャラほど多く、隠しキャラは少ないらしい。

そして「愛の証明」イベントが起こるのは、2学期が始まってかららしく、具体的な時期は分からないらしい。

「愛の証明」イベントの段階では、テツは主人公に友情しか抱いておらず、このイベントで恋愛に切り替わっていくらしい。……複雑だ。

ちなみにこのイベントまでは俺は一切登場しなかったらしい。


「……なるほどなぁ」


「あ、それから隠しキャラなんだけど、」


「あぁ、先生だっけ」


「うん、先生もなんだけど、お兄ちゃんも隠しキャラなんだよね」


「……んん?」


どゆこと?

俺はばっちり名前に色が……、って、それは先生もか。

いや、でも、隠しキャラって2人もいるもんなの?レア感薄れない?


「先生はサポートキャラだけど、条件を満たしたら攻略ができる隠しキャラで、お兄ちゃんの場合はある条件を満たさなきゃ登場しないっていう隠しキャラなの」


「へー、じゃあかなりのモブじゃん」


「んー、でも人気もあるからモブとも言いにくいんだけど」


「え、俺人気あるの?やった」


ジロリと睨まれた。や、ふざけてる場合じゃないのも分かるんだけど。ちょっと嬉しかったというか。


「えーと、その、あ、そうだ!俺が登場する条件ってなんなの?」


強引に話変えすぎただろうか。

いや、でも、本当に気になるところだし。


「……それが、分からないの」


「え?」


「ネットでは、ストーリー進めたら自然と出てくる青山 雅ルートか黒島 哲平ルートじゃないかって言われてるけど、そういうの詳しく調べる前にやめちゃったから」


「あー……、なるほど」


「黒島 哲平ルートでお兄ちゃんは確実に死ぬわけだから、青山 雅ルートも安全とは言えないし、先輩ズのどっちかのルートだったら助かったんだろうなとは思ってたんだけど」


「ちなみになんで俺ってテツルートだと確実に死ぬの?ストーリーとして絶対なの?」


「うん。一応選択肢はあるんだけど、その選択もどういう殺し方にするかってもので」


「……、」


聞かなきゃよかった。

どんだけ殺したいんだよ。

作った奴、絶対俺のこと嫌いだろ。出番も少ないし。


「ちなみにその選択肢が、完全犯罪殺人と残虐殺人と事故に見せかけてってのがあったよ」


「……緑里は何選んだの?」


「……事故に見せかけて」


ものすごく気まずそうな緑里の顔が少し笑える。

俺を見て昨日の緑里ではない誰かは怯えていたが、それはよっぽどトラウマになるような殺し方でもしたんだろう。

……ゲームの世界とは言え、結構酷いな。


「あ、それでね、お兄ちゃん」


「なに?」


「私は多分ライバルキャラだと思うの」


「……えーと、誰が?」


「私が」


「……、」


「多分だけどね。お兄ちゃんルートでのライバルだと思う。

前の私って、自分で言うのもなんだけど、盲目的にお兄ちゃんのこと好きだったし、お兄ちゃんのこと盗られるって思ったら物凄く殺意が湧いてたから」


「え、さ、殺意?」


「そう、殺意。黒島 哲平、……いや、てっぺー君のことも大嫌いだったから」


「え!?そうなの!?あんななついてたのに!」


小さい頃テツが緑里を気にかけて、面倒を見てる姿は俺にはつまらないことだったのはよく覚えている。

だから、何度か緑里を置いて遊びに行ったこともあった。

緑里も緑里で、テツのことを第二のお兄ちゃんのようにして甘えていたはずだ。


「それはお父さんが生きてる間の話だよ。

お父さんが死んでから、お兄ちゃんまでいなくなったらどうしようって思ったら、他なんてどうでもよくなって、そしたらお兄ちゃんが興味持つもの全部が憎く感じるようになって」


全部初耳である。

ブラコンだブラコンだとは思っていたが、まさかここまでとは思っていなかった。


「だから、私に主人公を近づけるのって、すごく危険なことだと思う。お兄ちゃんルートに入るタイミングが分からないから、特にそこは気を付けてほしい」


「要するに主人公と俺が親しくならなきゃいいってこと?」


「うーん、それはそうなんだけど、学校でのことは私はよく分からないし、主人公に私のこと話したり、主人公を家に連れてきたり、学校の外で会ったりしなかったらまず大丈夫だと思う」


「分かった。気を付ける。ちなみに緑里は、今でも俺に執着してんの?」


「……、」


スッと目を逸らされた。

流石に殺したりはしないだろうが、自分の妹が怖くなった瞬間である。




こんばんは。

昨日書き忘れてたんですが、黄先輩。

「おうに」と読みます。

普通に「こう」って苗字にすればよかったんですが、もはや遅いという。

最近黄さんに出会ったんです。ショック。

黄丹色ってあるんですね。

黄色の意味だったんですが、オレンジっぽさが足されてしまってあわわとなっております。

今となってはオレンジっぽい金髪で押し通すしかないなと思ってます。

自分の調査不足。……ごめんなさい。

灰見沢先生と若干オレンジでかぶりますが、まあそれはそれということにしておきます。



閲覧ありがとうございました。

明日もよろしくお願いします。


20160319




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