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15・思い出すということ


ふっと自分の中に昨日の緑里の言葉がよみがえる。


「パレットde恋しよっ~カラフルレボリューション~という乙女ゲームがあってね、」


深刻な顔して変なこというもんだから、思わず噴き出しそうになって堪えた微妙な顔に、緑里は苦笑した。

前なら頬っぺた膨らませてたのにな、と思うのはやっぱりまだ受け入れきれてないんだろう。

ただ問題はそこではなく、今重要なのはゲームタイトルである。

緑里は名前か苗字に「色」の入った人を探すように言った。

そして、雅はそれを「カラーネーム」と表現した。

青や藍、赤や朱や珊瑚、似ている色はあるけど、同じ色はない。

ふと思ったのが、ゲームタイトルの「カラフル」は俺たちキャラクターのことではないのだろうか?

それから緑里が色の名前を持つ人物ではなく、転校生として扱った彼女はキーパーソンなのではないのだろうか?

タイトルに入る「パレット」に気にはなっていたが、この学校は特に美術部が有名なわけでもない。

そんなときに絵筆という苗字を聞いて、ピンときた。

もしかして絵筆って、書き手という意味ではなかろうか。

しかし一方で、彼女自身も桜色というカラーの持ち主である。

ちんぷんかんぷん過ぎて、訳が分からない。

多分カラフルなのは俺たちで間違いない。そのレボリューション……、革命、……わからん。

恋愛シチュエーションゲームなんだから、恋愛はするんだろうけど。


「なぁ、藍」


「……ん?」


一人うんうんと唸るように考えていると、雅は感情の読めない表情で、そして決して俺を見ずに言った。


「俺、正直後悔してんだよね」


「なにを?」


「……あのとき、」


「?」


「あのとき、藍とてっぺーのこと、放置しちゃったこと」


「……、」


「すぐ仲直りするだろうと思ってたけど、未だにてっぺーは俺らのこと避けてるし」


避けられてるのは知らなかった。

すぐに仲直りするかなんて、自分でも分からなかった。

知らない、分からない、そんな無知な俺が生んだ埋めようもない亀裂は雅さえも巻き込んでいる。

雅は喧嘩は好まないタイプで、中学から今に至るまで一度も喧嘩してこなかった。

反対に俺とテツはしょっちゅう喧嘩してたから、多分雅にはいつもの喧嘩に見えたんだと思う。

雅が悪いことなんて1つもない。1つもない、のに。


『もう俺にも雅にも近づくな!』


テツは律儀だった。

決して俺にも、雅にも近寄らなかった。

……ダメだ。昨日からテツのことを何度も何度も思い出してるせいで、少しずつ喉を締められているような、ゆっくりゆっくり息ができなくなってきている。

苦しい、苦い、いやだ、ごめん、もう忘れさせてほしい。

あんな言葉を吐いたのは俺じゃないと言ってほしい。

無知だった。あまりにも知らなさすぎた。

男が男を好きになるということを受け入れられなかった。


『黒島 哲平は、お兄ちゃんに強い恨みを持っているの』



それは、俺の罪だった。





思い出すということ

苦しみが追いかけてくる


こんばんは。

タイトル困り始めました。

なんせ展開がゆっかりだから、内容もかぶってきて、前の続きと思うと前のタイトル引き継ぎたくなるんですよ。

もう前のタイトル忘れちゃったんですけどね。

テツとラン。二人が会話するまでに何話あるんでしょうね。

25日更新分ではようやく、……って思いっきりネタバレですね。失礼しました。


閲覧ありがとうございました。

明日もよろしくお願いします。


20160319



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