13. 俺たちの共通点
自信満々だとでも言いたげに、雅はニカリと笑った。
リストなる紙を見ても、正直何か面白いと思えるようなことはない。
ただ本当に美男美女集めたなぁ、って感じ。
あ、さりげなく男の欄に雅が入ってる。
このニブチンも一応は自分がイケメンだって自覚はしてんだな。
あとは俺も入ってる。なんかちょっと嬉しいかも。
他には赤川先輩と灰見沢先生、それとテツ。
黄丹 涼、って誰だ?つーか、なんて読むんだろ。
女の欄では遠目に見たことあるくらいの子が多かった。
大抵噂になるような美女で、知らない名前もある。
話したことあるのは、サンゴくらいか。
全部で9の名前の羅列を見ながら、そう考えた。
「面白いことってなんだ?考えたけど、わかんねえや」
「ふっふふーん、よく聞いてよー?」
紙を指差していた手が頭へと移動し、そして髪を摘まんで言う。
「俺って、青髪でしょ?でしょ!?」
「え、うん?え、それがどうした?」
「もう!鈍いなぁ。
ここに名前ある奴はさ、どこかしらに絶対自分の色を取り込んでんだよ!」
「取り込む?」
「ほら!藍なら、髪でしょ?サンゴちゃんなら眼鏡!」
「……、」
…あ。
そう言われてみれば、そうかもしれない。
俺と雅は意図的としても、皆どこかしらに"色"が入っている。
赤川先輩ならその赤茶色の髪、テツは黒髪だし、私服も黒が多かったはずだ。
灰見沢先生はグレーのスーツを着ているし、ああ、ここから推測するに、黄丹って人はあの金髪先輩なのかもしれない。
女の方もそうだ。思い出せる限りそうであったはずだ。
例えば制服のリボンが一人だけ色が違うあの子もそうだし、校則違反のカラコンをしていた後輩もそうだ。
何かしら入っている。
そう思うと、急にゾッとしてきた。
乙女ゲームなるものをスマホで調べたときに、どいつもこいつもカラフルだったり、一見目に優しい色でも、プロフィールには"イメージカラー"なるものがあった。
つまり、なんだかこれは、非常に、ゲームらしいのだ。
「ね、すごいでしょ!俺ってば天才かも!?」
「……、」
「藍?らーん?」
本当の、本当に、ここは乙女ゲームの世界、なのか…?
そうだ!転校生!
あの子のポジションはなんなんだろう?
とにかく確認してこいって緑里に言われたんだから、聞く必要がある。
「あのさ、雅」
「ん?」
「もう一つ聞きたいんだけど」
「いーよ。なんでもきーて?」
「今年の春に、さ。転校してきた子いたじゃん?」
「ん?美桜ちゃんのこと?」
「あ、うん、それ」
女に対して簡単に名前呼びできるところがたらしっぽい。
俺はサンゴと緑里しか名前で呼ばないしな、うん。
そもそも男女問わず名前呼びが少ない。
「美桜ちゃんがどったの?」
「や、どんな子かなって」
「…ふーん?珍しいね、藍が女の子の話するなんて。
まあいい子だよ、隣のクラスだし、また覗いてみなよー」
「分かるかな」
「あー、じゃあいたら教えてあげるね」
「何から何まで悪いな、ありがと」
「いえいえ~!
でも本当、何企んでんだろーね、俺の相方さんは」
「内緒だ、内緒」
ちょっと拗ねたような雅は、可愛い感じがする。
こういうところが女の母性本能ってやつをくすぐるんだろう。
そのあと、二人してチャイムが鳴った瞬間猛ダッシュで教室を移動した。
次の先生はネチネチ、ネチくらい先生なのだ。
遅刻したら最悪だ!
閲覧ありがとうございました!
次回更新は…、再び未定です!すみません!
出来るだけ早く頑張りたいです!
次はてっぺーさん、遂に現れるか…!?
実は夏野は乙女ゲームをしたことがありません。
おいおいと突っ込みたいわたしです。
が、しかし。
お友だちが乙女ゲームが好きなので、ちょこちょこ調査を行っています。
するとですね、お友だちの筆箱が乙女ゲームのグッズだったりとお洒落なものが多くて驚いてます!
あとイメージカラーとかもあるんですね!色を見て喜んでる子がいたので、面白かったです。
そんなこんなでイメージカラーが出てきましたー!!
藍色はランランカラーです!わたしの好きな色です!
ではでは、失礼しました***
20150529 夏野 五朗