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11. 高校生活日常


今日緑里は学校を休んでいる。

一時は下がっていた熱も再びぶり返してしまったのだ。

看病してやりたいと思ったけど、一人で平気だという緑里に家を追い出されてしまった。

昨日は昨日で、結局緑里は体力の限界であれ以上の説明は受けていない。

ただ今朝家を出るときに、転校生の様子を見てほしいと頼まれた。

そして苗字に色の入ってるイケメンの確認と、名前に色の入ってる美人、もしくはかわいい子の確認、そして苗字と名前に色の入る人間をチェックしてきてほしいとも言われた。

名前は雅に聞けば大体分かるだろう。目立ってる奴なら学年問わず顔見知りみたいだし。


「藍クン、藍クン」


「っへ?」


「へ?だってー!藍クン、かわいー!」


「…おま、サンゴ、人が考え事してるときに驚かすなよ!」


「だって藍クンが珍しく怖い顔してるんだもん、気になるじゃん」


怖い、顔…?

ニコニコと笑うサンゴを見てると、急に力が抜けた。

怖い顔、かー。確かに小難しいこと考えてたしなあ。

なんかサンゴって癒し系だなあ。


「あ、そだ!妹チャン、ネックレス喜んでくれたぁ?」


「えっ、あ、お、おう…」


や、あれのせいで今意味分からんことになってるんだけども。

ただ助言をくれたのはサンゴなだけに、いや、サンゴじゃなくてもこんなこと人には言えないか…。


サンゴ、湯川 珊瑚は同じクラスの友達だ。

女友達とかサンゴだけと言っても過言ではないだろう。

一直線に整った前髪に薄いピンクのメガネ、いつも2つに髪を縛ったサンゴはどっからどう見ても真面目っ子。

の、はずが、どうも緩い。意外と頭も良くない。

高1から同じクラスで、夏休み前に英語の授業でやった小テストが15点満点中1点しかとれなかったという強者で、そのテストをサンゴが落として俺が拾ったというのが出会いだった。

こんな明らか大人しそうな子がここまではっちゃけるとは思わなかったし、しかも一番びっくりなのはあの赤川先輩の義理の妹であるということだ。

その事実は目立つのが嫌らしく、皆には内緒にしているらしい。


「よかったぁ、藍クンの愛しの妹君に喜んでもらえてー」


「妹君って、お前ね」


「藍クンってシスコンだし、下手なモン贈ったらアタシがぶっ飛ばされるかなぁって思ってたー!」


「んなことしねーし!!つーか、シスコンゆーな!」


「えー、シスコンじゃん?まあまたさ、会わせてよ、妹チャンに」


「…それは、別に、いいけど」


一瞬大丈夫かとも心配になったけど、そもそもサンゴは緑里のことを知らないわけだし、なんかやけに真面目というか礼儀正しくなっちゃったから問題ないかと思い直した。


「あっれれー、サンゴちゃんじゃん!」


「…雅、」


「雅クン!!」


ぽっとサンゴの頬っぺたがりんご色に変わる。

こういうとこは可愛いと思う。恋する乙女、ね。


「まぁた二人一緒とかほんとあやしー!マジでお前ら付き合ってねーの?」


「ないよ、ないない!藍クンみたいなヘタレ、アタシ絶対やだもん!」


「ヘタレって、サンゴ、お前ね!」


「だってそうじゃん!藍クンって超草食系じゃん!アタシ、肉食系がいいから!」


とか言うお前が肉食すぎて、肉食男子とは馬が合いそうにないけども。

つーか、雅も別に肉食ってわけでもねーだろ。

なんて内心色々思いつつ、口に出せない俺ってやっぱ弱気なんだろうか…。

や、言うときは言うし、やるときはやる男だよ!俺は!!


「あははっ、仲いーね、二人とも。

藍も顔色良くなったし、雅くん、あんしーんみたいな!」


「、るせー」


「藍クン、態度わるーい」


サンゴと雅はちょっと似てると思う。

だからか、二人揃うとちょっと鬱陶しい。

ええ、毎日いじめられてますとも。酷い話だぜ、全く。


「あ、そうだ、雅」


「んー?」


「あのさ、名前と苗字に色入ってる美男美女教えてほしいんだけど」


「はぁ?」


我ながら意味不明…。

でもこれ以外に言いようがない、ってか思いつかねーし!!


「いいから、教えろって!」


「藍、超意味不明なんだけどー。

んまあ、あれなの?色ってのは、俺とか藍みたいな感じ??」


「そうそう!それの美男美女!」


「美男美女ねー…あ」


「誰!?」


「サンゴちゃんは?」


「へ?」


「っえ、あ、アタシ!?」


「珊瑚色ってゆうじゃん?それにサンゴちゃん可愛いし」


「か、可愛いって」


ぼん、と湯気でも出そうなくらい真っ赤っか。

雅ってマジ天然たらしすぎんだろ…。

この手の技で雅に惚れた女は数知れず。

ただ雅の場合、天然で皆に言っちゃうし、明確に友達扱いされていることもあって、告白をする子は多くはない。

雅を好きな子は大体謙虚な子が多いからなぁ。

…あーもう。なんでここでテツの顔を思い出すんだろう。

ずっと口も利いてないどころか、中2のときから俺の中のテツは成長してないっていうのに。

アイツも、謙虚、なのかな。…不器用ではあったけど。



「もう!雅クンの馬鹿!!サイテー!!」


「えええ、な、なんで怒ってんの、サンゴちゃん!?」


ぼーっと感傷に浸っている間に、どうやら仲間割れしたらしい。

しめしめ、いつもの仕返しをしてやるチャンスだ!と思ったら、マジで怒ってるらしいサンゴは教室を出ていってしまった。


「…雅、何したの?」


「わ、分かんない、お、俺なんか変なこと言ったかな!?どうしよ!?サンゴちゃんめっちゃ怒ってるよ!!」


あわあわ、って感じ。

漫画で焦ったときに汗のマークがあちこちに飛ぶけど、まさにそんな感じ。

雅って顔とか雰囲気とかで、全部感情漏れてるから、喋る必要ないよなって時々思うんだよね、俺。

そんなこんなでチャイムが鳴ってしまった。

あ、結局名前聞き出せなかった!





閲覧ありがとうございました!

次回更新は30日土曜日の午後9時になります!

金曜日からの週末まとめ更新日でした。日曜まで続きます。


サンゴちゃん出てきました。

短編では出せなかった女の子ですね!

赤くんの義理の妹ちゃんですが、苗字は旧姓のままです。


拍手ありがとうございます!

いただいたコメントは活動報告にて返信させていただきます。



20150528 夏野 五朗




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