変貌
神奈子の口調が難しい。茨歌仙とか原作の台詞見る限りだとこんな感じだけど、諏訪子とかぶる。
酒を持っていった竜也に酔っ払い(鬼と蛇)が絡んだりしたが、龍神祭の四日目は何事もなく終わった。
「「――とでも思ったか?」」
「「え?」」
神奈子と諏訪子が酒ビンを抱えたままそんなことを言い、竜也と早苗が驚きの声を上げた。
「お昼は催す側だったから遊べなかったけど、夜はそうはいかないわ!」
「今夜は派手に飲むわよー!」
おおー! と派手に酒を掲げながら二人は叫ぶ。
だがそんな二人を竜也は呆れた目で見ながら言う。
「……お昼の時もお客さんに紛れて散々飲んでましたよね? そもそも出し物が『外の世界の酒』ってなんなんですかこれ?」
「そりゃあ、外の世界のお酒はこっちでは珍しいからね。そして竜也、私たちが昼散々飲んだと言ったけど、それはここにある外の酒よ」
「つまり! 龍神祭そのものを楽しんだわけではないのよ!」
「……ええー? なんですかその理論。というかもう夜なんですけど、寝なくていいんですか?」
「私たち神様に睡眠は不要よ。……食事も不要だとか言っちゃ駄目よ? これは娯楽なんだから」
二人はそう言うと酒ビンを抱えたまま歩き去ってしまう。
「……どうしましょうか?」
「どうしましょうね?」
周りを見てみると大半が妖怪で、人間がいてもベロンベロンに酔っ払っている。というか妖怪でも酔っ払っていない人の方が少なく、竜也と早苗はかなり浮いていた。
「竜也さんはどうしたんですか?」
「……んー」
早苗の問いに竜也は悩むように頭を掻き、少ししてから口を開く。
「……せっかくですし、少し回ってから帰りましょうか」
「それじゃあそうしましょうか」
ひとまず、二人は今いる場所から移動することにした。周りが酔っ払いばかりで、はっきり言って落ち着かない。
里の中心の方が騒がしくなっているので、そこから離れるようにして移動する。
歩きながら竜也がげんなりしたように言う。
「しかし、この四日間ずっと騒いでましたね。よくもまあこんなテンションが五日も続きますよ」
「あ、五日目は今日のテンションとは皆さん真逆ですよ」
「そりゃまたなんでですか?」
「明日の龍神祭は龍神様に一年の感謝を伝える日になっているんですよ。明日は一日中儀式のようなことをするので屋台も出ませんし、弾幕ごっこも喧嘩もなしです」
「へー……このテンションの高さが急に消えるのはあまり想像できないんですが」
「まあ、皆さんオンオフの切り替えはできますから。だからこそスペルカードルールで異変解決ができるんでしょうけど」
「……異変、か」
竜也は一瞬足を止めかけ、すぐに何事もなかったかのように歩き出し、屋台の一つを指差す。
「あ、焼き牛が売って……ってデカッ!? なんですかあれ!? なんで綿アメみたいな感じに牛肉の塊が串に刺さってるんですか!?」
「あー、あれは一人で食べるものじゃありませんよ? 家に持って帰って切り分けて食べる物です」
「まんが肉を現実で見ることになるとは……」
竜也が驚いたように屋台を見ているのを、早苗は横目で見ていた。
「……っ!?」
何かに気づいた早苗は少し俯き、無言で竜也の腕を掴む。
「……早苗さん?」
早苗は何も言わず竜也を引っ張る。その足は里の外の方へと向いていた。
竜也が抵抗せずにいると、早苗はそのまま竜也を里の外れへと連れて行く。まだ腕は離さない。
「あの、どうしたんですか?」
「……これを」
早苗はそれだけを言い、身だしなみを整える為であろう小さな手鏡を竜也に手渡す。
疑問に思いながらも竜也は手鏡を覗き込む。そこに映るのは、当たり前だが自分の顔だ。
その眼は爬虫類のようになり、眼の周りの皮膚は蛇のような鱗へと変わっていたが。




