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今、里の中である事を話し合っていた

このまま祭りをするのか、異変が解決するまで延期するのか

祭り側は、今まで雨が降ろうと雷が落ちようとやってきてるのだからやるべき。異変なんて龍神様の前には無意味。と主張

延期側は、龍神様に感謝を捧げる大事な祭りを壊されたらどうする。先に異変を解決して平和になってから祭りをするべき。と主張している

ただ、どうもこのまま祭りをする方へ持っていかれそうだった。理由としては、異変が分からないからだろう

紅い霧で空が覆われてるわけでも春が来ないわけでもない。幻想郷の何処を探しても異常な所がないのだ。なのに龍神の石像の眼は赤い

河童達が言うにはあの眼はパワーストーンのような物で、大昔に龍神が鱗を落とした場所に龍神の力が満ちて、そこに落ちてる石を嵌め込んでいたらしい。龍神の力なので間違ってることはありえないとも言っていた

異変は起きている。じゃあ何が異変なのか?

普段は異変が起こると異変解決の為に動き回る人達も動きようがない。と言ってるらしい

・・・といったことを竜也は諏訪子から聞かされた。正直全く分からないのだが、神奈子が大丈夫と言っていたので大丈夫だと竜也は思っていた

(そもそも気にしたからって、俺に何か出来るわけじゃあないし)

因みに今は真夜中。幻想郷の夜空は星々が輝いていた

疲れてたから爆睡するかなと竜也は思っていたのだが、まるで眠くなかった。むしろ身体が軽い

横になっていても全く眠くならず、仕方なくこうして起きているのだ

「元の世界だと考えられないくらい星が綺麗だなぁ」

かなりの時間、竜也は星を見てぼーっとしていた

すると、玄関の方から話し声が聞こえた

「・・・?」

気になった竜也は足音を出さないよう気を付けながら玄関に歩いていく

「(あれ?早苗さん?)」

「(あ、竜也さん)」

玄関に続く廊下の角に早苗がコソコソとしていた。玄関の方を覗き見ていたようだ

「(どうしたんですか?)」

「(なんか里の人達が来てるみたいなんですよ)」

「(こんな時間にですか?しかもこの山って登るの大変そうだったんですが)」

「(一応道はあるんですが、天狗の皆さんが人間を入れたがりませんから)」

竜也も早苗と一緒に玄関の会話を盗み聞く

「・・・ですから、私達も知らないんですよ。今回の異変について私達は関わってませんし」

声の主は神奈子だ

「嘘を言うな!お前らが原因で何度も異変が起きてるのは皆知ってるんだ!」

男の声。うんうんと同調している人が複数人いる

「何度もとは言いますが、偶然そうなっただけで私達が意図して起こしたわけではありません。今回の祭りだって私達も楽しみにしていたから手伝っていたんです」

「ふん!どうせそれも・・・・・」

ギャーギャーと喚く男を神奈子が受け流すのを聞きながら竜也は早苗に問う

「(異変を起こしたって、何したんです早苗さん?)」

「(色々あったんです。悪気は全くなかったんですが)」

と、そこで若い女性がぽつりとこんな事を言った

「そうだ、あの子よ」

「?」

「外来人。あの外来人のせいなんじゃないの?」

「(え?何で俺?)」

「・・・何故、そこで竜也が出てくるのでしょうか」

「だって、最近起きた変化なんてあの外来人が来たくらいでしょ?あの塔の問題は解決してるらしいし」

女性の言葉に、他の人達も続く

「確かに、それしかない」

「俺は見てたぞ。あいつが石像に触った瞬間壊れたんだ!」

「じゃああいつが原因か?」

「きっとそうだ!」

「(いやいやいやいや!違いますって‼︎)」

勝手に盛り上がっていくのを見て竜也は慌てて外に出て行こうとするが、ギリギリの所で早苗の手を掴まれ止められる

「(竜也さん、今出て行っても逆効果です!今は神奈子様に任せましょう!)」

「・・・・・盛り上がってるところ申し訳ありませんが、竜也は何の力もない人間です。うちにいるのだって外の世界に我々がまだいた頃の知り合いだからというだけです」

「何の力も持ってないなんて何で分かるんだ!ずっと隠してただけかもしれないじゃないか‼︎」

「そのことは・・・・」

理屈も何もない推測で竜也が犯人だと騒ぐ男達に対して、神奈子は男達の言葉を一つ一つ指摘して否定していく

最初は威勢の良かった男達も、最後にはガックリと項垂うなだれていた

「こんな時間ですし、ちゃんとお話をしたいのであれば明日そちらにお伺い致しますが」

「いや、もういいよ。こんな時間に済まなかったな」

「お気になさらず。誤解が解けて良かった」

力なく男達が帰っていく中、一人の女性が竜也達の方に振り向いた。最近の変化は竜也しかないと言った女性だ

にっこりと、女性は明るい笑みを浮かべた

ゾワッ‼︎‼︎と竜也の何かが反応した

女性は前を向き、男達と共に帰っていく

「竜也さん?竜也さん⁉︎」

「ぁ・・・・ぅっ」

竜也の身体を、何かが駆け巡っていく。力強く、竜也の身体を壊し尽くすかのように

痛みはなかった。ただとんでもない不快感や吐き気がした

早苗や神奈子が何かを言っているが、頭の中に入ってこない

「・・・・・・ぁ?」

声が聞こえた。人間のものとは思えない声が

始めは小さな声だったが、ドンドン大きくなってくる

しかし、声をしっかり聞く前に意識が深い闇に沈んでいく


自由になりたい


意識がなくなる直前に、そんな声が聞こえた気がした

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