1-1 [4歳]鍛錬の準備
彼女はまさに外面如菩薩内心如夜叉なり
魔法の鍛え方がわかってからというものの、俺は魔法の一つも使ったためしがなかった。それは何故か?魔法の使い方がわからんからだ。正直、どうやって現象をひき起こすのかがわからん。但し頼みの綱である呪文はそういったことを取り扱っている内容の本(魔術書とでも言おうか)に記載されていた。『生活魔法から各々の第3級魔法まで』と本の見出しには書いてある。なんつうか胡散臭いがこれを信じるほかないだろう。また第3級魔法以降はどの本にも記載されていなかったことを見ると、ある程度情報統制がなされているのかもしれない。まぁこれは魔法学院に入ればわかるだろう。
説明し忘れていたが、生活魔法とはほとんど自分の魔力を使わないで使えるちょっとした便利な魔法である。一般的には生活魔法は全ての人が使える。というか使えない人はいない。だれしもほんの少しは魔力を持ってるからだ。ちなみに個人の保持魔力は血統に左右されやすくこの大陸では平民と貴族では保持魔力にある程度の差がある。平民は使おうと思えば大体第3級魔法まで(それをすると大体が魔力切れで倒れるが)。貴族では第5魔法ぐらいまでならなんとかつかえるレベルの魔力を保持している。ちなみにランクが上がるごとに使用魔力も上がるが、ランク9とラン10には非常におおきな隔たりがあったりする。
とりあえず、呪文は用意できた。さぁ、使ってみようと思ったところで、俺はあることに気づいた。
「場所がない・・・」
そう魔法を使える、場所がないのだ。外に行って扱えばいいだろだって?流石に子供をひとりで外に出すわけにはいかないだろう。確実に許してくれないだろうな。ふむ、どうするか。
そして俺は誰にもばれないように、屋敷を脱出した。
屋敷を脱出して場所を探せばいいじゃん。帰ったらこっぴどく起こられるだろうが、遊び盛りの4歳児、親も息子が外で元気に遊びまわってるともなれば本気で叱れないだろう。最近はずっと本を読んでて、親もなんか心配してたみたいだし、いい機会だろう。と高を括って屋敷を脱出した。
しばらく適当に歩いていると、ちょうどいい、魔法を使うにはおあつらえ向きな、広場があった。周りは木でかもまれてて、見えにくいし、ここを練習場所としよう。
使う魔法は、火の第1級魔法、ファイアボールだ。
ちなみにファイアボールの呪文は・・・『万物を燃やす炎の化身よ、塊となりて全てを焼きつくせ』だ。そしてこの瞬間、俺は全ての魔法を無詠唱で使うことを心に決めた。厨二過ぎて、恥ずかしくて唱えるのは無理だ。多少威力は落ちるらしいが、俺は金輪際詠唱はつかわん。どっかの誰かが厨二病をこじらせて書いたような呪文は人前読めるか。あとどっかの誰かとは俺ではないぞ!
ちょっとあつくなったな。まぁ話を戻して、魔法を使ってみるとしよう。あと初魔法であるから技術的に詠唱は破棄できないだろう。しょうがない。
『万物を燃やす炎の化身よ、塊となりて全てを焼き尽くせ。ファイアボール』
なんか不思議な感覚を覚えたあと、おれの手のひらからバランス○-ル程度のサイズの火炎球が猛スピードで飛び出し、対象となっていた、大木をなぎ倒した。
「本に記載されていた威力と桁が違うんですが・・・」
まぁ何はともあれ、とりあえず、外気魔力を変換する感覚がわかったのでよしとしよう。それに一度技をみればその現象を脳内で起こしやすく、無詠唱や詠唱破棄も楽に出来るようになるな。あとはひたすら反復練習で変換速度をあげよう。
これで、変換速度の練習はできるようになった。
次は、最低威力の魔法を扱う練習(自分の使う内在魔力を魔法の設定の最低値に出来るだけ近づける練習)をしてみようと思う。これがあれば、手数をふやしても長く戦うことができる。地味だが必要なことだろう。
俺は確かな収穫と共に今後の方針に心を躍らせながら、家に戻るのだった。家に般若の形相をした人がいるなんてことはすっかり忘れて・・・。
ちょっとずつ改訂もする予定
9月9日にちょっと改訂