0-3 ≪Tutorial≫魔法の取り扱い
会話がねぇ。
説明会です。
理に則して、普段なら起き得ない現象を引き起こすこと、それが魔法の定義だ。また魔術の定義は、魔法を取り扱うことらしい。要するに魔術をつかうことで引き起こされる現象を魔法というらしい。
例を挙げて説明すると、火の第一魔法ファイアボールはファイアボールを作り出すことが出来るが、その作り出すことが魔術、作り出されたファイアボールが魔法という区分になってるらしい。この世界に魔術師はいても魔法師はいないというのはこのことが理由だ。
正直、魔法も魔術も差がよくわからん。おそらく魔法には縁がない世界出身だからなのだろうが。だからひとまず魔術と魔法は区別しないでおくことにしよう。
魔法には属性がある。風・土・火・水の四つだ。これが互いに相剋、相乗しあう。ようするに四大元素の関係と同じということだ。もちろん氷や雷といった魔法はこの四大のなかのどれかしらに含有されているらしいが詳しいことはよくわかっていないらしい。また人が扱える魔法属性には得意不得意があり、基本的にはある属性の魔法が得意である場合、それに相剋する属性の魔法が不得意になるらしい。不得意といっても使えなくなるわけではないそうだが。また魔法は基本的にランクがある。火の第一魔法といったのはそのせいだ。このランクが上がっていくほど、魔法は強く、難しく、魔力消費が激しくなっていく。ランクがどこまであるかはわからないが14ランクまでは既に判明しているらしい。といっても14ランクの魔法を使える人間はおらず、エルフでさえ1000年に一人いるかいないかだそうだが。そのランクの魔法は多少なら改造できるため、オーソドックスにデェフォルトの魔法を使うものは少なく、魔法は十人十色といったような状態になっているらしい。魔法理論に関しての研究があんまり進んでいないのは、魔力のことに対する研究に研究者全員がとらわれているからだろう。俺はもともと理系学生の理論を好む人間だったからこういった研究はココロオドルものだとおもうのだが。
魔法は魔力を用いて使う。外気中にふんだんに含まれる魔力を変換し自分の身体に宿る魔力をトリガーにして魔法を使うらしい。魔力切れとは、トリガーにするための魔力がなくなった現象のことを言うそうだ。また魔力は万物に宿っており、より魔力が強いものに引かれるともかいてあった。それなのにこの世界では磁石のように万物同士が引き合う現象がおきないのは外気が大量に魔力を含んでいるからだろう。また魔法には必要魔力が決まっており、かつトリガーに必要な自己負担分の魔力も決まっている。そのトリガーを越えて自分の魔力を注ぎ込むことで、魔法は威力を増すらしい。ようするに外気に充満している魔力は無限にあるけど、扱いづらく、自分の魔力は限りがあるが、扱いやすいので100%の力が出せるということだろう。
ここで魔法を使うことに必要なものが何かわかる。
①自分の魔力量(生まれたときに決まるので努力が入り込む余地がない)
②外気魔力の変換速度(努力量に左右されそう)
③魔力の扱い技術(〃)
これがわかったのは3歳半のときだ。俺はそれから特にやることもなかったし、苦手よりは得意になっといた方がいいだろうと②・③の訓練をつんできている。また自分の魔力は変換する速度がほぼ0になるのでこのなかでは①が最も重要視されるようだ。
魔法を扱うには呪文を伴う。これは魔法により引き起こさせる結果をよりイメージしやすくするためのもので(鮮明にイメージしないと魔法の効力がさがる)別になくても使えないことはないらしい。無詠唱というのは呪文を唱えないでつかうことだが、結局のところ外気魔力の変換に時間がかかるので、無詠唱はメリットがすくなくなりあんまりそっち方面の努力をする人は少ない。が、魔法のランクが上がっていくと、指数関数的に呪文の長さも増していくので、結局最終的には無詠唱に落ち着くらしいが。一方で詠唱破棄は良く使われる。無詠唱との違いは技名まで破棄するのが無詠唱。技名だけは言うのが詠唱破棄だ。技名を唱えている間に大体の魔法は外魔力の変換が終えられるので、無詠唱はメリットが少ないけど詠唱破棄なら多大なメリットがあるのだ。ゆえに詠唱破棄は使う人が非常に多い。
ちなみに自分の魔力だけで魔法を使うことが仮に出来かつ無詠唱ならば、ほぼノータイムで魔法を放つことができるようになる。
また俺は暇だったので無詠唱と詠唱破棄の練習もしていた。思い返せば、子供なのに遊びもせずストイックに魔法の修練を積む。・・・相当変な子じゃねぇか。ちなみに当の本人は魔法の鍛錬が遊びみたいなものだったので非常に楽しくやってましたけど。
そして5歳半、魔法学院に入学する半年前に俺はあることに気づいた。俺の所持魔力量がおかしい。いやこの国の筆頭貴族なのだから常人の1.5倍ほどの魔力をもってるのは変なことではないのだが。おそらく俺の所持魔力量はすくなくとも常人の10倍はある。これはまさにチートといっても過言ではない。なぜ、こんなにも持っているのだろうか?
神が与えてくれた?いやいやありえない。少なくともおれは神にはあっていない。とすると、俺が他者と決定的に違う点、転生者というところに原因があるのだろう。
魔力はどこに宿るのか。その答えはわからない。人体の機関として魔力が宿っているところは発見されてないからだ。・・・魂?あれも実態は不明でどこにあるかわからない。仮に魂に魔力が宿るとする。そして俺はこの身体に地球で生まれた俺の魂が足されているのではないか。そう考えると、ある推測が立てられる。
俺は転生する前からありえないほど魔力を持っていた?
そこでふとこんなことを思い出した。『万物に魔力が宿り、互いに引き合う』。これが転生前の世界でも成り立つのであれば・・・万物・・・土、トラック・・・
土やトラックに含まれる魔力によりそれらは俺にひかれて俺は死んだ?
・・・俺の家族や親戚共々が事故で死んでいるのはこれが原因?
・・・ここはもしかして地球のパラレルワールド?
地球は外気に魔力がない世界。そこでたまたま生まれる内在魔力の多い人に万物は引かれ、不慮の事故等で死ぬ。すぐ事故で死ぬし外気にも魔力がないから魔法が発達する余地がなかったし、事故でその血族は途絶える。だからいままで気づかれなかった。地球で中世に研究された錬金術というのは、魔法が発達する足がかりだったということなのかもしれない。
・・・仮にこの理論が成り立つとしても、おおきな疑問が一つ残る。何故俺は転生したかということだ。ふぅ。これ以上、手がかりもないし、推論を立てることは不可能だ。とりあえず今は自分が莫大な魔力を持っていることに喜ぼうと思った。
9月9日に無詠唱と詠唱破棄が一緒に扱われていたので訂正。