1-20 [5歳]勝者無き戦い
鬱回
補足にはなりますが、前回の酔っ払い親父の
「殺してやるよ」発言は、本当に殺すという意味ではなくて、相手をおびえさせ(相手は子供ですので)かつ相手を少しは痛めつけるという意味に近いニュアンスをもたせたかったのです。
ヤクザのおっちゃんが粋がったガキに「殺してやるからでてこいよ、オラァ」といったときに使うのに近いものがあります。
また酒で酔っ払っており、かつ自分の生きていく糧となっている肉体を攻撃されたことで、ひどい憤りが発生したため、ああいうような言葉遣いになりました。
わかりにくくてもうしわけありません
くそ、のおっさん強えぇ
今回は不意打ちでないので、おっさんは身体を魔法から護る魔法を使って護りながら、ナイフで攻撃を仕掛けてきた。おそらくこの魔法は第2級上位魔法なのだろう。どうにも破ることができない。
おっさんが冒険者なのはほぼ確定と。・・・どうにかナイフだけでも取り落とさせることができれば、話し合いに持ち込めるんだがなぁ・・・
この防御魔法を破る方法は2つある。同威力の相剋の関係にある魔法を使うか、これよりも高い威力の魔法でゴリ押すかだ。だが俺はまだ第1級上位までしか魔法が使えないので、どちらの方法も使えない。
「やばっ」
おっさんが突っ込んできた。俺はいまだに動けないフェルムを押し倒し、かろうじで避ける。だが、おっさんが想像以上に速く、深くはないが足に切り傷を負った。
「どうした、勝負をふっかけてきた割りにはずいぶんとよえぇじゃねぇか」
「・・・すまなかった。僕の負けだ。」
まずありえないだろが、これでひいてくれたりしないだろうか・・・
「あ?魔法を使って攻撃してきたくせに、引いてくれだ?なめてんのか」
「・・・すいません。」
「・・・お前はもういい。それよりもそこの女のガキに謝罪してもらわねぇとな」
「・・・」
・・・俺は特に眼中になかったようだ。だがフェルムはすっかり目を付けられてしまっている。どうしたものか。
「・・・ごめんなさい」
「・・・あぁ?いまさら何言ってんだてめぇ。謝ってすむとでも?」
「・・・ごめんなさい。」
フェルムは泣き出した。
「・・・こちらの勝手な事情にはなるが、フェルムは肉付きのいい男に誘拐されかかったので、そういった奴を見ると非常に恐怖するんです。おそらく今日は、僕が腕をつかまれたのを見て、恐怖から防衛として攻撃してしまったのでしょう。・・・本当にすいませんが、このぐらいで勘弁してくれないでしょうか?」
おれはフェルムが攻撃を仕掛けたことについて理由はこうであろうと考えた。フェルムも謝っている事であるし、反射的に、つい攻撃を仕掛けてしまったのではと思ったからだ。
「・・・そんな事情なんかしらねぇよ、とりあえずそのガキは殺さないまでも、痛めつけてやらないと気がすまねぇな」
俺は・・・今何ができるんだろう?このおっさんが突っかかってきたのも原因の一端ではあろうが、原因のほとんどはフェルムが攻撃したことにある。おっさんが攻撃してきたのも正当な行為であり、俺は許しを乞うことしか出来なかったのに。
このおっさんは酒で酔っ払っている。おそらく正常な判断が出来ないだろう。それでも俺はこういうしかできることがなかった。
「冒険者、エル・シャルル家次期頭首が家の名前を持って謝罪する。これで勘弁してくれないか。」
俺は貴族、エル・シャルル家の証である、紋印が入った短刀を懐から取り出して出来るだけ、威圧感をこめて言った。
「もう一度言う。エル・シャルル家の名をもってこの場を納めさせてもらおう。冒険者、私の使用人が迷惑をかけてすまなかった。」
「おまえ・・・」
流石に酔っ払っていた男も気づいたのか、そして俺が足に負っている怪我を見て血の気が引いていた。この世界の貴族に一人の冒険者がたてつくこと。その先には死しかないのだから。
「冒険者、君が引いてくれさえすれば、この怪我のことも不問にする、これで勘弁してくれないか」
「・・・」
冒険者はそれでも頭に血が上っていようで、納得出来ていなかったが、フェルムが泣いていたことと、小さな女の子を泣かした、そして貴族の次期頭首に怪我をさせたという他者からの蔑みを含んだ視線を浴びてそして最終的にこういった。
「・・・あぁ、わかったよ。だがガキ、次は無いと思え」
「恩に着る」
冒険者の男の声は強がりであったことは、明らかであったか、俺はこういって、フェルムの背中をさすりながらこの場を後にした。
その場に残ったのは、床に無造作に転がったコップと家具、そして周囲の街道から聞こえる、喧騒だけであった。
☆★☆とある酒場にて☆★☆
「冒険者、エル・シャルル家次期頭首が家の名前を持って謝罪する。これで勘弁してくれないか。」
・・・ついに見つけたぞ。エル・シャルル家。まさか本当にご子息が現れるとはな。これは俺が報復する一世一代の大チャンスだろう。だがここで襲い掛かるには人が多すぎる。幸いにも街とこいつの家との間には、少し間がある。そこで仕掛けるとするか。
今はばれないように後をつけるとするか。
そして俺は雑踏の中にきえていくのだった
☆★☆
予約の日時をまちがえました。すいません




