1-13 [4歳]父上のカリスマと俺の受難
正直、この回は面白くないです。
正直、4歳児同士で町に繰り出すとか頭おかしいんじゃないかと俺は思うんだが。あれか、子供だけで集まって遊ぶのの延長線上にあるってことか。それにしたって、6歳をこえてからだと思うんだが。それに盗賊の一件で外が危ないってことが良くわかったのに、何故この両親は外に行かせようとするのだろうか。謎だ・・・。
また気がかりなことも一つある。フェルムのことだ。盗賊に自分の父親を殺させたっていう事実があるんだ。平気で居られるはずがない。出会ってからというものの、あいつは常に俺の後を追いかけてくる。初めは小さい妹が兄や姉といった年長者の背中を追いかけるのと同じなのかなと思ったが、それにしたって過度すぎる気がする。
実際は助けがなければ盗賊にやられていたが、あいつから見たとき気絶前後の状況を加味すれば俺は一応あいつを盗賊から助けた張本人となっている。そのせいであいつは自分の父親の姿を俺に投影しているのかも知れない。だからこんなに依存が激しいのかもな。
「イータ、ちょっと来なさい。」
父上のお呼び出しか。
「なんですか、父上」
「私は盗賊事件のほとぼりが冷めた後だとしても6歳になるまではお前が護衛なしで外出するのには反対だ。だが、シータ、お前の母上は危険を犯してでもはお前とフェルムちゃんを早くに街で遊ばせようとした。何故だかわかるか?」
「・・・」
「フェルムちゃんは今最も頼りになったであろう自身の父親を亡くして、非常に不安定な状態だ。一歩間違えれば、自分自身で心を閉ざしたりするだろう。本来なら即座にそうなっていた筈だが、どうしてそうならなかったか。」
「・・・」
「それはお前が居たからだ。お前にはまだわからないだろうが、心の許せる仲間や恋人が居るってことは、自分がこの世に絶望しそうなときの最後の希望になってくれるんだ。フェルムちゃんからみたお前の位置づけはもしかしたら単に自分の父親を投影しているだけかもしれない。それでもお前には彼女を救ってやってほしいと思う。要するに何が言いたいかというと、フェルムちゃんに新たな生きる希望を与えて来い。」
「・・・」
「それと、お前のその胸に突っかかっているであろう問題についてもある程度の決着はつけたほうがいい。幸いほとぼりが冷めるまでは半年から1年程度時間がかかるだろう。その間に頭の中で決着をつけろ。」
「・・・はい」
要するに父上は
①フェルムちゃんを楽しませて、生きることへの楽しさを教えて来い。
②人の殺害に対する心の問題の決着をつけろ
ということをいっているのだろう。
この世界では盗賊は総じて死刑になる。どうせあとで殺させるんだからといって割り切って俺は簡単に盗賊、つまり人が殺せるわけがないのだ。俺が盗賊を初めて殺したときに、こういってきたあたり、もしかしたら父上も初めてのときは思い悩んだのかもしれない。
「盗賊を殺すことを割り切れ。盗賊よりもお前には大切なものがあるはずだ。そいつのためにも割り切って殺すしかないんだ。」
・・・でもそう簡単に割り切れるわけがない。銃にすら触ったことのない純正の日本人がそんな簡単に人なんてころせるわけがないんだから。
「・・・だが、もしそういうことを割り切れないなら、盗賊を殺さず、生きたまま捕らえるという道もある。だがそれは辛く厳しい方法をだ。生きて捕縛する。そうすれば自分は殺さなくてすむ。但し相手を生け捕りにするという自分の我侭を通す分だけよりいっそう相手よりも強くならないといけない。生きて捕獲する分だけよりいっそう相手との間に力量差がないといけないからだ。そし、そのためにかなりの鍛錬が必要だ。さぁお前はどっちの道を選ぶ。」
「父上、私は・・・強くなればいいんですね」
「辛く険しい方法だがいいのか?」
「はい・・・」
「・・・お前は優しいんだな。お前がそうするって決めたならば俺はもうなにも言うまい。」
「・・・」
「剣やその他の武術が学びたい。そういう時は言ってくれ。剣術くらいなら役に立ってやれる。」
かっこいいな。父上。普段の母上に言いようにやられてる父上とのギャップがある分よりりりしく見えるぜ、父上。今日の父上はものすごく尊敬できる。
「・・・そうそう、女性を楽しませるデートテクニックも鍛えてやるよ。ちゃんと身に着けろよ。重要だぞ~」
・・・がっかりだよ・・・。
次は時間が少し経過します。(予定)