1-9 [4歳]俺たちの戦いはこれからだ!
最近、朝は寒い。この世界に転生したことがわかってからまだ1年が経っていないせいで春夏秋冬があるのかが、わからないが冬に該当するのは今なのではないか?と思うほどに、寒い。日本にいたときは、寒くても暖房を効かせるば良いし布団も上質とまでは行かなかったが寒さをかなり凌いでくれるほどは良いものだった。しかし残念なことに、この世界の布団は、そこまでの断熱効果があるものが無い。なぜなら布に魔方陣で断熱の効果をつけてるものしかないからだ。魔方陣とは外魔力を勝手に取り込んで、記述してある効果を作り出す陣のことだが便利な変わりに、効能に限界がある。そのため断熱効果が昔使ってたものほど良いものではないので、毎朝が寒く感じるのだ。暖房の代わりとなる暖炉はリビングにしかないので、暖房は使えずこれも寒く感じることに拍車をかけている。現代日本を過ごした人間にとってこれは少し辛いものがある。
しかし、今日は寒くなかった。なんというか犬と一緒に寝てるかのようにそんな暖かさを感じた。そして無意識に俺は暖かさを得るためにその犬のようなものに抱きついていった。
「・・・・・・・、朝か。・・・なんか暖かいな。今日からは気温があがるのかな・・・。そうだと良いんだけど・・・」
俺はそんなことをまどろみの中で考えていた。その時、犬?のような何かが動いた。俺は驚き、そして、すぐさま頭を覚醒させ、その動いた物を見た。
そこには、同い年くらいの女の子がいた。
「・・・」
女の子が少し震えていた。恐らく寒いのだろう。そしてその女の子は寒さを凌ぐためより暖かさを感じるように無意識に身体を動かした。
要するに、起きかけて、状況が理解できずに膠着していた俺は女の子に押し倒された。そして抱きつかれた。俺が寝てるときに暖かさを求めて抱きついたのと同様に彼女もまた暖かさを求めたのだろう。
俺はベットに押し倒され、抱きつかれて身動きがとれない。脱出しようと足掻いてみるものの、どうにも脱出は出来無い。彼女におきてもらうほかなさそうだ。というか、彼女は誰なんだろうか?そんな疑問が頭をよぎった瞬間、昨夜の出来事を思い出した。
「そうか、この子はエルフの・・・」
でもなんで、同じベットに寝てるんだっけ?・・・そうだ、どこに寝かせればいいかわからないってあの冒険者の人がいったんだけどその時はもうすごく眠かったから、適当にそこのベット(=自分のベット)においといてって言ったんだっけ。そして自分も身体洗って服着替えたらそのまま自分のベットで寝たんだった。
それで一緒に同衾してしまったと。・・・これが4歳児同士じゃなくて、もう少し歳をとっていたら・・・あれだ、ラノベにかかれるような『ラッキースケベ』だったんだろうけど、・・・シチュエーション的には良いんだが、お互いの年齢が・・・おしいかったな。
さて、この抱きつきからどうやって抜け出すかをいう問題が残っている。そろそろ、食事の時間なのではないだろうか?抜け出して準備したいんだがな。だが残念ながら女の子の方は起きる気がしない。相当疲れていたのだろう。
「そりゃ、親も殺されて、家も焼かれ、盗賊の魔の手から逃げていたんだから、疲れてないわけなんだろうけど」
少し、同情した。俺も親が事故で死んで一人世界に取り残されたときは途方にくれたもんだ。そのときに親友とその親が支えてくれたっけ。・・・あいつとその親には感謝してもし足りないな。
そんなように物思いに耽っていたら、寝室のドアが開かれ、母上が入ってきた。
状況
①男女二人がベットで抱きついている
②脱出しようとあがいたために、彼女も俺も若干着衣が乱れいている
③布団等はぐちゃぐちゃになっている
これだけ見ると、完全に事後なんだが、まぁ4歳児だしね。そういう風なことがあったと考える人なんていないだろう。
と、ここで父上も様子を見に来たようだ。
「え、まさか4歳なのにやっちゃったのとか?(ニヤニヤ」
・・・父上、そのジョークは言うと死に関わりますよ。
案の定、母上に腹パン喰らって悶絶し床に倒れる父上。流石に学びましょうよ。
「・・・イータ、聞きたいことは山ほどあるけど、ひとまず先に食事にします。用意をしてさっさと降りてきなさい。あと、ちゃんとその子の分の食事も用意してありますので、その子も連れてくること。いいですね?」
あれ、何でか知らないけど、もしかして凄く怒ってらっしゃる?
そして俺はその女の子を起こし、用意をすませて恐らく査問会場となるのであろうロビングに向かうのであった。