0-1 ≪Introduction≫突然の別れ
処女作です。後更新は遅いですがあしからず。
「やっと内定とれたぜ~」
受話器から旧友の歓喜の声が聞こえる。若干涙声に聞こえるのは、それだけ嬉しかったのだろう。
「ついに、決まったか。大手旅行代理店の内定狙ってたんだったよな?なんていうか、すごくお前らしい職業だよ。まぁお疲れ様だな」
内定をとった程度で涙が出るほど、嬉しがるのも少し大げさすぎだと一瞬思ったが、今日の就職氷河期にあんな遅い時期から就職活動を始めて、内定をとったんだから、少しはねぎらってやろう。まぁ海外で遊んでたのは奴自身でそのせいで活動を始めたのが遅れたのだから自業自得だとは思うが。
「あぁ、ありがとよ。・・・ところでお前は、大学院進むんだっけか?お前まだ、まだ勉強するのかよ。」
「俺は研究してるのが好きだからな、院でたらどっかの企業の研究者でも目指すよ。」
「まぁ、お前がそれでいいってんならいいけどさ。そういや聞いてくれよ、俺の姪っこがさ、ついに3歳を迎えて、物心がついたんだよ。で叔父さんが『どうだ、かわいいだろ』って自慢してくんだよ。まぁ実際かわいいから自慢したくなる気持ちもわかるんだが。そしたらこの前姪っ子が風邪引いたんだよ。そしたら叔父さんすごく狼狽してさ、そのときの顔、お前にも見せてやりたいよ。あとさ・・・あっ、やべ。俺、これから面接だ。しゃーねー、もう切るけど、なんかあったら連絡しろよ。お前、親が事故で死んじまってから死に物狂いでバイトして学費払ってるじゃねぇか、親戚も誰一人いないんだろ?、学費程度なら無利息で貸してやるから、お前はお前のしたいことをした方がいいぞ。つっても貸し出せんのは初任給でてからなんけどな、じゃ、元気でやれよ」
「・・・お前、妙にやさしくて気持ち悪いな。熱でもあるのかよ」
「ねぇよ!」
「・・・なんかありがとうな。心配してくれて、もしなんかあったら頼っちまうかもしれん。すまんな」
「おう、どんとこいだ。」
「それじゃあな、後お前の姪ちゃんにお元気でと伝えといてくれ」
ツー、ツー、ツー
「さて、俺もバイトに行くとしますかね。」
ちょっと長電話したせいでバイト遅れそうだな。いや、走れば十分電車に間に合うな。
そうして俺は家を出て駅に向かって走り出した。
ここで走り出しさえしなければよかったのに、と後に後悔することなんざ、露知らずに・・・
「・・・急車を呼べ!はやく、土もどけろ」
ふとそんな怒声が聞こえた。視界に移っているのは空に浮かぶ月だけだ。どうやら星のおぼろげな光は街のきらびやかなネオンによって打ち消されてしまっているようだ。
・・・どうして、俺は空を見ているんだ?状況が理解できないがどうやら俺は道路に倒れてしまっているようだ。起き上がろうと試みるが、何故だか身体は動く気配がない。
(???)
一体どうなっているんだ?
「・・・の交差点でト、トラックでひ、ひ、人をはねてしまいました。救急車を・・・」
近くでこんな声が聞こえた。その瞬間、俺は悟った。
(俺はトラックにひかれたのか。この周りに散らかる土は積載物か。ははっ、俺の親も交通事故で死んだんだが、家の家系は呪われてんのかね)
そんなこと馬鹿げたことを思い、そして俺の意識はそこで途切れた。
あと2話は設定のお話になりそう。
名前を考えるのがめんどくさいんで世界の名前、人物名はあんまりつけておりません。