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追放貴族の【土地鑑定】スキルで辺境開拓 ~役立たずと勘当された僕のスキルは、実は大地を創造する【神の視点】でした~  作者: かるたっくす
第4部

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第77話:古代文明の真実


「私の創造主たちが自らが制御できなくなった、ある『脅威』によって滅ぼされたという真実を」


 セブンの静かな、しかし衝撃的な言葉に僕たちは息をのんだ。

 彼女は僕の魔力が少しでも回復するのを待ってから、ゆっくりと語り始めた。

 それは数千年の時を超えた、失われた文明の物語だった。


「私の創造主たち……あなたたちが『古代人』と呼ぶ彼らは、この星を心から愛していました。彼らは優れた科学技術を持ちながらも、決して自然を支配しようとはしませんでした。常に大地に敬意を払い、あらゆる生命との共存を目指していたのです」


 セブンの言葉は僕が目指してきた村のあり方そのものだった。

 僕は知らず知らずのうちに彼らと同じ夢を見ていたのだろうか。


「ですが彼らは知っていました。この星がいずれ避けられぬ大災害に見舞われることを。巨大な隕石の衝突。それによる大規模な気候変動。彼らは自らの文明が一度滅びることを正確に予測していたのです」


「……それで、この遺跡を……?」


 僕の問いにセブンは頷いた。


「はい。この遺跡『ガーデン』は、来るべき氷河期の後、再びこの死の星となった大地に生命を芽吹かせるための『箱舟』として建造されました。地下の人工太陽と環境制御温室は、あらゆる動植物の遺伝子情報を保存し未来へと繋ぐための聖域だったのです。私、セブンは、その箱舟を管理し、いつか目覚めの時が来た時に地上を再び緑の楽園へと戻す……『大地再生プログラム』を実行するために創られました」


 なんと壮大な計画だろうか。

 自らの滅びを受け入れ、それでも未来の生命のためにこれほどの遺産を残すとは。

 僕は古代人への深い尊敬の念を禁じ得なかった。


 しかしリアムが鋭い質問を投げかけた。


「待ってください。あなたの話が事実なら、我々が今こうして生きているのはおかしい。本当に氷河期が訪れたのなら、地上の生態系は完全に破壊されていたはずです」


「……その通りです」


 セブンの赤い瞳が初めて暗い影を宿した。


「予測されていた大災害は結局、訪れませんでした。私の創造主たちは全く別の……予測不能な『脅威』によって滅ぼされたのです」


「脅威……? それは一体……」


「……分かりません」


 セブンは静かに首を横に振った。


「私のマスターデータベースにもその『脅威』に関する詳細な記録は残されていません。あまりにも突然、そしてあまりにも一方的な殺戮だったため、記録を残す暇さえなかったのです。ただ、ネットワークが完全に途絶する寸前に、各地の観測ユニットから送られてきた断片的なデータだけが残されていました」


 彼女は目を閉じ、その断片的なデータを再生した。


「――『空から来た』」

「――『我々のいかなる兵器も通用しない』」

「――『それはまるで蝗の群れのようにすべてを喰らい尽くしていく』」

「――『助け……』」


 そこで記録は途絶えていた。


 僕たちは何も言えなかった。

 その断片的な言葉だけで古代文明が体験した絶望的な恐怖が痛いほど伝わってきたからだ。


 あれほどの技術を持っていた彼らが一夜にして滅ぼされた。

 いかなる兵器も通用しない、空から来たすべてを喰らい尽くす脅威。


 僕たちの背筋を冷たい汗が流れ落ちた。


「……そんな馬鹿な話があるか」


 グルドさんが絞り出すような声を上げた。

 創造者として彼には信じがたい事実だったのだろう。偉大な先人たちが成す術もなく滅ぼされたという現実が。


 ミリアは青ざめた顔で唇を噛み締めていた。

 彼女の頭の中には僕たちの村の平和な光景が浮かんでいるに違いない。

 もしそんな脅威が僕たちの村を襲ったら……。


 僕も同じだった。

 僕がこれまで戦ってきた相手は人間の貴族だった。

 彼らの悪意や野心は理解できた。

 けれど今僕たちが直面している新たな敵は、あまりにも得体が知れなかった。


 僕たちが手に入れた古代文明の遺産。それは計り知れない希望だった。

 しかし同時に僕たちは、その希望をいともたやすく打ち砕く巨大な絶望の存在を知ってしまったのだ。


 僕たちが重い沈黙に包まれていると、セブンが淡々とした、しかし決定的な一言を告げた。


「――その脅威は、今もこの世界のどこかに存在する可能性があります」


 その言葉はまるで死の宣告のように僕たちの心に重く、重く響き渡った。


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