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追放貴族の【土地鑑定】スキルで辺境開拓 ~役立たずと勘当された僕のスキルは、実は大地を創造する【神の視点】でした~  作者: かるたっくす
第5部

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第100話:最初の王命


 ミズガルズが建国を宣言した、その翌日。

 国中がまだ祝福の余韻と、新しい時代の始まりへの期待に満ち溢れている、まさにその時だった。


「――緊急事態だ!」


 血相を変えたリアムが、僕の執務室に飛び込んできた。

 その手には、彼の情報網からもたらされた、一通の緊急報告書が握られている。


「王都の密偵から連絡があった! 宰相ダリウスが、我々の独立宣言を『反逆』と断じ、王国騎士団の主力に出撃命令を下した! その数、およそ五千! 今まさに、こちらへ向けて進軍を開始したとのことだ!」


 リアムの報告に、執務室にいた幹部たちの間に、激しい緊張が走った。

 五千。それは、僕たちが想定していた中でも、最悪に近い数字だった。

 アークライト家の私兵とは訳が違う、訓練され、装備も充実した、本物の国家戦力。それが、僕たちの国を、根絶やしにするためだけに向かってきている。


 建国の喜びに沸いていた空気は、一瞬にして吹き飛んだ。

 しかし、そこに絶望の色はなかった。


「五千だと? 上等じゃねえか!」


 最初に声を上げたのは、グルドさんだった。

 彼は、ニヤリと好戦的な笑みを浮かべると、拳を力強く握りしめる。


「望むところだ! リオ様、直ちに防衛準備の全権をこの俺に! ドワーフの技術の全てを注ぎ込んで、王国騎士団の連中が泣いて帰りたくなるような、最高の『おもてなし』をしてやるぜ!」


「私も、すぐに民への通達と、後方支援の準備に取り掛かります!」


 ミリアも、きりりとした表情で立ち上がる。その瞳には、もう宰相としての覚悟が宿っていた。


「民は、決して動揺したりしません。むしろ、この時を待っていたはずです。この国を、自分たちの手で守る時が来たのだと!」


 グルドさんが防衛の指揮を執り、ミリアが民の動揺を抑えるために奔走する。

 リアムは物資の最終確認に走り、セブンは敵戦力の詳細な分析を開始する。


 凶報を前にして、僕の仲間たちは、誰一人としてうろたえなかった。

 むしろ、やるべきことを即座に理解し、一つの有機的な組織として動き始めている。

 僕たちの国は、この絶体絶命の危機を前に、その真価を試され、そして、より強く一つにまとまろうとしていた。


 僕は、そんな頼もしい仲間たちの姿を見渡し、そして、静かに立ち上がった。


「――鐘を鳴らしてくれ。全ての民を、中央広場に集める」


 僕の言葉に、ミリアがはっとしたように僕を見た。

 僕が、何をしようとしているのかを、彼女は即座に理解したのだろう。


 やがて、ミズガルズ全土に、招集を告げる鐘の音が響き渡った。

 畑を耕していた者も、工房で槌を振るっていた者も、家で子供の世話をしていた者も、誰もが作業の手を止め、中央広場へと集まってくる。


 数時間後。広場は、再び、この国の全ての民で埋め尽くされていた。

 しかし、そこに建国宣言の時のような、歓喜の表情はない。r> 誰もが、これから告げられるであろう、厳しい現実を覚悟した、真剣な顔つきで壇上を見つめていた。


 僕は、一人で壇上に立った。

 そして、僕の王としての、最初の言葉を、民に語りかけた。


「ミズガルズの民よ! たった今、王国軍五千が、我々の国を滅ぼすために、こちらへ向けて進軍を開始したとの報せが入った!」


 民衆の間に、緊張が走る。しかし、誰一人として、騒ぎ出す者はいなかった。


「彼らは、我々の独立を許さない。我々の平和を、未来を、そして、我らが人として生きる尊厳を、力で踏みにじろうとしている!」


 僕は、集まった民の一人一人の顔を見回した。

 その誰もが、僕の言葉を、まっすぐに受け止めている。


「これは、我々ミズガルズにとって、最初の試練だ。そして、おそらくは、最大の試練となるだろう。だが、僕たちはもう一人じゃない! 僕たちには、共に戦う仲間がいる! 守るべき国がある!」


 僕は、天に掲げられた、ミズガルズの国旗を指さした。

 それは、僕の聖獣ハクをモチーフにした、純白の旗。


「王として、僕が下す、最初の命令だ!」


 僕は、全ての民に向かって、高らかに宣言した。


「僕たちの国を、僕たちの手で守ろう!」


 その言葉が、引き金だった。


「「「うおおおおおおおおおおっ!!」」」


 民衆から、建国宣言の時を遥かに上回る、大地を揺るがすほどの雄叫びが上がった。

 それは、恐怖を乗り越え、怒りを力に変えた、戦士たちの咆哮だった。


 ドワーフがハンマーを突き上げ、獣人たちが牙を剥き、エルフたちが弓を天に掲げる。


 僕の最初の王命は、民の魂に火をつけた。


 ミズガルズの旗が、戦いの始まりを告げる風を受け、力強く、そして誇らしげにはためいていた。


ここまでのご読了ありがとうございます。

評価やブックマーク、リアクションなど、いつも執筆の励みになっております。

元々100話までの予定でしたので、一旦完結とさせていただきます。

気が向いたら再開するかもしれません。

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