Dead or Alive(死ぬか生きるか)!?(10)
「えええええ、殿下とベヴァリッジ公爵令嬢がお付き合いされているのですか!?」
学院に到着し、エントランスで馬車から降りると、体を鍛えるため徒歩で登校しているケントと遭遇。そこで早速、エリックと私の交際について知らせると、ケントはビックリ仰天している。
「お二人が相思相愛だったとは……。毎週のようにお会いしているのに、気づきませんでした……」
「それは仕方ないと思いますよ。ダイセン侯爵令息は、常に頭の中がご自身の体を鍛えることでいっぱいなのですから」
温厚篤実で知られるエリックなのに、ズバリ指摘するが、ケントは「それは確かに!」と同意している。
「鍛えることも大切ですが、もう少し周囲には目を配るべきかと。大切なサインを見過ごし、後悔することになり兼ねません」
これにはケントがハッとしてエリックをじっと見た。
「特に恋愛ごとでは、異性からのアピールを見逃すのは勿体ないです。実はダイセン侯爵令息のことをチラチラ見ている。視線が合いそうになると逸らす令嬢がいないか。会話している最中、その前後で赤くなっていないかなど、相手からの好意の合図、見落とさないようにするといいでしょう」
「なるほど……」
ケントはしみじみと頷く。
「周囲に目を配り、相手の表情の変化に敏感になることは、恋愛以外でも役立ちます。今は平和な世の中です。それでも有事の際、騎士として周囲の状況を的確に捉え、人々の様子を把握することはとても大切になってきます。特に指揮官のような役職に就けば、部下に目を配る必要も出てきますよね。今からその力を養うと、後々役立つかと」
学院の制服姿のエリックだが、なんだか指揮官の制服のように見えてしまう。上に立つ者の在り方を説くエリック。既に彼自身がその頂点の人物に見えていた。
(さすがだわ、エリック! ケントにポメリアの好意のサインを見逃さないようにアドバイスしつつ、周囲に目を向けることは騎士としてのスキルを磨くと教えているのね! これならケントは自然と筋肉以外にも目が向き、ポメリアの好意にも気が付きやすくなると思う。そしてこんなふうにサラリと指導ができるのは……やはりエリックが将来、上に立つ人間である証でもあると思うわ)
エリックの言葉を聞いたケントは「殿下、アドバイス、ありがとうございます!」と元気にお辞儀をした後、少しもじもじして尋ねる。
「そ、その……お二人は交際されているということで……もう婚約決定なのですか!?」
「まさか。昨日、皆さんが帰った後に、わたしが気持ちをカトリーナ嬢に伝えました。交際はまだ始まったばかりで、今はあくまで非公式です。正式な交際……つまり婚約は段階を追って行うことになるでしょう」
「つまりまだ殿下の正式な婚約者ではない……。そうであっても殿下の大切な存在がベヴァリッジ公爵令嬢となると……もうマッサージはしていただけないのでしょうか……?」
ケントが言わんとすることはよく分かる。未婚の男女が触れ合うのは好ましくないというのが、この世界の社会通念だった。それでも健康増進を目的としたマッサージであるし、私も恋人もいなかったので、ケントも気兼ねなくしていたと思う。でも私に恋人ができ、しかも相手が王太子ともなると、マッサージすることすらどうなのか……と思ってしまったわけだ。
(でもそれが一番の心配事になるところからして、ケントは私への好意はなかったわけよね。あくまで私の神の手に恋をしていた)
本当に脳筋なケントがポメリアから告白されて大丈夫かと思うが、それでも乙女ゲームの攻略対象の一人なのだ。
(きっとなんとかなるのよ!)
私がそんなことを思っている間に、エリックがケントの質問に答えている。
「カトリーナ嬢のマッサージで、みんながそれぞれ持つ悩みが解消されていること。それはわたしも理解しています。よってそこは『わたしの婚約者なのですから、マッサージは禁止です』なんて言うつもりはありません。安心してください」
「安心しました! 殿下、ありがとうございます!」
ケントが安堵の表情となった時、「おはようございます!」と登場したのはカッセルだ。
「今朝、殿下の馬車を屋敷の近くでお見かけしたのですが……」
カッセルは真剣な表情でエリックに尋ねる。
「ええ、カトリーナ嬢を迎えに行きました。明日も、明後日も……わたしの馬車をブライト公爵令息は毎朝見かけることになるでしょうね」
エリックの言葉を聞いているカッセルの頬がピクッと反応したのは、私の名前が登場した瞬間だ。この世界、異性をファーストネームで呼ぶのは家族などの親族か婚約者。エリックが急に私を名前で呼んでいるので、ビックリしたのだろう。
さらに毎朝見かける……なんて言われたのだから……。
「!? 殿下、それは一体……」
「実はわたしとカトリーナ嬢は相思相愛であると分かり、交際することにしたのです」
お読みいただきありがとうございます!
様々な思惑が交錯する中、ケントだけが脳筋街道驀進中~
帰宅したらもう1話公開しますね=3
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