Dead or Alive(死ぬか生きるか)!?(8)
全員のマッサージが終わった。
既にマッサージが終わっていたメンバーはそれぞれのカウチに寝そべり昼寝状態。でもポメリアのマッサージが終わったので、集合して本格的なティータイムとなる。
ポメリアの大いなる勘違いの件があるが、 皆、マッサージを経て、スッキリした顔つきになっている。すぐに解決できそうもないし、戦略を考える必要があった。今は一旦、そのことは忘れ、みんなとのティータイムを楽しもう。
「わぁ~、このスイーツ、絶品です~」
「気に入っているのでしたら、僕の分も差し上げますよ」
「! で、でも王太子殿下の分を頂くなんて……」
「ならば自分はもうスイーツは食べないので、こちらをどうぞ」
「……ダイセン侯爵令息……!」
水面下では恋の花が咲き始めているが、表向きはいつも通り。和やかなティータイムが終わると、エントランスで皆を見送ったが……。
「昨日、ベヴァリッジ公爵令嬢も体育祭に参加されていました。競技にも出場していますし、体育祭実行委員としても動いていたのです。疲れているのはわたしたちと変わらないはずです」
そう言い出したのはエリック。
「わたしは何度かベヴァリッジ公爵令嬢にセルフマッサージの仕方を教わり、自分なりに会得したつもりです。よって夕食までまだお時間があると思うので、わたしがベヴァリッジ公爵令嬢にマッサージをしてもいいでしょうか?」
エリックは……いつもそうだった。みんなが「早く自分にマッサージを!」となる中、毎度自身がマッサージを受ける前に、私に気遣いを示す。スペシャルなスイーツを用意して食べさせてくれたり、手の平のマッサージをしてくれたり。
「それならば自分もマッサージは覚えているのでできます!」
「僕だってできる!」
「私もやれます!」
ケント、カッセル、ポメリアもそう言ってくれるが、ここは一番で手を挙げたエリックに軍配が上がって当然。エリックを残し、他のメンバーは帰宅の途につく。
再び温室へ戻りながら歩き出すと、エリックはこんなことを話し出す。
「実はマグノリアの香を持参しています。ベヴァリッジ公爵令嬢が好きな香りだと言っていたので、手配したのです。この香りを楽しんでいただきながら、ベヴァリッジ公爵令嬢がリラックスできるといいのですが」
「まあ、それは楽しみです! ありがとうございます!」
やはりこういう気配りができるのはエリックならではと思う。しかも温室に戻り、早速、香を焚くと……。
「まずは肩からでいかがですか? 疲労物質を軽減するには中枢から末端がいいのですよね?」
「はい。肩から上腕、前腕、手の平という順番が良いかと」
エリックは以前話したことをちゃんと覚えていて、しかもとてもソフトで心地良いマッサージをしてくれる。
「どうでしょうか? リラックス出来ていますか?」
「とても……お上手です、殿下。王太子なのにマッサージまで得意だなんて、非の打ち所がありません!」
そんなジョークを言えるぐらい寛いでいると、エリックは空気を読んだ上でこんなふうに切り出す。
「距離もありましたし、わたし自身ウトウトしていました。そのまま眠りに落ちそうでしたが、つい気になってしまい……地獄耳で申し訳ないです」
これには「?」となるが、エリックは続けてこう明かす。
「ポロロック男爵令嬢との会話が……聞こえてしまったのです」
これには「あっ」だったが仕方ない。個室ではなく、広々とした温室にいたのだ。
「ダイセン侯爵令息のことを、ポロロック男爵令嬢は好きなのに、不思議な考えに囚われているようですね。ベヴァリッジ公爵令嬢がこの世界のヒロインで、わたしを含めた三人の令息があなたの寵愛を得る候補だと」
「ポロロック男爵令嬢に代わってお詫び申し上げます。殿下を侮辱するつもりはなく、なんというかロマンス小説のような夢物語を」
「大丈夫ですよ」
エリックが私の言葉に重ねるようにして口を開く。
「ベヴァリッジ公爵令嬢の寵愛を競うというのは、あながち間違っていないですから。ポロロック男爵令嬢の発言で王族への侮辱罪を問うなんてしませんから、安心してください」
「……それは寛容に判断いただき、ありがとうございます」
(寵愛を競うというより、マッサージに夢中になっているだけよ、みんな)
「その話を聞いて思ったのですが、ポロロック男爵令嬢はベヴァリッジ公爵令嬢にかなり遠慮しています。それは爵位もあるのでしょうが、もっと別の何かが要因のように思えます。よって不思議な設定の話、ヒロインがどうのを気にせず、自分の気持ちを貫けと言っても無駄な気がしました」
「それは……そうなんです。まさにその点を悩んでいました。私のことなど気にせず、自身の気持ちを大切にしてくれたらと思っているのですが……」
お気に入りのマグノリアの香りもしているし、エリックのマッサージはとても上手だった。すっかりリラックスしていた私はつい、胸の内を明かしている。
「そう悩む気持ちは分かります。一つ策を思いついたのですが」
頭脳明晰で知られるエリックが思いついた策! どんなもなのか気になる。
「教えてください!」
「とても簡単なことですよ。ポロロック男爵令嬢は、ダイセン侯爵令息のことが気になっている。でもダイセン侯爵令息はベヴァリッジ公爵令嬢の恋愛対象だと、なぜかポロロック男爵令嬢は思っているのです。それならばそうではないと、示せばいいだけですよ」
「それは……そうなのですが、そうではないと言ってもポロロック男爵令嬢は納得してくれないかと」
するとエリックは私の手のひらをマッサージしながらゆったりと告げる。
「言葉では納得出来ないのだと思います。行動で示すのが一番です」
お読みいただきありがとうございます!
エリックが思いついた、その方法とは!?
もう1話、本日公開します~
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