Dead or Alive(死ぬか生きるか)!?(5)
「ケント卿はどんなタイプの異性が好きなのですか?」
「ぶわっ、ふぁ、ふぁい!?」
探りを入れる……遠回しに聞いても脳筋なケントには通用しないと思い、ストレートに尋ねたところ。いつものマッサージとは違い、変な声は出ないはずなのに。カッセルはむせるようにして叫んだ。
「大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫では……ないです。な、なんで突然、好きな異性のことなど聞くのですか!?」
「それはケント卿に想いを寄せている令嬢を見かけたので……」
私の言葉に驚いたケントの全身の筋肉が、分かりやすく瞬時に強張る。
「そ、そうなのですか!? 自分は騎士になることしか頭にないような人間なのに」
「今はそうでしょう。騎士になることが脳内を一番で占めています。ですが好きな令嬢が出来たら、彼女のことで脳内はいっぱいになりますよ。年齢も年齢ですから、その彼女とイチャイチャしたい、キスをしたい、手をつなぎたいとなるはずです。そうなったら騎士を目指しつつ、恋愛もできる人間になります。そこは心配ありません」
「そうなんですか……! 好きになる……好きになると、キ、キスをしたり、手をつなぎたいと思うのですか……?」
本能的にもそうなる男子が多いと思う。逆に問いたい。
「ケント卿はそうは思わないのですか? キスとしたいとか。手をつなぎたいと思わないのですか?」
「自分は……自分はもっと筋肉をもみほぐして欲しい。そこでマッサージをやめないで欲しいと思います。別にキスや手をつなぐ必要は……」
(さすが脳筋男子のケントだわ。私にぞっこん=マッサージに陥落=神の手にハマっているのに、それが私を異性として好き……と勘違いしている)
「ケント卿が今、感じているその感情は、異性を好きとは違うと思います。自身の筋肉にとって必要不可欠な人間を見つけ、大切に思っているだけです。そしてその相手がたまたま異性だったので、好きなのではないか――そう勘違いしているだけに思えます。だからこそ、その相手とキスや手をつなぐ必要はなく、筋肉のケアを求めるのでは?」
「そう言われると……その通りですね」
(やっぱり脳筋だわ!)
私のことは筋肉に有用な人間としか思っていないと、あっさり認めたのだ。
(でもこれでいいの。これが彼の良さでもあると思う。だって素直に私の指摘に納得し、まさに好きだと勘違いしている相手から、それは勘違いだと指摘されているのに、慌てることもないのだから。そんなふうに抜けているところは、何だか母性本能をくすぐられ、愛らしく感じる。出来の悪い子どもほど憎めない、みたいな)
リラックスできるマッサージを続けながら、私は会話を続ける。
「つまり今はケント卿は好きな異性はいなんですよ」
「そうみたいです……!」
「それならばケント卿に想いを寄せる令嬢がいて、告白されたら……向き合ってみるといいと思います。その令嬢とのキスや手をつなぐ自分を想像するんです。筋肉のケアをしてくれる相手は、卿にとっては大切な友人。決してキスや手をつなぎたい相手ではない。ですがその令嬢となら……そこでもし少しでも彼女とのキスや手をつなぐことを想像してドキドキ出来たら……恋愛対象の異性であるに違いありません!」
これには「理解できました!」と、ケントは大いに納得している。
(この素直さは本当に好ましく感じるわ。そしてケントに恋愛ができる下地ができたと思う。あとはポメリアがケントに告白すればいい。ヒロイン有利になる乙女ゲームの世界。告白はきっと上手く行くはずよ)
そこで私は次にポメリアに話を聞いてみることにしたのだ!
お読みいただきありがとうございます!
とっても素直な脳筋ケント。
既にトキメキ状態のヒロインとこのままいけば……
続きは明日、公開しますね~
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