Dead or Alive(死ぬか生きるか)!?(3)
まさか転移した乙女ゲームの世界で体育祭に参加するなんて。しかも前世でも中学生以来の綱引きをやることになるなんて、と思うものの。
私のクラス、B組は体躯のいいケントがいるからか。順調に勝ち進み、遂に決勝戦を迎えた。
ただ、綱をみんなで思いっきり引っ張るという競技なのに。
(予想外に熱い!)
それは参加者だけなく、応援をする生徒も同じだった。
「皆さん、頑張ってください! 綱引きは腕力勝負ではありません! 太ももとお尻で踏ん張ってください。体を後ろに倒して体重を活かしましょう! 肘を軽く曲げて引くと、持久力も上がりますよ!」
ベヴァリッジ公爵令嬢のアドバイスは分かりやすい。
(さすが私の女神様っ!)
みんなすぐに実践し、その結果の決勝戦だった。
「この綱引き、勝利をベヴァリッジ公爵令嬢に捧げたい」
ケントのこの言葉には強く同意し、「私も同じく!」と答えた。するとカッセルも「僕もです」と応じる。
以前はこの令息たちに絡むと、制服が汚れるというジンクスがあったが、最近はそれもなくなった。彼らと話してもシュルエツ子爵令嬢が現れることもなく、制服も無事だ。
(これもそれも全部、ベヴァリッジ公爵令嬢の加護のおかげに思えるわ!)
それに今、毎週日曜に公爵邸で行われる女神のマッサージのおかげで、みんな仲良く(順番待ちでピリッとする瞬間はあるが)なったと思う。
(仲はいいけれど、女神の寵愛は奪い合いな気がする!)
「それでは決勝戦を始めます。位置について綱を持ってください。まだ引いてはダメですよ」
ケントとカッセルの顔がキリッとする。
「ではよーい……スタート!」
グラウンドにいる楽団が音楽で盛り上げ、私やケント、カッセルは「せーの、せーの」で綱を引く。
「頑張ってくださいませ〜!」
「ファイト〜!」
ベヴァリッジ公爵令嬢やシュルエツ子爵令嬢がエールを送ってくれる。
掛け声と声援の中、ギリギリのせめぎあいが続く。
「くっ、さすが三年生! しかも決勝の相手」
「引きが強いですね!」
ケントとカッセルが唸るが、まさにその通り。
綱は一進一退で行ったり来たりをしている。
「でも、これは負けられない……戦いですっ!」
私が歯を食いしばりながら伝える。
「ベヴァリッジ公爵令嬢も応援してくれているのだから」
ケントの額には青筋が浮いて見える。
「体力は劣りますが、みんなとなら勝てる!」
カッセルの言葉に「そうです!」と叫び、「せーのー!」の掛け声が強まったその時。
まるでブチンと綱が切れたかのように。
引っ張られる力が一瞬で消え、勢いよく綱を引き寄せることができた。
「「「!」」」
「勝負ありです! 一年B組の勝利!」
一瞬の静寂の後。
「うわぁ」「やったぁ」「勝った!」「優勝だ!」
歓喜の声が沸き上がり、綱を放したみんなが周囲のクラスメイトハグで喜びを分かち合う。私もすぐ隣にいたケントとハグをしようとしたのだけど……。
「いたっ!」
「ポロロック男爵令嬢、どうしましたか!?」
ケントがハグをしようとした体勢で固まる。
「腕と肩と首が……」
「! それはきっと綱引きで腕に力を入れ過ぎて、肩と首にダメージが出たのでは!?」
「多分そうです! 私、元々肩凝りがひどいから……」
「それは知っています。いつもベヴァリッジ公爵令嬢に肩と首をマッサージしてもらっているの、見てますから」
そう言いながら、なんとケントが私を抱き上げたのだ!
「ダイセン侯爵令息!?」
「救護用テントにお連れします。ベヴァリッジ公爵令嬢にこういった場合の対処法を習いました。綱引きにより、ポロロック男爵令嬢の腕・肩・首の筋肉は血流が悪い状態です。よって温めるのがいい。そして軽めのストレッチをして、軽くさする。これを今すぐにやるとやらないでは、大違いですから!」
「な、なるほど。ベヴァリッジ公爵令嬢に習ったなら間違いないですね」
ケントは「はい。安心してください、ポロロック男爵令嬢。一連のケアは自分でできますから」と白い歯を見せてスマイル。
なんだがその笑顔は実に爽やかで、まさにスポーツマンという感じで清々しい。
さらにこんなふうに異性からお姫様抱っこをされるのは人生初だった。
前世高校生の時、コンクールでの優勝を祝い、当時付き合っていた彼が、恋人の私を抱き上げようとした。しかし私の体重が重過ぎたのか、抱き上げようとして、彼がひっくり返りそうになったのだ。
(あの時の経験から、男子は誰でもお姫様抱っこをできるわけではないと思ったけれど……)
ケントはさすが、騎士見習いをしているだけあった。熱戦の続いた綱引きの後なのに、疲れなど微塵もなく、余裕で私を抱き上げて歩き出し、救護用テントへ連れて行ってくれる。さらに到着すると養護教諭に私の状況を説明して、お湯を手配し、温かいタオルで腕や肩、首をケアしてくれるのだ。
「最後は腕から肩、首にかけさすることになります。なるべく素肌に触れないようにしますが、もし自分が嫌なら、ベヴァリッジ公爵令嬢を呼んできますが?」
「大丈夫です! このままダイセン侯爵令息にケアいただくので問題ありません」
ベヴァリッジ公爵令嬢命のはずなのに。ケントにそのままケアしてもらうのでいいと……即答していた。
お読みいただき、ありがとうございます!
綱引き……熱い(笑)
続きは明日更新しますね♪
(裏:ストックなくなったよ~執筆、執筆~)
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