第二話
コリンとアバンが生徒会室に入った。
「ニール様、おはようございます」
「おは……ようございます!?……で、どちら様でしょうか?」
ニールはメガネを掛け直したが結局誰だかわからなかった。
「よっ!」
アバンが軽い挨拶をした。誰も気にしていないようだ。
「何でアバンは普通に入ってくるんだ!このお嬢様はどちらの方だい」
誰だかわからないので、知っていそうなアバンに聞いた。
「ハッハッハ!コリン嬢だよ!見ればわかるだろ」
首をブンブンふるニール。
「いやいやいや、分からないって!本当にコリン嬢なのですか」
まだ信じられないようだ。
「……はい」
声を良く聞いたらコリンと同じ声だとわかった。やっと、この令嬢がコリンだとわかった。
「……申し訳ありません。余りにも変わっていたから……じゃなくて、綺麗になっていたもので」
クイっとメガネを上げ言い訳をした。
「謝らないでください!しょうがないです、私も変わってびっくりしてるぐらいですから」
ニールがまだ衝撃を受けていると、メイリーンとラザールが生徒会室に入って来た。
メイリーンはコリンを見るなり嬉しそうに近づいた。
「あら!?コリン!あの個性的なメガネ外したの。やっぱ、メガネがない方が断然いいわ」
友人に言われコリンは自覚した。やはりあのメガネはダサかったと。
「やっぱ、似合ってなかたよね」
ザイールは頭の中をフル回転させ、今の状況を整理した。綺麗な令嬢を見て喜ぶメイリーンに頭を抱えてるニール……わかった!この令嬢はコリン嬢だと!
「……私は初めからコリン嬢だとわかってたぞ。うむ、初めか」
「殿下!嘘言ってはダメです」
メイリーンには全てバレ、注意された。婚約者にゾッコンのザイールはすぐコリンに謝った。メイリーンに逆らえない。もう尻に轢かれているのだ。
「す、すまんなコリン嬢」
「いえいえ!頭を下げないでください!」
慌てるコリン。王族に頭を下げられるなんて普通ありえないのだ。まぁ、この生徒会室には気心知れた友人しかいないから大丈夫だろう。
「いいじゃないか!次期国王は自分の過ちを認めることができる素晴らしい王になるぞ。ハッハッハ!次の時勢も安泰だ!」
アバンが殿下の肩をぱんぱん叩きながら笑っている。不敬罪にならないかヒヤヒヤするコリン。他の三人は気にしていないようだ。アバンに不敬罪が適用しないようだ。
※ただ仲良しなだけ。公の場合はしっかり殿下を立てます。
「コリン、学園休んでたけど大丈夫ですの?それに婚約解消したんでしょ」
メイリーンはコリンが婚約解消してることを知っているようだ。さすが次期王妃。耳が早い!
「はい……もう令息様とは婚約解消しました」
「あんなに慕ってたのに残念ね。彼の為に頑張ってたのに……不貞をしていたらしょうがないわね」
「はい、でも、気持ちはスッキリしてるんです。何だか自由になった感じなんです!」
「あら!?何かあったみたいね!さぁ、わたくしに詳しく教えなさいな」
ちらっとアバンを見た。きっとこれも知られているのだろう。
「「私も!」」
メガネと殿下も興味深々だ。
「おい!コリン嬢が困っているだろ!なあ、なあ、だから、この辺でやめとこうな、なあ」
いつも態度の大きいアバンではなく、必死に話をそらそうとしている。コリンを慰めていたことを知られたくないようだ。
「いいね!久々に困ってるアバンを見たよ。なあ」
ぱんぱんアバンの肩を叩いた。立場が逆転してしまったようだ。
まぁ、元々殿下の方が上ではあるが。
「では、殿下。アバンの弱点もわかりましたから、今までの鬱憤を晴らしましょうか」
ニールはメガネのクイックイッを頻繁にし興奮してるようだ。
二人はニヤニヤしながらアバンをいじる計画を立てた。本当に仲がいいようだ。
「や、やめてくれ〜っ!」
と、顔を赤くしながらアバンが叫んでいると、生徒会に関係ない二人がノックもなく入って来た! バァン!!
「コリンを出せ!早く僕の前に出せ!」
「はぁはぁはぁ、ケヴィン様……待ってくださいませ……はぁはぁ」
慌てて来たであろう、ケヴィンとラクス。ケヴィンは顔を真っ赤にし、ラクスはここまで走って疲れているようだ。
今、学園中で綺麗な令嬢が現れたと話題になっている。それが、地味な令嬢だったコリンだと噂になっていた。ケヴィンはそれを聞き、コリンのいる生徒会室まで走って来た。今ならまだ間に合う……地味なコリンに戻せる。綺麗になったコリンを他の男共に見せたくない!と。
急に入って来たケヴィンに驚いたコリン。
「えっ!何でスチュアート侯爵令息様が!」
「何だよ、その呼び方は!僕の名を呼べ!それに何で僕の許しなくメガネを外した!なんだその厚化粧は!早く顔を洗って、メガネを掛けろ!」
「……嫌です!あんなダサいメガネなんて掛けません!」
もう、以前のコリンではない。自信を少し取り戻したコリンは変わろうとしている。
「な、なんだとーっ!僕の物の分際で!口答えするな」
頭に血が溜まったケヴィンはコリンに飛び掛かろうとした。自分の言うことを聞かないコリンに躾をしようとしているのだ。だが、
「ぐへぇ!」
ケヴィンは殴られ倒れ込んだ。それを見ていたラクスが心配した。
「きゃあーっ!ケヴィン様がっ!」
倒れているケヴィンの前にアバンが立った。彼がコリンを守る為にケヴィンを殴り飛ばしたようだ。
「お前、コリン嬢に暴力振るおうとしたな!!ただで済むと思うな」
さっきまで、羞恥心に耐えていたアバンではなかった。今ではコリンを騎士のように守っいる。コリンに傷一つ付けない為に。
「痛いな!!よくも僕を殴ったな!僕は次期侯爵だぞ。父さんに言ってスカッシュ侯爵に抗議してやる」
「すればいいだろ。俺は悪い事してないんだからな。むしろ、お前の方が処分受けるんじゃないか。この生徒会室に誰がいると思ってるんだ」
辺りを見回した。ケヴィンは唖然としているようだ。やっと気づいたようだ。王と公爵の息子がいることに。
「が、学園では平等だろ!爵位が自分より上だって王族だって関係ないだろ」
「だってよ」
アバンが殿下に話を振った。
「なわけあるか!そもそも君、自分で次期侯爵だって爵位を笠に着ていたね。それに学園は貴族の縮図だよ。君みたいに平等だと本当に思っている生徒はいないさ。本当に君、あの侯爵の息子なのか。はぁ、将来が不安になるね」
殿下にいわれ何も言えなくなっケヴィン。殿下には口答えはしないようだ。そこまで馬鹿ではないらしい。だが、悔しくてたまらない。
「ぐぬぅ」
「だそうだ」
だが、ケヴィンは自分より下だと認識した相手には噛み付く。
「僕に上から目線で喋るな!!たかが養子で侯爵を継ぐんだろ!僕と違って血が繋がってないんだろ」
「「「あちゃーっ!」」」
殿下、メガネ、メイリーンがアバンに対してそれ言っちゃう!って感じで反応した。
「なんですの!?」
不思議がるラクス。
「俺を知らない奴がこの学園にいるとわな。ああ、そうか、まだ一年だもんな。けど、普通知ってるぞ」
アバンは呆れているようだ。
『すみません!私も知りません!』
コリンが心の中で謝罪した。
「誰だよ!どうせたいし、グヘェ……」
ケヴィンは誰かに殴られ吹っ飛んだ。その先をもし言っていたら彼は終わっていただろう。そんなケヴィンを殴り救ったのは……、
「愚息が申し訳ありませんでした」
と、スチュアート侯爵が生徒会室に現れ頭を下げた。殿下ではなくアバンに。スチュアート侯爵はアバンが誰の息子だかわかっているようだ。
次回! 何故ここにスチュアート侯爵?
追加情報!
この作品のプロット短編を投稿しました。内容は半分以上は同じです。よろしければ一読お願いしますm(_ _)m
登場人物とラストは違います。
これを元にこの連載を書いています。
読んで下さりありがとうございます。
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