「いいね!の中の殺意」
大学生探偵のユウマは、SNS分析に詳しい元刑事で、日々SNSに関わる小さなトラブル解決の依頼をこなしていた。そんなある日、彼のもとに昔の友人であり、現在は人気インフルエンサーとして活躍するアキラから「助けてほしい」というメッセージが届く。
「ユウマ、ちょっと今、かなりヤバいことになってるんだ…」
アキラのメッセージは慌てたような様子で、何度も自分の投稿に「いいね」がついていることを気にしているようだった。ユウマには、何が「ヤバい」のかはすぐに理解できなかったが、とにかくアキラを心配し、メッセージの指示通り彼の自宅に向かうことにした。
しかし、ユウマがアキラの自宅に到着したとき、すでに彼の姿はなくなっていた。部屋の中は物が散らかり、明らかに何かがあったことを物語っている。ユウマは急いでスマホを取り出し、アキラのSNSアカウントを確認する。すると、彼の最新の投稿には、次のような奇妙なメッセージが添えられていた。
「助けて…誰かが、見ている。」
その投稿には、普段以上に多くの「いいね!」がついていたが、ユウマの目を引いたのは、いいねをしたアカウントの中に「フォロワー数ゼロ」の謎のアカウントが含まれていることだった。そのアカウントは一見すると空っぽのようだが、どの投稿にも「いいね」を押しているという異常な動きが確認できた。
「何かがおかしい…」とユウマは感じ、アキラのアカウントの過去の投稿も調べてみることにした。すると、アキラの最近の投稿にたびたびこの「フォロワー数ゼロのアカウント」が出没していることに気づく。そして、このアカウントがいいねを押していたのは、アキラ以外にも、ほかの有名なインフルエンサーたちのアカウントにも共通していた。
さらに調査を続けるうちに、他の人気インフルエンサーたちも「いいね!」の数が急に増えたタイミングで何か不審な出来事に巻き込まれていることが判明する。ある者は急にフォロワー数が増えた翌日に体調を崩し、またある者は謎のメッセージが届いた後に行方不明になったという噂もあった。
ユウマはこれを「ただの偶然」と片付けることができなかった。もしかすると、この謎のアカウントはインフルエンサーたちの“事件”に何らかの関与をしているのではないかと考え始める。
その晩、ユウマはもう一度アキラの最新投稿を見返していると、コメント欄に奇妙なメッセージが紛れ込んでいることに気づく。それは、まるで暗号のような意味不明な文章だったが、繰り返し出てくる単語があった。「#影」「#見えない手」「#いいねの真実」など、まるで何かを伝えようとするかのように一つの投稿にだけ連続で添えられていたのだ。
「…これは、誰かが意図的に“ヒント”を残している?」
ユウマはこの奇妙なハッシュタグが事件の手がかりになると考え、過去の投稿にさかのぼって、同じようなハッシュタグが他のインフルエンサーたちの投稿にも紛れ込んでいることを確認する。そして、そのハッシュタグが付いている投稿は全て「フォロワーゼロ」のアカウントによって「いいね」されていた。
ユウマは、どうやらこの謎のアカウントが「いいね」を押すことによって、ターゲットにされたインフルエンサーたちが次々と事件に巻き込まれている可能性が高いと推測する。
「いいね!がただの支持じゃない…何かのトリガーだとしたら?」
この仮説を確かめるべく、ユウマは次に自分のアカウントで実験的に「#影」「#見えない手」などのハッシュタグをつけて投稿することにする。彼の意図は、この謎のアカウントに自分の投稿を「いいね」させることで、次の一手を探るためだった。果たしてユウマの投稿は、フォロワーゼロのアカウントに「いいね」されるのか?そして、アカウントの正体は一体誰なのか?
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