第6話 遠征
第6話 遠征
私の初めての戦闘の様子と、すでにレベルアップしたという事が、すぐに国王陛下に伝えられた。
そのことに感心した国王陛下から、より良い装備が支給されることとなった。
「国王陛下より、これほどの装備一式を賜るとは、流石ルナね」
「うむ、すでに剣士としてのたたずまいが感じられるよ。次はビスト半島へレベリングに行きませんか?」
「ビスト半島って?」
「北の森を抜けて北西へ行くと半島になっていて、そこがビスト半島です。我が王国が、以前にバース大陸よりこの島に撤退してきたとき、このあたりの魔物をビスト半島へと追いやったという経緯があります。だからあの半島には魔物が沢山生息しているのです」
「なるほど…、そこまでの移動手段はどうするの?」
「はい、森を抜けるので、馬車は使えません。よって、歩いて行かねばなりません。歩いて四日ほどで着くでしょうか」
「分かったわ、早速準備を開始して、準備が整い次第出発しましょう」
遠征の準備品は、すべて王国が用意してくれた。
転生して初めての旅行、否、遠征だが、装備も良くなったし、近い年齢同士で行くのは、何だか楽しみだ。
そして、準備が整い、四人で遠征へと出発した。
北の森では弱い魔物しか出現せず、私がひとりですべて始末した。
私たちは、半日ほどで北の森を抜けることが出来た。
森を抜けると、次第に岩が多く見られるようになり、道はだんだんと上り坂となった。
「ここからは峠道になる。岩ばかりのこの辺りでは、ロック・リザードがよく出現するから、気をつけていきましょう」とゲイリー。
「それは、どんな魔物なの?」
「巨大で獰猛なトカゲの魔物ですね。鱗がかたく、並の剣ではダメージを与えるのが難しいでしょう。でも、国王陛下より賜ったその剣なら問題ないでしょう」
「それなら、私一人で戦闘するわ」
「それは少し危険ではありませんか?」とオリビア。
「大丈夫よ。危なくなったら手助けして」
「分かりました、頑張って」
しばらく歩いていると、崖の上から巨大な岩が落ちて来た。
よく見ると岩に見えたそれは、岩ではなかった。
それは、ゆっくりと身体を伸ばしトカゲの姿になった。
それは丸まって落ちてきたロック・リザードであったのだ。
「行くわ!」
私はスロー・タイムを発動した。
それと共に時間の流れが遅くなる。
私は疾走しロック・リザードに近づくと、斬撃を加えた。
しかし、鱗がかたく、大きなダメージとはならなかった。
なかなか硬いわね。
観察をしていると、ロック・リザードが噛みついてきた。
「うわっ、あんなのに噛みつかれたらたまらないわ」
しかしその動きは緩慢であったため、余裕を持って避けることが出来た。
今度は私の番ね。
その時だった。
“後、十秒ほどでスロー・タイムが終了します”頭の中で警告が発せられた。
何これ、やばいじゃない、時間制限があるのね、時間をかけすぎたわ。
私は大急ぎで、何度も剣を振るい、傷が大きくなったところで、火球の魔法を炸裂させた。
ギリギリだった。
それと共にスロー・タイムは終了し、時間の流れが元に戻った。
裂けた鱗の部分を狙った火球の魔法は、ロック・リザードの内部を魔法の炎で燃焼させている。
そのまま魔法の炎が燃え尽きると、ロック・リザードは動かなくなった。
スロー・タイムに時間制限があったなんて!
時間制限は四~五十秒って所かしら。
「ルナ、大丈夫?」
「大丈夫よ。ちょっと予定がくるって焦ったけど、問題ないわ」
ロック・リザードの死んだところには、肉が残されていた。
「ロック・リザードの肉ゲットね。これ、美味しいよ。今晩の食事にとっておきましょう」
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