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第6話 能力鑑定

レン君の冒険者登録です。

第6話 能力鑑定

カララーン、けたたましいベルの音とともに冒険者ギルドの扉を開け、僕たちは中に入った。

ギルドの中は薄暗く古びた感じがしたが、案外広く、多くの冒険者で賑わっていた。右側を見ると、様々なクエストや連絡事項が書かれた掲示板があり、それを確認しながらなにやら話し合っている人たちが見える。

左側を見ると、そこはレストランのような空間となっており、いくつかのテーブルと椅子が置かれ、食事やミーティングをする冒険者達が確認できた。

奥に進んでいくと、横長の受付用のカウンターがあり、いくつかの窓口が設けられていた。

ライトとディアはその一つである冒険者登録窓口に歩いて行くと、自分たちの身分を証明する冒険者証を提示しつつ、受付嬢に声をかけた。

「この子の冒険者登録をしたいんだが、お願いできるだろうか」

「はい、少々お待ちください。…えっライト…様とディア様?!」受付嬢はなぜか驚く表情を見せ、「ギルマスをお呼びしましょう、少しお待ちください」と言い、あわててその場を離れようとした。

「ちょっと待ってくれ。今は呼ばなくていい。それより登録を進めてくれないか」

「そうですか…わかりました。この方の登録ですね。ではまず重要事項の説明からはじめましょう。あの、お名前は?」

「レンです」

「レンさんですね、大切なので、よく聞いてください」

「ます冒険者ギルドについて。冒険者ギルドは、冒険者を管理・サポートするための組織で、リベリス国王陛下が設置者となります、すなわちリベリス王国の管理下にある組織であると言えます。各国に冒険者ギルドがありますが、それぞれの国に属しています。各国の冒険者ギルドとは、連絡や連携をとることがありますが、基本的には別組織です。我が国は大国なので、他国への入国の際に、我が国の冒険者証を身分証明として使用し、入国することができます。また、冒険者登録は一つの国でしかできず、複数の冒険者証を持つことはできません。もし他国で冒険者登録をする場合、我が国で発行した冒険者証は失効となります。ご注意ください。冒険者ギルドにはいくつかの規則があり、それに反するとペナルティーが与えられ、場合によっては除名処分となるので気をつけてください。規則はそちらの掲示板にかかれています、後で確認してください。ギルドからクエストが発令することがありますが、それにはできるだけ応じてください。特に緊急クエストには必ず応じるようにしてください。しかし、万が一、戦争への参加クエストが発令された場合、まあこれは違反条項にあたるので、発令されることはないとは思うんですが、その場合には拒否することができます」

「次に能力鑑定に関して。冒険者ギルドに登録する前には、必ず能力鑑定を受けていただく必要があります。登録後の能力鑑定は、基本的に任意で行っていただきますが、自分の能力を把握することはとても大切であり、頻回に鑑定することをおすすめします。またギルドから能力鑑定を求められた際には、必ず行ってください」

「能力鑑定で分かる能力やスキルは、とても大切な個人情報となります。信頼の置ける親しい人以外には、口外しないように注意してください。能力鑑定の際にギルド職員も鑑定内容を知ることとなりますが、ギルド外に漏れないよう呪縛が施されておりますので、ギルド職員の口から外にもれることはありません。ご安心してください。但しギルドの性質上、冒険者の能力を職員で共有する必要がありますので、その点はご了承ください。以上ですが、質問はありませんか?」

「・・・だ、大丈夫です」

「わかりました。ではさっそく能力鑑定に移りましょう。まずこちらの青いオーブに左手を乗せてください。…はい。つぎに右手でこの赤いオーブを持って…、右手のオーブを胸に当ててください。…はい、そのまましばらくじっとしてください」

赤と青のオーブがそれぞれ何度か淡く点滅すると、光はすっと消えていった。

「終わりました。これで鑑定は終了し、情報はギルド内部に記録されています。確認用のスキルペーパーを用意いたしますね。少しお待ちください」

そして一枚の紙を取り出すと、赤と青のオーブを乗せ、何やら呪文を唱えた。

すると、再びオーブが淡く光り、それとともに紙に文字が浮かび上がってきた。そして、光が消滅するとともに、スキルペーパーは完成した。

受付嬢が、出来上がったスキルペーパーを確認するように見ると、なぜか驚きで固まっている。

「これは!!…ギルドマスターを呼んで参ります。少しお待ちください」そう言うと、慌てて階段を上がっていってしまった。

「え、どうしたの?なんでギルドマスターを呼びに行ったの?」

「うーん、どうしてだろうね。…特殊なclassだったからかもしれないね…」

しばらくすると、受付嬢はギルドマスターと思われる人物を伴い戻って来た。

その人物は微笑みながら、ライトとディアに声をかけた。

「ライト、ディア、久しぶりじゃないか。元気にしていたか?」

「久しぶりだな、トッド。見ての通り元気にしているよ。トッドも元気そうで何よりだ。後で会いに行くつもりにしていたんだがな…」

「久しぶりね、トッド。会えて嬉しいわ。でも今日はね、あなたに会いに来たんじゃなくて、この子の登録に来たのよ」

「あーわかっているさ。しかしこの子が…。まあここでは何だな、俺の部屋に来てくれ。そこで話がしたい。ついて来てくれ」と言うと、踵を返し、階段を上っていってしまった。

ギルドマスターの部屋に入ると、ギルドマスターは豪華なソファに腰をおろし、僕たちにも座るように勧めてくれた。

そしてスキルペーパーを取り出すと、僕に話しかけてきた。

「レン君だね。俺はギルドマスターのトッドだ。俺とライトとディアは、昔一緒に旅をした仲間でな。今はギルマスをしているが、二人とはまあ身内みたいなもんだ。緊張せずに、気を楽にしてくれ」

「はい、ありがとうございます」

「で、ライト、ディア、この子は?」

「ああそうだな、説明する必要があるな。1年半ほど前のことだ。未踏の森の方から一人で歩いてくるレンと出会い、保護したんだ。レンは奇妙な服を着ていたし、誰も行かないはずの未踏の森の方から歩いて来たから、転生者かもしれないと思ったんだ。レンはひとりぼっちだったから、この世界で生きていけるように、いろいろ教え、育ててきたんだ。今では私たちの大切な息子だよ」

「なるほど…そういう事情だったか。ミーアのことがあってから、落ち込むおまえ達を見るのは辛かったが、新たな生きがいを見つけたんだな…。」

「ところでレン君、今から鑑定結果について説明するが、ライトとディアには鑑定結果を見てもらっても良いかな?」

「はい。もちろんかまいません」

「よろしい。これが君の鑑定結果だ。文字は読めるか?」と言いながらスキルペーパーを机の上に置いた。


レン 人間族 13歳 男

職業 忍者 職業レベル2

基礎ステータス

 力 16、知性 15、信仰心 15、生命力 17、体力 16、敏捷性 18、

幸運 17、器用さ 15

職業スキル

 ステルス レベル2、遠見の術 レベル1、暗視 レベル2、

気配察知 レベル3、状態異常抵抗 レベル1、暗殺 レベル2、

投擲 レベル2

固有スキル

 時空間操作 レベル2、魔力操作 レベル2

生活魔法

火属性 レベル2、水属性 レベル2、風属性 レベル2、土属性 レベル1、

精神属性 レベル1

その他 攻撃魔法適正なし


「どうだ…?と言っても分からんだろうから、説明するぞ」

「まず忍者という職業だ。これは極めてまれなclassでな、少なくともこの200年間に、このclassが発現したという記録はない。

伝承として、その職業名は伝わっているが、詳細は一切分かっていない。

次に基礎ステータスだ。

駆け出しの冒険者のステータスは、どのステータスもほとんどの場合は10前後なんだ。

だから、レン君は極めて高い基本ステータスを持っていると言える。

まあBランクの冒険者並みだな。

駆け出しの冒険者だと、およそ五千人に一人ぐらいの頻度でこのような高ステータスの者がいる。

そして固有スキルの時空間操作、これも特殊でレアなスキルだ。

空間操作だけを持つ者は時々いる。

だが俺が知る限り、時空間操作を持つ者は、レン君以外では一人しかしらん。

最後に生活魔法だ。

もちろん生活魔法はありふれた誰でも使える魔法だが、普通はせいぜい1-2種類の属性しか使えないものだ。

それが5種類もの属性が使えるとは驚きだ。

しかも精神魔法まで使えるときてる。

これはレアな上に、レベルが上がればいろいろな鑑定もできるようになる有能な属性だ。…全く、どうなっているんだか…」そう言うとギルドマスターは頭を抱え込んでしまった。

しばらくしてから頭を上げ、こちらを見ると、意を決したように話しかけてきた。

「レン君、君のclassは特殊であり、君は特殊なスキルを持っている。君の持つスキルについて教えてほしいことがある。ギルド、…いや、国としても把握しておく必要があるんだ。協力をお願いする」

僕が確認をするようにライトとディアを見ると、二人はうなずいている。

「分かりました、協力いたします」

「ありがとう。君には精神魔法レベル1があるから、自身の能力鑑定ができるはずだ。ステータスオープンと唱えてみてくれ」

「はい、ステータスオープン」すると視界の中に半透明なモニターのような物が出現し、スキルペーパーに書かれた物と同じ内容が読み取れるようになった。

「暗殺スキルを確認して教えてくれ」

「はい」

視界の中の暗殺スキルの部分に意識を合わせると、自然に内容が確認できた。

「暗殺スキルとは、相手から認識されていない状態で敵を攻撃すると、高確率でクリティカルが発生し、クリティカル攻撃が急所を捉えた場合、一撃必殺となるスキルである…ようです」

「…そうか、わかった。協力してくれてありがとう」

「どういたしまして」


どうぞよろしくお願いいたします。

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