第54話 レベル13
嵐の前の静けさ?
第54話 Bランク冒険者
共同戦線だったとはいえ、第二層のボスであるゴースト・エンペラーを倒した僕達は、正式にBランク冒険者と認定された。
ホークアイやアークエンジェルのメンバー達は、僕たちが何かしらの手段でゴースト・エンペラーを倒したのだろうと、いろいろ詮索してきたが、笑ってごまかしておいた。
「ホークアイやライジングサンの皆さんには、本当に感謝しかありません。私たちは、この迷宮の攻略を一旦中断し、マーリンに戻ります。でも、何かあればいつでも力になります。いつでも遠慮無く言って下さい」アヤカが感謝の言葉を発している。
去って行くアークエンジェルのメンバーを見送った後、僕たちは今後について相談する事にした。
今日は珍しく、女性陣の部屋での会食だ。
食事は、前世でいう所のいわゆる中華料理で、チャーハンと春巻き、中華スープといったところだ。
昼食なので軽め?の食事となっている。
「今後の予定を相談する前に、確認したいことがある」とメンデス。
「レン、時間停止に成功したんだな?」
「うん、あのときは無我夢中で、気づいたら時間が停止していた。でもまた出来るのか、いつでも出来るのかは分からない」
「そうか…。試してみないといけないな」
「で、エライザ、エンチャンテッド・ブレードを唱えられるのかな?」
「はい、レベル12になったときに覚えました」
「そうか、それならゴースト・エンペラーとの再戦も可能か…」
「さて、このことを踏まえて、これからのことを相談しよう」
「因みに、アークニート迷宮の第三層の適正レベルは12-15とされている。第三層に挑戦するのも手ではあるが、ゴースト・エンペラーの周回でレベルアップをめざすのも良いと思う。みんなの意見はどう?」
「私はレベルアップを優先したいですわ」とレイリア。
「レベルアップすると、リザレクションの呪文を覚えられるかもしれません。もうあんな悔しい思いはしたくありません。あのときリザレクションさえ覚えていれば…」
リザレクションの呪文は、死者をも蘇らせることが可能な呪文で、僧侶の最高位の魔法である。
「ん、ボクもボス周回に賛成」とサーシャ。
「ボクもニュークリア・バーストや転移の魔法を覚えられるかもしれない」
ニュークリア・バーストはゴースト・エンペラーが唱えようとしていた魔法で、核爆発の炎と爆発を生み出す、魔法使い最高位の魔法だ。
「私もボス周回に賛成なのです」
「私もボスの周回に賛成します」
「僕もボス周回に賛成」
「みんなの意見は一致したな、じゃあ明日からはゴースト・エンペラー周回としよう。エライザ、エンチャンテッド・ブレードを前衛の全員にかけられる?」
「出来ます。でも何度もかけ直せるわけではありませんし、一定時間で効果が消えてしまうので、倒す速さが重要になりますね」
「それなら、またレン次第かな?」
「効く確率は低いかもしれませんが、アンデットを成仏させる呪文、ホーリー・チャペルを連発しますわ。効果があれば一発で倒せますし」
「ん、ボクはやっぱりファイア・ストームをくらわせる」
「後は前衛陣で斬りまくるか…。大丈夫かな」
「OK」
僕たちはそれからゴースト・エンペラー周回を繰り返した。
エライザのエンチャンテッド・ブレードの効果は劇的で、前衛の物理攻撃が奏功するとなると、素早さがそれほどでもないゴースト・エンペラーを切り裂くのは困難ではなかった。
因みに、危機的な状況で強く願わないと発動しないのか、時間停止を試してみたが、発動させることは出来なかった。
僕たちはみんな、レベル13に到達した。
レベル13は多くのclassで完成を迎えるレベルと言われている。
そのclassで習得できるスキルを、すべて収得できる可能性があるからだ。
運が悪ければ、もう少しレベルを上げる必要が出てくることもあるが、サーシャもレイリアもスキルをすべて収得することに成功した。
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投稿前から書きためておいたものが、もうすぐ底をつきそうです。もう少しすると、投稿頻度が落ちると思いますが、頑張りますので、よろしくお願いします。