第47話 レベル上限
いろいろありまして、投稿がずいぶんと久しぶりになりました。
第47話 レベル上限
「さあどうする?このまま上の階に上がる?それとも休憩する?」
「どちらでも良いよ。でも、戦闘はそれほどタフじゃなかったから、二階に上がろうか?」
「じゃあ、そうしましょう」
「了解、そうしましょう」
僕達は、今自分たちがいる長細い部屋の中程にあった扉まで戻り、扉を開け部屋に入り、その先にある階段へと進んだ。
階段を上がると、そこは正方形の部屋となっていた。
一通り調べてみたが、上ってきた階段と扉が一つずつあるだけで、後は何も無い部屋だった。
通常、魔物が階段を使用し、異なる階へと移動することはない。
故に、この部屋では、扉にさえ注意していれば、魔物に奇襲される恐れがない。
「ちょっと気になることがあるから、少し時間をくれない?」とルナ。
「…?良いけど…?」そう言うと、僕は魔方陣を描くための聖水を取り出し、キャンプの準備に入った。
エライザは魔物から奇襲されないように扉に注意を向けている。
ルナはそれを確認すると、座禅を組み、瞳を閉じて、瞑想状態に入った。
僕は、ルナを含むように通常よりも大きめに魔方陣を描き、魔物よけの結界を張った。
結界が完成すると、エライザも少し気を緩め、休む態勢になった。
「ルナは何をしているのかな?魔力の補充でもないようだけど…」
「何だろうね…、自分のスキルの確認とか?」
その後、僕はエライザとルナを眺めながら談笑をした。
しばらくすると、瞑想を終えたルナが会話に入ってきた。
「お待たせ。あら、二人は何を楽しそうに話しているの?」
「いや、たいした話ではないよ、ちょっとした雑談。で、用事は済んだの?」
「済んだわよ。それで、一つ確認しておきたい事があるんだけど、良いかな?レベルの上限は20なのかな?そろそろレベルが上がっているだろうと思って鑑定してみたけど、レベルが上がってないのよ。ずっと20のまま…」
「多分そうだと思うよ。エライザも僕もレベル20から上がっていないし」
「やっぱりそうなのね。それならば仕方がないか…」
「何か問題でもあるの?」
「問題というほどでもないんだけれど、もうちょっと上げておきたかったステータスがあってね…」
「そうか。それは仕方がないかもしれないね…」
僕は、ルナが少し沈んだ顔に見えたので、少し気分を変えようと、収納ボックスからおやつを取り出した。
「これ結構いけるんだよ。食べてみて」と言いつつ二人に配った。
「これは何?」とエライザ。
一方、ルナは興味深そうに見ている。
「ちょっと見た目は悪いけど、味は大丈夫だよ。食べてみて」
恐る恐るといった感じで、エライザが一口食べた。
「あら、本当ね。美味しいわ」
「レン、これはごま団子ね?食べてみるわ」とルナ。
「そう。ごま団子を再現したんだけれど、見た目がどうしても上手くいかなくって…」
ルナも一口食べると、にっこり僕に微笑んだ。
「美味しいわよ。ここまで味を再現できているなら、見た目なんて関係ない。十分すぎるわ」
「ありがとう」
「ねえ、ごま団子っていうのは前の世界にあったおやつなの?」
「そうだよ。前の世界とこちらで、似た料理や食べ物も多いんだけれど、なぜか向こうにあってこちらにない料理や食べ物もあってね、ごま団子のその一つなんだ」
「こちらには、ごまがないものね?」
「そうなんだ。だからごまの感じを出すのに苦労したよ」
「ごまの代わりに何を使ったの?」
「ベシと呼ばれる穀物の一種だけれど、それを丁寧に煎って、ごまの代用にしたんだ。煎り加減が難しくってね…。もう少し小さめの穀物があれば良かったんだけれど…」
「これ…煎るより揚げた方が、ごまの感じからは離れるけど、より一層美味しくなるかもしれないわ…」
「…成る程。それ、ナイスアイデアだね。今度試してみるよ」
僕達は、しばらく休憩をとり、気分転換を行った後、扉を開いて先へと進んだ。
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