第46話 戦闘
第46話 戦闘
僕達は、部屋から出ると、左手の扉を開け、広めの部屋に入ってきた。
少し進むと、先ほどと変わらず、部屋の奥に巨大なアース・ドラゴンがいる事が確認できた。
先ほど飛ばされたテレポーテーションの罠に注意しつつ、特殊個体のアース・ドラゴンに向かって接近していった。
アース・ドラゴンは、僕達の存在に気付いている様子だが、長細い部屋の最奥の右隅に陣取ったまま動かない。
僕達は、それぞれに戦闘準備をすすめながら進み、準備が整い次第、目配せをし、疾走しはじめた。
僕達がどんどん近づいていき、アース・ドラゴンまで20メートル程に来たところで、スキルの有効範囲に入ったのか、アース・ドラゴンが局所的な地震を発生させた。
それが合図となったように、僕と分身体とエライザは左右に分かれ、そのまま地震の範囲外を通り、ドラゴンに向かった。
ルナは地震の範囲に入らないギリギリで止まり、スロー・タイムを発動させた。
スキルが空振りに終わったことを悟ったアース・ドラゴンは、その外見に似つかわしくないスムーズな魔法の詠唱を開始した。
「あれはニュークリア・バーストの魔法よ、気をつけて!」ルナの声が響いた。
僕と分身体は、そのままアース・ドラゴンに接近していき、左右から頭部に向かって魔弾を発射した。
エライザは、勢いを殺さないままドラゴンの足下まで到達し、剣による斬撃を加えはじめた。
魔弾はドラゴンに命中したが、鱗にはじかれダメージを与えてはいない。
斬撃も同様にダメージを与えてはいないが、エライザは囮に徹する様子で、斬撃を何度も繰り返している。
アース・ドラゴンはそのような攻撃を無視し、詠唱を継続している。
詠唱の進行と共に、ニュークリア・バーストの炎が出現し、徐々に大きくなっていく。
炎の球体が極限に達し、ニュークリア・バーストの詠唱が終わろうとしたとき、僕は時間を停止させた。
アース・ドラゴンが時間停止を上書きし、呪文を発動する前に仕留めなければならない。
僕は、間髪を入れず瞬間移動を使い、アース・ドラゴンの頭上に出現した。
そして、アース・ドラゴンに気付かれないまま、手刀を頭頂部に深く突き入れた。
この攻撃は、完全な不意打ちとなり、クリティカル・ヒットとなった。
手刀が光り輝くと共に、アース・ドラゴンの頭部に小爆発が起こり、頭部は粉々に破壊された。
アース・ドラゴンは致命傷を負い、そのまま消失していく。
ニュークリア・バーストの炎も、アース・ドラゴンの消失と共に、そのまま消失した。
「完勝ね」
「そうだね。打ち合わせ通りで、何の問題もなかったね」
僕達が安堵していると、ドラゴンの完全な消失と入れ替わるように、宝箱が出現した。
「あら、宝箱よ。どうする?罠が有るかもしれないわよ」
「うん、まずは鑑定してみるよ」
僕は鑑定スキルを宝箱に使った。
しかし、僕はトラップの知識があまりないので、毒系の罠がかかっているとだけしか判明しなかった。
「毒系の罠がかかっているようだね…。このまま放置するのも手だけれど、何だか重要なアイテムのような気もするんだ。何せボス戦の宝箱だからね…」
「そうね。重要なアイテムかもしれないわね…」
「…よし、二人とも下がっていて。僕が無理矢理に開けるよ。罠が作動するだろうけど、二人は十分に距離をとっていれば大丈夫。エライザは後で解毒をお願いね」
「わかったわ。嫌な役割を任せて悪いわね」
「大丈夫だよ」
二人が十分に距離をとったことを確認した後、僕は無理矢理に宝箱を開けた。
「痛っ」毒針が右手に刺さった。
それと共に、吐き気が出現し、頭がクラクラしてきた。
そんな僕をみて、エライザが急いで走ってきた。
「レン、直ぐに解毒するわ」
エライザが僕にキュアポイズンの呪文をかけた。
僕の体内に注入された毒が除去されていく。
「大丈夫?」
「うん…助かったよ」
「どう致しまして」
開けられた宝箱の中には、アース・ドラゴンの像が入っていた。
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