第40話 探索
第40話 探索
テレポーテーションの浮遊感が収まると、僕達は迷宮の出入り口付近にいた。
「一方通行の転移のようだね。振り出しに戻されたか…」
僕達は気を取り直し、先ほどと同じように進んでいき、扉の前までやって来た。
「さて、またエンカウントはあるかな?」
僕は部屋の中を探ってみたが、今度は魔物の気配がない。
「今度はいない様ね」
エライザの言葉と共に僕たちは部屋に入った。
敵の姿はない。
僕達は、先ほど飛ばされた所に侵入しないように注意しつつ、部屋の北側から探索を進めた。
順調に探索を進めていたが、先ほど転移させられた所の近くまで来たときに、また浮遊感に包まれた、テレポーテーションの罠だ。
しかし、今度転移させたれた場所は、通路ではなくやや広い空間だった。
「先ほどとは違う場所ね。先に進んだみたいね」
「そうだね。この迷宮は転移の罠が多いのかな?」
「そうかもしれないわね。それなら、罠の発動場所がわかるまでは、かなり大変ね」
「転移の罠の場所と行き先を全部知っておかないと、何かあったときに大変だから、マップを全部埋めていかなくちゃだめだね。でも、急ぎらしいから、慎重になり過ぎずに、どんどん進んでいこう」
「了解」
転移させられた広い空間を探索していくと、またテレポーテーションの罠が発動し、出入り口付近に飛ばされた。
そんなことを繰り返しつつ探索を進めていったが、やはりテレポーテーションの罠が多数存在するようだ。
閉鎖された区間が、テレポーテーションの罠によって繋がれており、テレポーテーションの罠で転移させられた先を進むと、出入り口付近に飛ぶテレポーテーションと先に進むためのテレポーテーションがある。
先に進むには、正しいテレポーテーションを進む必要がある。
そして、新しい区間に最初に訪れたときには、どこかで魔物と遭遇するようになっているようだ。
僕達は何度も行ったり戻ったりを繰り返し、今度は比較的広い部屋に転移させられた。
僕達は、部屋の中を探索し始めた。
部屋の西側には特に何も無かったが、東側にはダークゾーンがあり、この中を探索していると、扉を見つけることができた。
「ここから出られるようね」
「いつも思うけど、ダークゾーンは嫌だね。その中にしか扉がないとなると、陰険そのものだね」
僕達は悪態をつきながら部屋から出た。
今度の区間は今までとは違うようである。
今までの区間は一本道で、比較的に移動距離が短かったが、この区間では袋小路があったり、かなり長い移動が必要なようだ。
そんな長い区間を移動していたときだ、前方に一体のドラゴンの気配がした。
「前方にアース・ドラゴンが一体いるね。戦闘準備を開始しよう」
「了解」
僕達は準備をしつつ、そのまましばらく進んでいくうちに、アース・ドラゴンの異様さに気付いた。
そのドラゴンは異常に大きかったのだ。
まだ、かなり距離があるにもかかわらず、その大きさや存在感は先ほどまでのドラゴンとはまるっきり違うのだ。
「特殊個体ね」エライザが呟いた。
「よし、手加減なしに行くぞ」
「了解」
僕達は、アース・ドラゴンに向かって走り出した。
(トゥーレの迷宮の第一層です。ご参照ください)
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