第37話 女神
第37話 女神
「ジャック船長、私たちを送ってくれてありがとう。感謝するわ」
「とんでも御座いません。ルナ様達のおかげで、異常な自然現象は収束しつつあります。こちらこそありがとう御座いました。また何かあればお申しつけ下さい」
「ありがとう」
予定通り、私たちはターレ港に着いた後、王都リベリスを目指す事になった。
ピレーネ山の噴火後の状況や、ゲリュートの被害状況を把握しておきたかったので、山脈の西側ルートを南下することにした。
「今夜は、鉱山都市ドゥーハンで一泊しよう。いろいろと買出しをしておかなくてはならない。それに、ルナ達とあったのはそれほど前でもないんだけれど、何だか懐かしく感じてしまって、寄っておきたい」
「了解」
「その後は、被害状況を確認しながら南下しよう。僕達にも何か出来る事があるかもしれないし」
僕達は、以前にも泊まったことのある宿泊施設にやって来た。
僕とメンデス、ルナとエライザ、イオタとオリビアの三部屋に分かれた。
「メンデスとこうやって話すのも久しぶりだね」
「ああ。最近レンは、エライザとばかりだったからだな」
「そうかな?ところでギルマスとは連絡取っている?」
「勿論。レンの事も心配していたし、魔族の人たちの事も心配していたよ」
「災害やゲリュートのことは?」
「うん、ギルドとしても王国としても、影響のあった地域の復興に協力するみたいだよ」
「具体的な被害状況はわかっているのかな?」
「それに関しては、不明な部分も多いみたい。実際に現地に行ってみないとわからないよね」
「そうか…」
その時、トントンとドアをノックする音がした。
「レン、メンデス、入って良い?」
「どうそ。それでオリビア、どうしたの?」
「うん、イオタに女神様が降臨したみたいなの。直ぐに集まって」
「えっ、わかった」
僕達がイオタ達の部屋に行くと、ルナもエライザも既に来ていた。
ベス様が宿ったイオタが僕達に話しかけた。
「レンもメンデスも来たわね。これでみんな揃ったわね。特殊個体が出現したわ。討伐に行って欲しいんだけど、少し話があるから、まずは私の部屋に招待するわ。来て頂戴」
突然何かが光ったと思うと、僕達の意識は白く何もない不思議な場所に飛ばされた。
そこには女神ベス様だけでなく、女神サリア様もおられた。
「ようこそ皆さん、お久しぶりね。この前ね、トゥーレの迷宮の最奥に、特殊個体が出現したわ。ドラゴンの特殊個体ね。それを討伐して欲しいの。但し、今回はレンとルナとエライザの三人で討伐をして頂戴。他の三人は、ピレーネ山の噴火で被害が出た、諸国連合内のネス公国の都市、ミーレで支援活動をして。トゥーレの迷宮は、今とても危険な状態になっているわ。高レベルな者達、特殊なスキルを持つ者達、つまり、レン達三人でないと乗り切れないでしょう」
「事態は急を有するわ。レン達は、私がトゥーレの迷宮まで直接転送するわ。メンデス、イオタ、オリビアの三人は先に戻って、ミーレでの支援をお願いね。それじゃあ、ミーレまで送るわね」
女神ベス様の言葉と共に、メンデス達の三人はもとの世界に送り返された。
「さて、先ほどの続きね。トゥーレの迷宮の特殊個体は、時間を停止させた上で、10体の特殊個体を生み出したわ。これら11体を討伐して欲しいの」
「そこで、エライザには新しいスキルと加護を与えるわ」
女神サリア様は、エライザに手をかざした。
そのかざした手が、徐々に光りだした。
その光が極大に達した後、エライザの中に入り込んでいって消失した。
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