第36話 策略
第36話 策略
「珍しいわね、あなたがここを訪れるなんて」
「そうね…。今日は話があるの」
「三人の事ね?」
「そう。ようやく動き出したわね…。サリア、あなたレンを助ける気はある?いや、レンというか三人を?」
「まだわからないわ。動き始めたところだもの、どう転ぶかわからないじゃない?」
「そうよね、あなたがこのタイミングで手を貸すはずはないか…。でも、私は違うわ。私が司るものは自由。悪いようにはしないわ。だから、私の自由にさせて、あなたには黙って見ていて欲しいの」
「それを言うためにここに来たの?」
「それもあるわ」
「…?あなたらしくないわね…」
「そう、私らしくないのよ、…まあそういう事」
「!?」
「三人をここに呼びましょう」
「それでどうするつもり?」
「勿論三人をくっつかせるのよ。でもそれだけでは駄目。あなたは、あなたの眷属であるエライザに新たなスキルを与えて欲しいの。三人が本当の意味で対等になれるように。そうしないと、エライザの心が折れてしまうわ」
「そうね、そうなるでしょうね。でも、あの二人と対等になるほどのスキルというと、やはり時間停止しかないわね。でもそれは規則に反する…」
「簡単な話よ。時間を停止できなくても、時間に干渉されないスキルを与えれば良いのよ」
「詭弁ね。でもギリギリセーフか…」
「それじゃあ、タイミングをみて三人を呼ぶわよ。エライザの事はお願いね」
「…わかったわ。じゃあ、ターレ港について、ユリアス大陸に上陸したら呼びましょう」
「それでいいわ」
「ところで、ベスは、エタニスを復活させたとき、何か仕組んだ?」
「いえ、何も仕組んでないわよ」
「本当に?」
「本当よ。私は自由を司る女神、命令されるのが一番嫌いよ」
「…わかったわ。それなら良いわ」
*
これは、とある一室での会話。
「その後、どんな感じ?」
「うん、正規のルートは外れたままだけど、何とかなりそうだよ」
「そうか…、良かったな」
「ところで、セレクションはもう済んだ?」
「ほぼ決まりだね。後はもう少し鍛える必要がある」
「最後のワンピースを?」
「いや、それだけじゃなく、スペシャルで行こうと思うんだ」
「えっ、そんな賭に出るの?」
「うん、かなり期待しているんだ。だから勝負に出る」
「そうか…。それで、間に合いそう?本番はいつだったっけ?」
「まだ2Mあるよ」
「もう2M後か。あまり時間がないな」
「そう?余裕だよ」
「いや…、最後の仕上げは慎重に行かないと、上手くいかないよ。ゆっくりと反応を見ながら時間をかけないと、駄目になる事もある」
「そう?」
「そうだよ。最後が肝心だ。まあ、健闘を祈る」
「ありがとう」
読んで頂き有り難う御座います。宜しければ、高評価、ブックマーク登録をお願いいたします。