第34話 戦闘後
第34話 戦闘後
…僕は気を失っていたようだ。
遠くで、ルナが僕の名を叫んでいるように思えた。
「レン!大丈夫?起きて!レン!」
僕はゆっくりとまぶたを開けた…。
「あれ?精霊女王は?」
「エタニス様は一旦消滅したわ」
「一旦?消滅?」
「そう。あの攻撃で一旦消滅したの。それから復活なさって、今は目の前にいらっしゃるわ」
「えっ」僕はふらふらと立ち上がった。
「レンとやら、妾は精霊女王のエタニスじゃ。此度はご苦労じゃった。おかげで、妾自身を取り戻す事が出来た。感謝するぞ」
「あっ、いえ、エタニス様、どう致しまして」
「そなた達には礼をせねばなるまい。まずルナ、其方にはアルティメット・グラヴィティを授けよう。スペリオル・グラヴィティの強化版じゃ」
「そしてレン、其方は、時空間に干渉する力を持っておるようじゃが、魔法は使えぬようじゃ、それならば瞬間移動を授けよう」
「お礼じゃ、二人とも受け取るが良いぞ」
エタニス様がそうおっしゃって、手をかざした途端、新しいスキルが意識に流入してきた。
そしてスキルが完全に身体に刻み込まれた。
「レンよ、時間を停止できる自分には、瞬間移動など不要などと考えておらぬか?」
「いや、そんな事は…」
「まあよく聞け。瞬間移動は時間の流れとは無関係なのじゃ」
「えっ、と言う事は…、時間停止していても瞬間移動できると?」
「その通りじゃ。有効に使うが良いぞ」
「有り難う御座います」
「そしてルナ、アルティメット・グラヴィティは重力魔法の中でも極秘の最上級魔法じゃ。この魔法を応用する事で新たな魔法を構築する事も出来る。見事に使いこなしてみよ」
「エタニス様、有り難う御座います」
「さあ、お主達を地上まで送り届けてやろう」
「有り難う御座います」
エタニス様が呪文を唱えると、僕達は神木の前まで転移させられた。
「レン、ルナ、大丈夫?」みんなが声をかけ、走り寄ってきた。
「私は大丈夫。レンに回復魔法をかけてあげて、怪我をしているの。応急処置しかしていないから、早く」
「わかったわ」
エライザはイオタを差し置いて、シュプリームヒールを唱えてくれた。
「楽になったよ。ありがとう、エライザ」
「どう致しまして」
「ルナ、上手くいったみたいね。暴風雨がおさまったわ」とイオタ。
「雲間から陽の光が差し込んできている。良かったわ…」とオリビア。
「レン、ルナ、大変だったみたいだな。ご苦労様」とメンデス。
「とにかく上手く言って良かったよ」
僕達が話していると、僕達を上空まで送ってくれたあの精霊が現れた。
「精霊女王のエタニス様は、復活なされました。皆さんのおかげです。ありがとう御座いました。結界を張り直さねばなりません。皆さんを森の外までお送りいたしましょう」
僕達は精霊に導かれ、森の外にやって来た。
「二度とこのような事がないように、新たな結界を張ります。皆様、ありがとう御座いました。それでは」
そう言うと精霊は消え、森に新たな結界が張られた。
「あー行っちゃったわね。エタニス様にとりついた者の正体を聞けずじまいだったわ」
「そう、それだよ。失敗だった」
「失敗じゃないわ。きっとエタニス様にもわからなかったんじゃないかな?わかっていたら教えてくれていたはずよ」
「そうかもしれないね…。さて、この島を出たら、リベリス王国へ戻ろうか?それでいいかな?」
「良いわよ。そのつもりだったしね」
「じゃあ出発しよう」
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