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第30話 迷い

第30話 迷い

ジスパ島は広大な島ではない。

僕達は、精霊の森までの行程を楽観視していたのだが、頻発する地震、進むのも困難となるほどの暴風、集中豪雨に荒れ狂う河川、そういった自然の猛威により、その道のりは困難を極めた。

「これもすべて精霊の怒りせいという訳か…」

「と言うより、精霊に命令している何かのせいね」とエライザ。

「この世界を創造した女神様より上位かもしれない存在のことね?一体何者なんでしょうね…上位の神様なのかしら?」とルナ。

「ルナ、シミュレーション仮説って知っている?」

「突然に何それ?知らないわ。前の世界での仮説?」

「そう、前の世界での仮説。仮説だしね、僕自身は全然信じてなかったんだけど、今の状況を考えると、少し信じる気持ちが出てきそうだよ」

「どういう事か説明できる?」

「うん、僕もそれほど詳しくはないから、分かる範囲で簡単に説明するね。シミュレーション仮説はね、ある哲学者が提唱した仮説で、僕達の住んでいた世界が、僕達より遙かに高度な文明を持った知的生命体によるシミュレーションじゃないかという仮説なんだ」

「言い換えるとね、僕達は、超高度な生命体の所有するコンピュータの中のデータじゃないかという考え。だから世界はすべてデータにすぎない。その考えでは、僕達は高度なAI機能を持ったデータと言う事になるね」

「…私たちがしていたような、コンピュータゲームの中の住人みたいなものって事?」

「まあ、そういう事」

「どうしてそんな考えになるのか分からないわ…」

「そうだよね。僕も信じていないんだよ。何となくそれを思い出しただけ。まあこの話はこの辺りで終わりにしよう」

「うん。レン、私はね、精霊女王のエタニス様に会った事があるのよ。エタニス様は私に重力魔法を授けてくれた」

「今回の原因が、精霊達の女王であるエタニス様にあったとしたら、エタニス様を鎮めるにはどうすれば良いのでしょうね。戦って滅ぼすような事が出来るかどうかはわからないけど、そんな事はしたくないの」

「僕は精霊について詳しくないから、鎮める方法は全然わからない。でも僕達の事は女神様達が見守ってくれているよね、だから致命的な間違いは犯さずに済むんじゃないかな。ちょっと楽観的な考え方だけど、そんな気がするんだ」

「…精霊女王のエタニス様も女神様達が作った存在よね。それならば、確かに女神様達が何とかしてくれるかもしれないわね…。どうするかは、実際に対峙してから考えるしかないか…」

「でも、もしエタニス様と戦闘になったら、重力魔法を使ってくる可能性が高いわ。その時には、時間を停止して対処するしかなくなる。みんな、そのつもりでいてね」

「わかった」

僕達は自然の猛威に妨げられながらも、何とか進んでいき、精霊の森に到着した。

精霊の森に入るまでは、暴風雨が猛威を振るっていたが、森の中は全然違っていた。

森の中では、風や雨は止み、静かで柔らかな日の光が差しており、あたかもこの森が閉じられた空間のように感じた。

しかし、僕達は何の障害もなく森に入る事が出来たので、隔離されているわけではなさそうだ。

精霊の働きが特殊なのだろう。

僕達は、慎重に、周囲に気を配りながら、緑豊かな森の中を進んでいった。

森の中央部付近までやって来ると、少し開けた場所があり、その中央に巨木がそびえ立っていた。

「あの木には何か秘密がありそうね」とエライザ。

「そうだね。どう対処すべきかはわからないけど、戦闘になっても大丈夫なように、各自準備を進めておいて」

「了解」

僕達は、慎重に進んでいき、巨木の前までやって来た。

僕が巨木に触れようとしたとき、突然にそれが現れた。


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