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第17話 コボルト・キング

第17話 コボルト・キング

僕たちは、戦闘からの離脱を何とか成功させ、拠点に戻ってミーティングをしていた。

「あんなヴァンパイアは見たことがないよ。特殊個体かもしれない。ギルドに後で連絡しようと思う。しかし、もしあんなのが他にも多数迷宮をうろついているとなると、かなり危険だね。ヴァンパイアは通常、後半部分でしか出てこないはずではあるけど、他の魔物にも特殊固体がいるかもしれないし…」

「迷宮に何か異変が起こっているかもしれないね。できればもう少し調べたい。リスクはあるけどもう少し探索してもいいかな?」とメンデス。

「僕も、ギルドに連絡するには、もう少し情報が必要だと思う。探索を続けるのに一票だね」

「ん、賛成。探索を続けるのです」

「仕方がないわね。私たちも強くなっているから、まだ行けそうだしね」

「コウモリの像は放っておいて、先に進むのです」

不安な気持ちはあったが、放っておいてもらちがあかないので、もう少し第二層を探索することとなった。

拠点の小部屋から出た僕たちは、コウモリの像の方へは行かず、後半部分へと続く通路を先に進んでいった。

メンデス曰く、『出現するモンスターは通常通り』であり、特殊固体の魔物に出会うこともなく、順調に探索を進めていった。

ただ、毒スライムにはある意味で苦労した。

手刀で攻撃すれば確実に、短剣で攻撃しても結構な頻度で、毒状態にされたからだ。

また、ファイア・アントの火の攻撃は、大幅に体力は削られないものの、ちょくちょく体力を削られ、ヒールの呪文を頻回にかける必要があった。

第一層に比べれば、モンスターはやはり手強かった。

ある程度状況を確認すると、その日は早めに切り上げ、ギルドに戻って特殊固体のヴァンパイアの報告をした。

翌日より第二層の本格的な探索が始まった。

第二層はやはりモンスターとのエンカウントが多く、迷宮外に出て回復しつつ、何度もアタックを繰り返す必要があった。

十日間ほどかけて探索をすすめていき、ついに前半部分の最深部にたどり着いたのだった。

「この先にコボルト・キングがいるよ。通常は、後衛にコボルト・キングが一体、前衛にハイ・コボルトが数体いることが多いね。コボルト・キングはハイ・コボルトの上位互換で、体力と攻撃力が高い。それに遠距離攻撃と火球の魔法を使ってくるから注意が必要だね。ハイ・コボルトから倒していき、最後にコボルト・キングを倒すよ。コボルト・キングから魔法攻撃が来ないように、できるだけ雑魚は早く始末をしよう。あと、初端からレイリアはサイレントをサーシャはスリプルをコボルト・キングにお見舞いしてね」

「わかったわ」「任せて」

「よし、いくか!」

先に進んでいくと、コボルト・キングは4体のハイ・コボルトを伴って出現した。

出現と同時に、僕はハイ・コボルトに向かって走り出した。

サーシャやレイリアは詠唱を開始している。

メンデスはハイ・コボルトを引きつけて迎え撃つようだ。

リンはしなやかな動きで、ハイ・コボルトに迫っている。

僕は速やかにハイ・コボルトを討つべく、時空間操作スキルを使い、手刀にて一体のハイ・コボルトの首をはねた。

その間、サーシャのスリプルは無効化されたようであるが、レイリアのサイレントは効果を発揮し、コボルト・キングの魔法攻撃の無効化に成功している。

メンデスは防御に重点を置き、余裕をもってハイ・コボルト二体の攻撃に耐えているが、効果的な攻撃はしていない様子だった。

リンはハイ・コボルト一体と攻防を繰り返しているが、ダメージを食らわない代わりに、あまりダメージを与えられず、膠着状態であった。

僕はもう一体のハイ・コボルトを受け持つべく、メンデスと対峙しているハイ・コボルトにナイフを投擲した。

ナイフはハイ・コボルトの背中に命中し、ヘイトを取ることができた。

こちらに一体のハイ・コボルトが向かってきたのだ。

メンデスは対峙するのが一体となった途端、攻撃に転じ、強烈な一撃をお見舞いしている。

戦闘は順調に進んでいると思われた。

その時だ、コボルト・キングは、自分の手拳大もある大きな石を後衛にめがけて投擲しだした。

あぶない!コボルト・キングの攻撃はサーシャを捉えた。

まともに食らってはいず、致命傷には至っていないが、かなりのダメージを受けている。

レイリアはすぐさまサーシャに回復魔法を唱えている。

苦しい状況であったが、ハイ・コボルトを放置するわけにも行かない。

コボルト・キングの投擲攻撃を止めに向かうと、ハイ・コボルトが後衛に直接攻撃してしまうおそれがあるからだ。

僕はハイ・コボルトに向かい走って行った。

メンデスはハイ・コボルトを一体倒した後、コボルト・キングには向かわず、リンの助けに向かっている。

リンを補助にまわし、回復要員にすることを優先したようだ。

その間にも、コボルト・キングの後衛への投石攻撃は続いており、誰かがもう一発攻撃を食らえば、危険な状況となる。

この危うい状況から脱するには、可能な限り早くハイ・コボルトを葬り去り、コボルト・キングに攻撃をする必要があった。

焦る気持ちを抑えながらも、僕は時空間操作スキルを使って、ハイ・コボルトに不意打ちを食らわせることに成功した。

その間に、リン達もハイ・コボルトを倒すことに成功したようである。

「レン、僕がタンクをするから攻撃を頼む!」

「了解!」

メンデスはコボルト・キングに向かうと、相手の気を引くように、長剣を大きく振り回し攻撃しだした。

コボルト・キングの注意がメンデスに向いていることを確認した後、僕はステルス・スキルを使って、死角へと潜り込んだ。

おそらく、グレートサーペントと同様に、短剣より手刀の方がダメージを与えられると考え、手刀での攻撃を選択した。

時空間操作スキルを使い、コボルト・キングの背後より接近し、心臓をめがけて手刀で突いた。

手刀はわずかに心臓に届かず、致命傷とはならなかった。

しかし、コボルト・キングは大きなダメージをくらい、動きが鈍くなった。

メンデスはそれを見逃さず、それまでの無駄な動きを一切排除し、洗練された動作で、コボルト・キングを何度も斬り伏せたのだった。

コボルト・キングが倒れるとともに、宝箱が出現した。

「サーシャ、大丈夫?」

「ん、大丈夫、迷惑かけた」

「良かった~」

「あの投擲攻撃はかなりきついわね」

「スリプルが効けば良かったのですが・・・」

「スリプルは確率で効く。あれは、すぐ呪文をかけ直すべき。ボクのミス」

「まあ、命を落とすこともなく、無事に勝てたんだし良かった。次はもっと上手く対処するようにしよう」

サーシャの言うこともメンデスの言うことも、もっともである。

でも僕は心に引っかかりを覚えていた。

僕はこのままで良いのだろうか。

サリア様から使命を与えられたとき、僕は対処できるのだろうか。

仲間を守ることができるのであろうかと。

「宝箱、開けるのです」リンは慎重に宝箱を調べている。

「毒針なのです」と罠を見破り、無事に宝箱を開けることができた。

「これは何かの護符なのです」

「ちょっと貸して、…鑑定。これは防吸の護符だね。エナジードレインを防ぐ能力があるようだよ。とりあえずはメンデス向きかな?」

「そうですね、前衛、それも一番沢山相手をする、メンデスが宜しいですわね」


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