第26話 相談
第26話 相談
僕がみんなの元に戻っていくと、メンデスは驚いた顔をしている。
「レン、一体いつの間にあんな事を…。いつの間にあんなに強くなったんだ?」
「えっ、僕のスキルの説明はしたよね?」
「それは聞いているけど…」
「レン、話に聞いていて理解していても、実際に時間停止をされるとびっくりするものよ。私もようやく慣れてきたところだわ」
「そうなの?」
「エライザ、本当にそうよね。私たちも、ルナが時間を停止する度に、あっけにとられていたもの。ようやく慣れてきたわ」
僕はルナと目を合わせながら苦笑した。
「でもレンは本当に強いのね?あんな風に竜をいたぶれないわ」
「ちょっと、いたぶっただなんて…。いうことを聞かなかったから、ちょっと脅しただけだよ」
「いずれにせよ、あんな風には戦えないわ」
「ルナにはレンの動きが見えていたの?」
「時間を停止できる者には、時間が停止していたとしても、思考が出来るみたいだよ。更に時間停止を上書きすれば、動けるようにもなるし」
「!!そうなの!!」
「時間を停止することが出来るのは、本当にチートね」
「剣と得意とする人族、魔法を得意とする魔族。時間を停止でき、剣で戦うレン。時間を停止でき、魔法で戦うルナ。本当にあなた達二人は、それぞれ人族、魔族の代表のような存在ね…」エライザが呟いた…。
「わかりきったことだけど、人族、魔族それぞれを創造した女神様達が選んだ二人なんだもんね…」
「エライザ、どうしたの?そんなことを急に言い出して?」
「…いや、何でも無いわ…」
「…」
「さて、これからはどうするの?極東の島?っていうところへ行くの?」とルナ。
「今の異常が精霊のせいで、その解決策がそこにあるなら、そうするしかないよね…」
「メンデス、極東の島ってどういう所か知っている?」
「勿論知っているよ。リベリス王国の東にある砂漠の国ムーア国の南東に位置するジスパ島のことだと思うよ」
「ユリアス大陸からはどのくらいの距離?」
「大陸側の一番近くの港からで、船で一日半って所かな」
「じゃあ、ムーア国を横断してジスパ島を目指すことになるのかな?」
「いや、船の手配はギルドでお願いするとして、リベリスポートから船で行く方が良くないかな?」
「どうして?それに、そんなに簡単に船が用意できるかな?」
「ジスパ島への定期船はないし、ジスパ島へ行くことがほとんど無いから、特別に頼み込んで借りなければいけないね。それでも、ムーア国を横断するよりは良いと思うよ。ムーア国はリベリス王国と国交を結んでないんだ」
「そうなんだ…」
「ちょっと良いかしら?」
「ルナ、どうしたの?」
「実は、私たちがこの大陸に来るときに乗っていた船が、まだ港に残っている可能性が高いの。ドワーフ王国との交易船だから、荷物を積むのにある程度停泊している可能性が高いのよ」
「えっ、そうなの?で、どこの港?」
「ドワーフ王国の港だけど、名前は分からないわ。ただ、リベリス王国との国境近くの港だから、ここからそんなに遠くはないし、行ってみる価値はあるかと思うんだけど」
「その話じゃあ、ターレ港かな?」
「メンデス、ターレ港っていうのはこの近くなの?」
「割と近いよ。じゃあ、案内するから行ってみる?」
「そうしよう」
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