第24話 内部
第24話 内部
洞窟の中に入ると、中は意外に広くなっていて、丁度迷宮の通路くらいの幅や高さとなっていた。
「噴火している山の中は、一体どうなっているのか分からない。何があっても大丈夫なように、注意していこう」
「了解」
洞窟はくねくねと曲がっていたが、分岐することはなく一本道となっていた。
僕達は緊張の面持ちで洞窟を進んでいった。
「ゲリュートは戻ってきているのかしら?」
「どうだろうね。戻っていなければ、戻るまで待たないといけないかもしれないね。まあ巣の状態にもよるけど…」
「でも、噴火のエネルギーは、山の内部では影響が少ないと思う。洞窟内もあまり変わりないようだし…。だから案外、巣も影響がないかもしれない」
「それなら、いずれゲリュートは戻ってくると言う事ね」
「そういう事」
「迷宮で倒した竜は、比較的若い竜だったから、直ぐに戦闘になったけど、古竜なら話し相手になってくれるかもしれないわ」
「そうだね。それでも戦闘の準備はしておこう」
「了解」
「何だかレンがすっかり頼もしくなっている!リーダーとして申し分ないな…」
「メンデス、何だよ、突然に。ちょっと恥ずかしいじゃないか」
「いや、冒険者になりたてのレンを知っている僕からすれば、本当に感慨深い…」
「…もう、勝手に言っていろよ」
「2人とも仲が良いのね。兄弟みたいだわ」
「実際に、レンはかわいい弟のようなものだよ」
「まだ言うか!」
「ごめん、ごめん。さあ、巣は近いようだよ」
「…」
確かに、洞窟内に入ってから、かなりの時間になる。
そろそろ、巣に着いても良さそうである。
僕達は各々、戦闘となっても大丈夫なように、準備をしつつ進んだ。
そして、カーブを曲がったら、少し先に大きな空間が見えた。
ドラゴンの巣だ、今のところ、ドラゴンがいる様子はない。
とりあえず、ゆっくりと慎重に、ドラゴンの巣までやって来た。
ドラゴンは、光るものを集める習性があると言うが、巣の中は金貨やキラキラ光る宝石が山のように積み上がっていた。
その中には、立派な剣や防具も散見される。
頭上を見上げると、ドラゴンが往来できるほどの大きな穴が開いており、噴火の煙が上っていくのが見えた。
「凄いわね。よくこれだけ集めたものだわ」
「まあ、ゲリュートは古竜で、ずいぶん昔からいるようだし、集める時間もたっぷりあったんだろう」
「見て、これ。この金貨は、いつの時代のものか分からない程、古いようよ」
「本当だ…」
僕達がそんなことをしているうちに、頭上に大きな影がおちた。
僕達は急いで、通路まで退避した。
そこに、ゲリュートが、音も立てずに舞い降りてきた。
「我の宝をくすねる盗人め!出てこい」
古竜のゲリュートは、迷宮で戦った竜とは全然違う存在感を有している。
「あれは、ドラゴン・ロード以上ね…」ルナが呟いた。
「みんな待っていて。僕が話をしてくる」
「何を無茶なことを言っているんだ」
「メンデス、大丈夫だよ。分身体を潜ませているから、危なくなったら入れ替わるよ」
「分かった。油断するなよ」
「勿論。任せておいて」
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