第16話 ヴァンパイア
第二層の攻略がはじまりました。
第16話 ヴァンパイア
グレートサーペントの部屋の奥にある階段を下りて、第二層へとやって来た。フロアに入ると、すぐ向こう側に、扉が一つあった。
モンスターを警戒しつつ、開けて中に入ってみたが、中には何もなく、小部屋となっていた。
休憩に使えそうで、ここを第二層の拠点とすることにした。
拠点の小部屋から出て、右に少し進むと、右手に扉があり、ここを進んでいくとコウモリの像があった。
「第一層には犬の像と熊の像があったけど、今度はコウモリか。第一層ではハイ・コボルトとグリズリー・ベアだったよね。また何か出てくるかな?」
「コウモリっていたらワー・バットじゃないかしら?」
「ん、ボクも賛成」
「もしかしたら、ヴァンパイアかもしれないのです」
「あらー、そう思う?なら、夕ご飯でもかけてみる?」
「レイリアさん、冗談はやめてくださいね。で、メンデスは知ってるの?」
「もちろん知っているよ。でも面白そうだから、賭けても良いんじゃないか?」
「あーら冗談よ。でもワー・バットとヴァンパイアでは危険度が全然違いそうね」
「うん、その通り。ここではヴァンパイアが出現するよ。一体しか出現しないけど、本来は第二層の後半部分で出てくるモンスターだから強敵だよ。攻撃呪文を唱えてくるのと、エナジードレイン攻撃が危険なんだ。あと、麻痺をくらうこともある。だから、接近戦はできるだけさけたいな。魔法が効くから、魔法攻撃と遠距離攻撃を主体に攻撃すると良いよ。レイリアにはサイレントで呪文を封じてほしい。レイリアが高レベルになると、ディスペルで解呪できるかもしれないけど、さすがに今は無理だと思う。そんな感じだけれど、いけるかな?戦いをさけても問題はないけど、ここは良いアイテムがドロップするらしいんだ。第一層ではアイテムドロップはほとんどないけど、第二層からはある程度期待できるから、必須というわけではないんだけど…」
「私は戦っても良いと思うわ。どうせ後半部分で戦わなきゃいけないんでしょ?一体しか出ないなら、良い練習になるわよ」
「良いアイテムがほしいのです。戦うのです」
「ん、ボクが魔法で何とかする」
「みんな乗り気だね…。エナジードレインは嫌だけど、仕方がないか…」
「像に触れたら出現してくるから、一旦は後ろに下がって距離をとろう。そして、相手が攻撃する前に、こちらから攻撃を仕掛けよう」
「了解」
「じゃあ僕が像に触れてくるから、みんなは後ろで控えていて。いくよ!」
僕がコウモリの像に触れると、像から白煙がモクモクと上がってきた。
僕は急いでパーティーの定位置に戻ると、ナイフを取り出し、身構えた。
白煙はやがて収束していき、ヴァンパイアが一体出現した。
それと同時に僕はナイフを投擲した。
ナイフはヴァンパイアに当たると思われたが、その寸前にヴァンパイアは多数のコウモリへと変化し、ナイフは空を切ってしまった。
「メンデス、あんなの聞いてないよ!」
「ああ、僕も初めて見たよ。サーシャ範囲攻撃魔法をお願い」
「了解。ヴィーダ・スーン・フェリマス・カイト、魔力よ、空に満ちて敵を切り裂け!ウインドカッター!」
ウインドカッターは、目に見えない無数の風の刃を飛ばす呪文で、多数のコウモリに変化している相手には、とても有効であった。
コウモリはかなりのダメージを負ったようで、すぐにヴァンパイアの姿に変化して戻った。
僕はそのタイミングを狙っていた。
二本のナイフをヴァンパイアの眉間めがけて投擲していたのだ。
ヴァンパイアは今度は変化で避けることはできず、横に躱そうとした。
一本は躱したが、もう一本のナイフはそれを見越して投擲していたので、見事に眉間にヒットさせることに成功した。
狙い通りである。
ヴァンパイアはダメージでよろけている。
その隙に、ヴァンパイアに急接近していたメンデスが、渾身の一撃をお見舞いした。
それは見事にヒットし、メンデスは大きなダメージを与えることに成功した。
しかし、ヴァンパイアはまだ倒れない。
それどころか、自己再生を開始したかと思うと、急速に体力を回復しつつある。
「あれで倒せないとは!!何か変だぞ!普通のヴァンパイアがこんなに強いはずがない。一旦離脱する!サーシャ魔法を一発かましてくれ、そのすきに離脱だ」
「了解」
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