第11話 共闘
第11話 共闘
手術の後は、みんな疲れていたので、直ぐに解散となり、それぞれの部屋に戻った。
翌日、起きた所でまだぼんやりしている時に、ゲイリー達が僕達の部屋にやって来た。
「朝早くからすみません。敵である僕に慈悲を与えてくださり、大変な治療を施して頂き、本当にありがとう御座いました。体調不良が、嘘のように楽になりました。このご恩は忘れません」
「どう致しまして。元気になって良かったです。治療に当たったのは僕だけでなく、エライザやルナさんの助けもありました。僕よりも、この二人に感謝してください。とにかく、良かったです」
「まあ、こうなるでしょうね…」
「えっ、ベス様ですか?いつの間に…」
「たった今変わったのよ。あなた達二つのパーティーを、サリアと共に私の下に招待するわ。いらっしゃい」
その言葉と共に、僕達の意識は青い何も無い空間に飛ばされた。
「予想していたとおり、二人とも戦う気持ちが消失しているわね」
「はい…」レンとルナの声が重なった。
「さて、では今後どうするかね。案としては、新たな召喚を行って勝負を仕切り直すか、今回は現状維持として千年後まで勝負を預けるか…」
「そのどちらかよね…」
「あの…宜しいでしょうか?」
「レン、何?」
「今後、魔族と人族が共存することは出来ないんでしょうか?」
「…出来ないことは無いわ…」
「…ええ、でも時間をかけた方が良いでしょうし、実際に時間がかかるでしょうね」
「私たちが、介入することは、最小限にとどめなくてはならない。今回の件でも、介入のしすぎのきらいがある…」
「まあ、今回は現状維持で、代表同士の戦闘は取りやめ。千年間様子をみて、次回の召喚時期の前に協議して、どうするか決めましょう。その案でどうかしら?」
「分かったわ、サリア。じゃあそうしましょう。しかしこんな時が訪れるなんてね…」
「本当にね…。でももう一つ、要件があるわ。ベスは気付いているでしょうけど、この世界に干渉しているものがいるわね」
「そうね。その問題も片付けないといけないわね」
「これ以上に私たちが干渉するわけには行かない、だけど放ってはおけない。ここは、うちのルナとそちらのレンに任せるしか無いわ」
「そうね。レン、私の眷属として、魔族との戦闘をすることは必要なくなったわ。その代わりと言ってはなんだけど、この世界に干渉する何者かへの対処をお願いしたいの。レンも特殊個体のことは覚えているでしょう?」
「はい。でも、僕は特殊個体の対処だけすれば良いのでしょうか?もし、相手が神様となってしまうと、どうしようも無いと思います」
「それでいいわ」
「でも、特殊個体を狩るとして、どのように発見すれば良いでしょうか?」
「まあ、向こうは今まで通りだと、レンに特殊個体を差し向けてきそうだけど、方針を転換する可能性もあるわね…。私と、ベスで監視しておきましょうか」
「そうね、この世界の存在に関わりそうだものね、出来るだけの事はしておきたいわ。私も監視しましょう。私は、イオタと契約を結んでいるから、特殊個体の情報をイオタに提供するわ」
「それならば、私は、レンさん達と行動を共にすると言うことですか?」
「その方が良いでしょうね」
「分かりました…。そういう事になったけど、みんなはどうする?」
「僕は、命を助けていただいた恩があります。ルナやレンさんと行動を共にします」
「私は、ベス様との連絡役をしなくてはならないから、ルナについて行くわ」
「じゃあ、私もそうするわ」
「エライザはこれからもついて来てくれるよね?」
「勿論だわ」
「じゃあ、これからは六人パーティーね」
「ちょっと待って、僕には別行動をしているパーティーメンバーがいるんだ」
…メンデス達はどう思うだろうか…。直接会って話をするしか無いな。
「ルナさん達とエライザはしばらくここで休養していてくれないか。ゲイリーも病み上がりだし、僕は少し時間が欲しい」
「それで、レンはメンデス達に会いに行くのね?直ぐに合流できそう?」
「…うん、多分二、三日中には合流できそうだよ」
「それなら、ここで待っているわ。反国王派のこともあるから気をつけてね」
「分かっているよ」
「じゃあ、方針は決まったわね。あなた達は戻りなさい」
その言葉と共に、僕達の意識は飛ばされ、もとの世界に戻ってきた。
*
これは、とある一室での会話。
「調子はどうだい?」
「…うん…」
「良くないのか?」
「ちょっと雲行きが怪しくて…。見てくれる?」
「ああ、勿論。…これは!」
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