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第10話 手術 2

第10話 手術 2

「ちょっと待って、お腹の中の癌細胞はほとんど除去できているけど、まだ残っているわ。これはどうするのよ?」

「うん、じゃあ血管内の血流には、無数の癌細胞があると思うんだけど、血管内を鑑定して確認してみて」

「うん…、何これ!凄い数の癌細胞が…。こんなのがいっぱい流れていては、全部は除去できないでしょ?」

「全部は無理だろうね」

「だから、お腹に少々残っても同じって事?」

「そうでは無いよ。血管内の癌細胞も可能な限り除去する。僕の鑑定では、今、数百万個の癌細胞が血液内にあるね。これを四桁台まで減らそう。それが出来れば、お腹の細胞をもう少し減らすように頑張ろう」

「その四桁っていう数には根拠があるの?」

「日本では、健康な成人で、一日数千個の癌細胞が発生すると考えられていたよ。そのほとんどは免疫細胞でやっつけることが出来るはず」

「そうでなければ、みんな直ぐに癌になるものね…。分かったわ」

「これから、昨日の打ち合わせ通り、ルナさんに時間を止めて貰う。僕も停止して動けないけど、その後の事は予定通りにお願いするね」

「分かったわ」

僕はルナさんが時を止める寸前に、エライザからは見えないように、口にオリハルコンの棒をくわえた。

時間が停止した、ルナさんの顔が僕に近づいてくる。

僕には意識はあるが、動くことが出来ない。

こんな綺麗な少女の顔が僕の顔に迫ってくる、ドキドキしてしまうじゃないか…って、意識はあるのに心臓が動いていない?

当たり前だった。

ドキドキはしていないぞ。

ルナさんの唇が直ぐ近くにあり、オリハルコンの棒を介して、僕の口と繋がっている。

嬉しいような、そうでは無くとても嬉しいような…、いや僕はエライザ一筋だ。

落ち着こう。

僕に魔力が流入しだした。

順調にいっているぞ。

でもルナさん…、近い、近いよ!

そんな頬を染めた、照れた仕草を見せないでよ。

あ、魔力が満たされた。

もう終わって大丈夫だよ。

僕は、遠くにいる分身体と同時に時空間スキルを使って、時間停止を上書きした。

そして、オリハルコンの棒から離れ、ルナさんに魔力が満たされたことを告げた。

時間に余裕は無い。

停止した時間の中で、ゲイリーの頭部から順番に、血管内の癌細胞を取り除くイメージをしつつ、クリーン・アップの呪文を何度も唱えた。

途中から、ルナさんの時間停止が終了した様子で、ルナさんも動かなくなったが、気にせず足の先まで進めた。

鑑定を行って、血液内の癌細胞を調べたが、予定通りほとんどの癌細胞は取り除かれ、全部でも1000程しか残存していない、成功だ。

時間停止を解除した。

「どうなった?上手くいった?」

「上手くいったよ。ルナさん鑑定してみる?」

「うん…。本当だ!もう1000を切る程しか残っていないわ。成功ね」

さらに、お腹の中を洗浄し、残存する癌細胞をできるだけ除去した。

「さて、後は再建してから、お腹を閉じたら終わりだね。もう少しだ。みんなもう少し頑張って」

「了解。レンも頑張ってね」

僕は、健常なS状結腸を詳細にイメージしながら、切除部にプチヒールをかけ、S状結腸の再生に成功した。

「何これ!治癒魔法で欠損した四肢の再生を見たことがあるけど、腸管も再生するのね」

「鑑定してみて。何も問題ないはずだから…」

「…確かに何も問題ない、健康な腸管ね」

「後は、お腹の壁を順番に治癒していくよ…」

「さあ、これで終わりだ。疲れたね、エライザ、ルナさんありがとう。成功だね」

「レンさん、ありがとう。見事だったわ」

手術は無事に成功し、ゲイリーは救われた。


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