第5話 鑑定
第5話 鑑定
僕達は宿泊施設に到着すると、僕とエライザで一部屋、魔族の人たちで二部屋を借りることになった。
「少し後で、そちらの部屋に行くけど、構わないよね?」
「ええ、少ししたら、ゲイリーの、この部屋に来て」
「分かった」
しばらくしてから、指定された部屋に行った。
ゲイリーという魔族はベッドに横たわっているが、かなり辛そうだ。
「もう鑑定スキルを試してみた?」
「まだよ。今から試してみるわ。ゲイリー呪文を受け入れてね」
魔族の少女は鑑定スキルを使った。
しばらく見ていると、少女は驚いた表情になり、やがて落ち込んだ表情へと変わっていった。
「あなたの言うとおり、鑑定スキルで病状が少し分かったわ…」
「それで、僕にも鑑定させて貰える?」
「僕は構いません…」
「所で、あなたに病気が分かるの?」
「勿論、分からないこともあるかもしれない。でも大体は分かると思うよ」
「そう。それならお願いするわ」
「分かった」
僕は魔族の男の鑑定を行った。
「ちょっと場所を変えて話をしないか?」
「そうね…。じゃあ私たちの部屋に来て。オリビアはゲイリーについていてあげて。イオタは私と一緒に来て」
僕とエライザは魔族の少女の後をついて行き、部屋に入った。
「座って」
「ありがとう。あの失礼だけど、あなた名前は?あっ、僕はレンといいます。で、こちらがエライザ」
「私はルナよ。で、こちらがイオタ。病気なのがゲイリーで、ゲイリーについてくれているのがオリビア」
「ありがとう。ルナさん、ゲイリー君の病状をここで話しても良いかな?」
「私の仲間は信頼できるわ。あなたの仲間のエライザさんが信用できるなら、構わないわ」
「わかった。では、単刀直入に話そう、ゲイリー君の病気は不治の病だ。それもかなり進行していて、このままでは余命は短い…」
「不治の病…、そうね、私の故郷では癌と呼ばれていたわ。進行度合いによっては不治の病よね」
「癌?魔族には癌という概念があるのか?」
「私は知らないわよ…」
「…、言ったでしょう?私の故郷での話よ」
「でも、君は魔族じゃないか?まさか…、転生してきたのか?」
「どうしてそういう発想になるのかは分からないけど…、その通りだわ…」
「そうか…」
僕は考え込んでしまった。
もし目の前の少女が転生者なら、それはしかるべき時、眷属を代表して戦う相手なのかもしれない…。
でも相手は僕を信用して、正体を明かしてくれた。
僕も正体を明かすべきか…。
これは本来なら女神様案件だな…。
そう思いつつ、女神様に心の中で一言断りを入れてから、正体を明かした。
「僕も実は転生者なんだ…」
「レン!」
「ああ、分かっているよ。でも誠意には誠意で答えなければいけないよ…」
「僕の故郷でも癌と呼ばれていた病気だ。それもかなり進行していて、進行度はⅣになる。向こうの世界でも手に負えない状態さ」
「!!じゃあ手の施しようがないの?」
「通常ならね…。普通なら向こうの世界でも、こちらの世界でも手の施しようがない」
「じゃあ通常じゃない方法っていうのは?」
「あるにはある。でも、それをするには、問題がある…」
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