表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
144/233

第4話 出会い

第4話 出会い

上陸すれば直ぐに良くなると考えられたゲイリーの体調だが、しばらく経っても良くなる様子がなかった。

私たちは心配な気持ちのまま、鉱山都市にたどり着いた。

ゲイリーは、ここ何日も食事が十分にとれていない。

顔色は目に見えて悪くなってきているように思う。

「オリビア、この世界には病気を診断したり、治す所はないの?」

「私たちの国にはないし、おそらくここにもないと思う…」

「何度も治癒魔法をかけたけど、効果がないし、本当にどうすれば良いのかしら?」

「…済みません。心配をおかけして…」

町の中をしばらく移動していると、私の索敵スキルで、二人の手練れが近づいてきているのが分かった。

「みんな気をつけて、手練れが二人近づいてくるわ。大人しく静観していましょう」

しかし向こうもこちらに気づいているようで、こちらにどんどん近づいてくる。

その時、ゲイリーが急に立ち止まって、吐きそうにしている。

「ゲイリー、大丈夫?ちょっと脇に避けて座りましょう」

通りの端に移動し、人目を避けようとしたが、相手の手練れはそのままこちらに向かってくる。

こんな所で戦闘なんて出来ないわ…。

逃げる?でもゲイリーがいるから無理ね…。

しらを切るしかないかしら…。

                  *

僕達は、ユリアス山脈の西側を北上し、トゥーレの迷宮から比較的近い鉱山都市ドゥーハンにやって来た。

すると、僕の索敵スキルで、魔族の存在が確認された。

「エライザ、たとえドワーフ王国であっても、魔族がユリアス大陸にいるのはおかしな事だよね?」

「そうね。でも、ドワーフ王国は魔族と鉱物の取引をしているという噂があるわ。もしかしたら、それは本当のことかもしれないわね」

「それなら、善良といって良いのか分からないけど、戦闘目的ではない可能性があるのか…。とにかく近づいてみよう」

「分かったわ。ここで戦闘は出来ないから、穏便に行きましょう」

「分かっているよ」

僕達はゆっくりと魔族に近づいていったが、魔族の一人の様子が何だかおかしい。

「何だかあの魔族は体調が悪そうね」

「うん、よく見えないが、痩せこけているようにも見える…。放っておけない、声をかけてみよう」

「慎重にね」

「分かっているよ」

僕はゆっくりと魔族に近づき、その中の一番年上に見える女性に声をかけた。

「突然のことで、失礼します。そちらの方の体調が優れないようですが、お手伝いできることはありませんか?当方には、少し病気に対する知識があります。もしかしたら、お役に立てる事があるかもしれません」

僕が声をかけると、驚いた表情を見せ、それから近くにいた紫色の髪の少女と目配せをした。

「お気遣い有り難う御座います。でも、自分たちで何とかします、お気遣いなさらぬよう」と薄紫色の髪の少女が答えた。

「…そうですか…」

僕はサイレススペルを唱えた。

「いきなり魔法をかけるとは、何するのよ!」

「これは失礼。これは僕達の会話が聞こえなくする魔法です。害はないから安心して。話を聞いてくれませんか?」

「…分かったわ」

「君たちは魔族ですね?」

「…」

「ここでは戦うつもりはないから、安心して下さい。僕には鑑定スキルがあってね、それで、その人の病状が分かると思います」

「私も鑑定スキルがあるけど、そんなこと聞いたこともないわよ。本当なの?」

「ああ…もう砕けたしゃべり方で良いよね?何なら一回試してごらんよ。でもその前に、この往来の激しい場所でそんなことは出来ないから、宿泊施設に移動しないか?」

「あなたは、私たちが魔族と知っていても、助けてくれるというの?」

「そうだよ。僕も正直どうするか迷ったんだけど、病気で苦しむ人を放っておけない」

「…分かったわ。今は信じるわ」

「それじゃあ、どこか宿泊施設に移動しよう」

「分かったわ。みんな、そういう事だからついて行きましょう」

「分かったわ」


読んで頂き有り難う御座います。宜しければ、高評価、ブックマーク登録をお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ