第3章 第1話 手紙
第3章
第1話 手紙
僕とエライザは、ヴェリス、フェリーナと別れた後、ギルドのマーリン支部に立ち寄った。
そこで、ギルドマスター、メンデスそして両親に、事の経緯とこれからの予定を書いた手紙を送った。
それから、休む間もないまま、人目につかないように注意しつつ、リベリスポート行きの船に乗り込んだ。
今のところ、誰かにつけられている様子はない。
しかし、油断は禁物だ。
リベリスポートでは、監視の目があるに違いないのだ。
船内の一室で、盗聴防止のための魔法をかけてから、今後の予定をエライザと話し合った。
「レン、この後、リーズ村を経由してホクト海に向かうのね?それならどうして、ご両親に手紙を送ったの?どうせ会うのに」
「王都もしくはリーズ村に立ち寄るのは、リスクが高いと思うんだ。僕達が、ホクト海へ向かうことを、相手は知っているからね。だからリーズ村にも寄らないつもりだよ。リベリスポートから西に向かって諸国連合に入国し、ユリアス山脈の西側を北上して、ホクト海に向かうつもりだよ」
「成る程…。サーシャ達とはどう連絡を取るつもりなの?」
「それはね、一体の分身体を、リーズ村経由でホクト海に派遣するよ」
「分身体を囮にする訳ね?」
「そうとも言えるね。もし捕まっても何の問題もないし…。入れ替われば両親とも会えるし。」
「確かに、その方が良いかもね」
「それに、迷宮は僕達二人で十分に攻略できるよ。だから、サーシャ達と同じ迷宮を攻略しなくても良いと思うんだ。その方が効率的でしょ?」
「それもそうね」
リベリスポートに着いた僕達は、人目を避けるように西に向かった。
一方、分身体は、王都リベリスの城郭内を通らず、直接リーズ村へと向かった。
*
「ディア、レンから手紙が届いたよ」
「あら、どうしたのかしら?読んでみて」
「うん…。何だって!レンが反国王派に拉致されていたらしい。もう既に脱出には成功しているらしいが、まだ狙われる可能性があるから、しばらく王国を離れるらしい。分身体がリーズ村を訪れるから宜しくって、これはどういう事かな?」
「分からないわ。でも、レンが帰ってくるかもしれないって事ね。また頑張って準備をしなきゃ」
*
「サーシャ、みんな、レンから手紙が届いたよ」
「メンデス、本当?それでなんて?」
「無事にレベルアップを果たして、アークニート迷宮を攻略したって。でも反国王派に拉致される事件が起こって、拉致から逃れることは出来たけど、まだ狙われるかもしれないから、しばらくは王国を離れ、ホクト三迷宮の攻略に来るらしい」
「ん、流石レン。ボク達と合流?」
「それは、危険が及ぶかもしれないから、どうなるか分からないみたい」
「ん、分かった」
「レン達は流石ね。負けていられないわ。私たちも頑張らなくちゃ。しかし拉致って…。また、レン達と共に戦うのが楽しみね」
*
レンから手紙が届いた。
それを読んでみると、とんでもない事件が起こっていたようだ。
迷宮攻略の瞬間を狙って、反国王派の連中が、レンのパーティーを拉致したらしい。
みんな無事に逃れることが出来たようだが、また狙われる危険性があるとのことで、レンとエライザ様はしばらく王国を離れるらしい。
…これは、反国王派には知られないように上層部に報告せねばならない。
さて、どうしたものか…。
(下に、ユリアス大陸の概略図を載せておきます)
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