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第50話 別荘

第50話 別荘

私たちは、竜山街道を北へ進んだ。

しばらく行くと、竜山街道は分岐し、西と北に行く街道に分かれている。

西側を行けば、セントレア湖と銀竜山脈の間を通る南セントレア街道となり、北へ行けば、セントレア湖と金竜山脈の間を通る竜山街道の続きとなっている。

私たちは、女神様の導きに従い、北へと進んでいった。

「右手には雄大な金竜山脈、左手には日差しにきらめくセントレア湖、これは素晴らしい景色ね」

「ええ、この辺りは、かつては貴族達の別荘地だったの。大きな屋敷が点在しているでしょう?」

「本当ね。素敵だわ。平和な時にゆっくり訪れたいわ」

綺麗な水面の一部には、大きな葉の浮葉植物が白い花をつけている。

金竜山脈から吹き下ろす風は、心地よく頬をなぞり、湖に抜けていった。

湖畔の景色は、前世の故郷を思い出させ、私は少し感傷的になってしまった。

「でも、そんなことを言ってはいられないわね。魔法を探さなきゃ。何か心当たりはない?」

「僕には特に心当たりはないな」

「私にもないわ。イオタは?」

「実はこの近くに私の家の別荘があるの。今は誰もいないけど、まずはそこによって、休憩しながら書庫を探ってみましょう」

「えっ、イオタってお嬢様だったの?」

「あら?言ってなかったかしら?まあ、大したことは無いんだけれど、家は一応子爵家なのよ。でも気にしないで。私は、家よりも仲間の方が大切だから、今まで通りに接して欲しい」

「そうだったの?では、今まで通りにさせて貰うわね」

「僕もそうさせて貰うよ」

「勿論よ。ルナは異世界人で、勇者様だから、私が子爵家であろうと無かろうと関係ないわね」

「自分で言うのも変な話だけれど、勇者ってそんなに偉いものなの?」

「当たり前じゃない!魔族の英雄にして、魔族を導くもの。女神ベス様から私たち魔族へ与えられた、最高の希望」

「そんな風に言われると、何だか落ち着かないわね」

「それだけルナは期待されているし、実際、凄い能力を持っていて、私たちの希望を叶えようとしている」

「改めて、勇者ルナ様、私たち三人はあなたに付き従います。何卒よろしくお願いいたします」

「何よいきなり…ええ、これからも宜しく」

しばらくイオタの案内に従い進んでいくと、セントレア湖畔の一角に豪華な屋敷が見えてきた。

「あそこが、我が家の別荘よ。あともう少しだわ。ついて来て」

もうしばらく歩いて、イオタの別荘に着いた。

イオタは何やら呪文を唱えると、扉が開いた。

セキュリティーのため、通常使われるオープン・ゲートの呪文では開かないようになっているらしい。

私たちは、イオタに案内され屋敷の内部に入っていった。

入って直ぐの玄関部分は、吹き抜けとなっており、広い空間が確保されている。

照明は豪華なシャンデリアが定まった距離を置いて並んでおり、床はふかふかなカーペットで敷き詰められている。

広い廊下を少し歩いていくと、左手がリビングルームとなっており、中に入ると豪華なソファが並んでいた。

「ここでしばらくくつろいでいて。お茶でも用意するわ」

「あっ、私も手伝うわ」

「ルナは駄目よ。じゃあゲイリー手伝いに来て」

「分かったよ」

イオタとゲイリーが出て行くと、オリビアと二人きりになり、魔法談義となった。

「時魔法を使いながら、良くニュークリア・バーストの魔法を二発も唱えたものね。魔力切れは大丈夫だったの?」

「本当はね、それに加えてスリプルの魔法、アイシクルバレットの魔法、ホイッピング・ロックスの魔法も使ったの。それで魔力切れギリギリだったわ」

「!!そんなにも…。本当に不甲斐なくてごめんね。ルナに凄く頼りすぎている…。私たちも何とかしなくちゃ…」

「気に病むことは無いわ。それぞれが出来ることを頑張ってやっているんだもの。それぞれに役割を果たしているわ」

「ありがとう、ルナ。私もっと頑張るわ」


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