第48話 これから
第48話 これから
魔方陣を使うと、予想通りに外に出ることが出来た。
丁度、入り口と正反対の、迷宮の北にあたる位置である。
「さあキャンプをはって休みましょう。ゲイリーは食材の調達をお願いできる?」
「ああ、大丈夫だよ。どうせ僕は…」
「ちょっと、つまらないことを言わないでよ。良い食材をお願いね」
「ああ、行ってくるよ」
ゲイリーは、食材集めをかなり頑張ったのかもしれない。
ファイティング・ブルという牛に似た魔物を一頭狩ってきた。
「お待ちどおさま。直ぐに下準備をするよ。少し待っていてよ」
ゲイリーがファイティング・ブルを捌きにいった。
しばらくして、私たちは、ファイティング・ブルの肉を焼きながら、今後の相談をはじめた。
「さて、この後どうする?直ぐに王都バースに向かっても、まだ私たちでは魔王と戦えない気がするの。もう少しレベルアップが必要じゃないかしら?」
「同意見だね。それに、ルナはもっと強い剣が欲しいんだろ?すべてを終わらせる剣といわれる、ターミネーターを取りに行こう」
「そうね。レベルアップをしながら、最強の剣を取りに行く、一石二鳥ね。それで、ターミネーターはどこにあるの?」
「北嶺山脈にある洞窟の中にあると言われているわ」
「前に書いた地図を覚えている?」
「なんとなくは…。でも詳細は分からないわ」
「じゃあもう一度書くよ」
「王都バースの近くは危険だわ。ここからなら、セントレア湖の東を通って、王都の北を迂回していくルートが良いかもね」
「ポートリアを通って、砂漠を縦断するのも、一つの選択肢だと思うよ。ポートリアは今は誰もいないだろうけど、施設が残っているから、ゆっくりと休むことができるかもしれない」
「その分、敵に見つかる危険性が高くない?」
「どうだろうね…。距離的なことを考えたら、北のルートの方が近いね。距離が長くなる程、敵に見つかりやすくなる。ただ、僕達がターミネーターを取りに行くとは考えてないかもしれないよ。それならセントレアの南側を警戒しているかもしれないよ?」
「そうね。そもそも、魔王ってどんな手下がいるのかしら?」
「それについては分からないわ。魔王討伐隊はほぼ全滅してしまったもの。情報は乏しいの」
「じゃあ、あまり考えても仕方がないという事ね。それなら、厳しい砂漠越えをしなくて済む北のルートにしましょう」
「それより、魔王対策を講じないといけないわね。ドラゴン・ロードには時魔法を使わせずに勝てたけど、これは作戦が上手くはまったおかげよね。普通に考えて、魔王が時魔法を使えないわけがないし、じっくりと作戦を練る必要がありそうね」
その後、ファイティング・ブルの焼き肉を食べながら、一人黙り込み、魔王に対する作戦を考えていた…。
武勇高きジェスター様が為す術もなく殺され、その他の隊員達は魔王の前に立つことさえ出来なかったという事実は、魔王が時魔法を使える証左のように思う。
ドラゴン・ロードとの対戦のように、相手に時魔法を使わせない戦いが理想的だが、それは難しい可能性が高い。
それならば、時魔法発動下での戦闘を考えねばならない…。
魔王をも倒せる魔法を身につける?
そもそもそんな魔法があるかどうかも分からない…。
剣技を鍛えた上で、最強の剣を手に入れ、魔王に挑む?
最強の剣は手に入れられるとしても、剣技を磨いて、どうにか出来る相手なのであろうか…?
また剣を磨く相手として、ゲイリーは心許ない。
そうとなれば、時魔法を使わずとも勝てるまで、この迷宮で剣の修行を続けるのも、ありかもしれない。
ただその場合はやはり時間との戦いになっていくだろう。
それほど時間的な余裕があるわけでもない。
いろいろ問題があって難しい…。
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