第47話 終了
第47話 終了
もうすぐストップ・タイムが終了する。
体感的にそう感じた私は、ドラゴン・ロードから距離を取り、ニュークリア・バーストの魔法を二度発動させた。
それに伴い、魔力切れの兆候が出始めた。
頭がクラクラする。
でも、まだ戦闘は終わっていない。
私は、ストップ・タイムが終了するまでのわずかな時間を、魔素の吸収に費やした。
まだ戦える。
ストップ・タイムが終わり、時間がゆっくりと流れ始めた。
ニュークリア・バースト二連発の炎に焼かれながらも、ドラゴン・ロードの詠唱が再開された。
しかしその詠唱は、魔法のダメージもあって、たどたどしくゆっくりとしたものだった。
それでも危険だ。
早くあの詠唱を止めて!私は心の中で叫んだ。
その時、核の炎が骨板を失った背部から、ドラゴン・ロードの体内を焼き始めた。
!!
ドラゴン・ロードが炎に包まれている今、私もゲイリーも、見守る事しか出来ない。
そこに、オリビアがニュークリア・バーストの魔法を更に発動した。
それで、衰えはじめていた炎に勢いが戻った。
ドラゴン・ロードは大きなダメージを負ったため、魔法への抵抗力を失ったのかもしれない。
遂に、イオタのサイレントの魔法がドラゴン・ロードの魔法を封じる事に成功した。
これで、ニュークリア・バーストの心配がなくなった。
後は、炎が消えてから全力攻撃するのみだ。
しかしその必要はなかった。
ニュークリア・バーストの炎が、内外からドラゴン・ロードを焼き尽くし、ドラゴン・ロードを倒すことに成功したのだ。
「やったわ!」
「ああ、タフな戦いだった」
「これは、みんなで力を合わせた結果の勝利よね?」
「間違いなくそうよ。誰が欠けても勝てなかったかもしれない」
「そうよね!」
みんなで喜びを分かち合っていると、ドラゴン・ロードが消滅し、宝箱と魔方陣が現れた。
「宝箱と魔方陣よ。誰か宝箱を開けられる?」
「ここは僕が開けよう。みんな下がっていて。罠が発動するかもしれないから」
「ゲイリー、大丈夫?」
「ああ、任せて」
「じゃあ、お願い」
ゲイリーは思いきって宝箱を開けた。
幸いなことに、宝箱に罠はなかった。
中には、ラント迷宮攻略の証があるのみだった。
「何これ?これ価値があるの?」
「迷宮を攻略した証だね。これを手にしたのは僕達が初めてだから、これから価値が出るかもよ」
「まあ大切に保管しておきましょう」
「魔方陣は外に出るためのものかな?」
「そうだろうね」
「じゃあ外に出て、休憩しましょう。私はヘトヘトだわ」
「そうしましょう、私ももう限界」
「私もそう」
「…まだ元気なのは僕だけ?」
「だってゲイリーは…」
「イオタ、それ以上は言っては駄目よ」
「…うん」
ゲイリー「…」
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