第46話 戦闘
第46話 戦闘
ドラゴン・ロードまでの距離は30m程。
今の私なら、二秒程の距離である。
視線を合わせると、言葉を交わすまでもなく、私とゲイリーはドラゴン・ロードに向かって走り出した。
ドラゴン・ロードは、そんな私たちに炎のブレス攻撃をしてきた。
私とゲイリーは左右に分かれ、炎から逃れつつ、ドラゴン・ロードに斬り込んでいった。
ゲイリーはドラゴン・ロードを引きつけるように、大きな動作で斬りつけている。
イオタはプロテクトの魔法をかけてから、サイレントの魔法の詠唱を始めた。
オリビアは魔法を放つタイミングを見計らっている。
私は背後にまわり、尻尾の攻撃を避けつつ、尻尾の付け根に斬撃を加えた。
しかし、ドラゴン・ロードの鱗は、他のドラゴンと比べても遙かに強固で、容易にダメージを与える事が出来ない。
ドラゴン・ロードはニュークリア・バーストの魔法を唱え始めた。
そのタイミングを待って、オリビアが警告を発した。
私たちが退避すると共に、ホールドしていたニュークリア・バーストの魔法を発動させた。
核の炎に焼かれるドラゴン・ロード…。
…しかし、その詠唱は止まらない。
魔法の炎により、私もゲイリーも、ドラゴン・ロードに近づけない。
イオタのサイレントの魔法が発動したが、抵抗されてしまった。
私はたまらず、スロー・タイムを発動させた。
ドラゴン・ロードがスロー・タイムを使うまでは温存するはずだったのに、予定外の行動である。
しかし、運は私たちに味方した。
ドラゴン・ロードはニュークリア・バーストの魔法の詠唱を開始していたので、スロー・タイムを発動させる事がなく、そのまま詠唱を継続している。
私は、スリプルの魔法を連続で発動させた。
何度も何度も、ドラゴン・ロードが眠りに落ちるまで発動を繰り返し、とうとう眠りに落とす事が出来た。
その時ニュークリア・バーストの炎が消失した。
オリビアが、再びニュークリア・バーストの魔法の詠唱を開始した。
イオタは、サイレントの魔法を繰り返し詠唱し、発動している。
ゲイリーは躊躇しながらも、攻撃の手を休めたままだ。
睡眠という状態異常は、解除されやすいので、効果の乏しい攻撃で、目を覚ますのを恐れたのだ。
ここが勝負所だ。
眠っている今なら、ドラゴン・ロードはストップ・タイムを発動させる事は出来ないだろう。
時間が止まっているときに、目が覚めることはあるのだろうか?
出来ないはずだ。
私は、ゲイリーに退却を促し、退却を確認してから、ストップ・タイムを発動させた。
それにより、時間の流れが止まった。
ドラゴン・ロードはオリビアのニュークリア・バーストの炎で焼かれたにもかかわらず、大きなダメージを負ったようには見えない。
私は、アイシクルバレットという氷の弾丸魔法を背中の骨板に向けて発動させた。
私の前世の知識では、骨板はステゴサウルスなどの恐竜に見られ、そこには血管が豊富に走っており、体温調節に一役買っているのではないかと考えられていた。
アイシクルバレットの魔法で、体温を急激に冷やすと共に、炎で焼いた後に急激に冷やす事で、骨板の損傷を期待したのである。
狙い通りだ。
骨板は急激に冷やされ、ひび割れを起している。
更に私は、広範囲に岩の弾を放射する魔法であるホイッピング・ロックスの魔法を、骨板に向かって発動させ、骨板を破壊する事に成功した。
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