第45話 ドラゴン・ロード
第45話 ドラゴン・ロード
目が覚めた。
体調は万全である。
魔力も体力も完全に回復している。
私は、心の中で女神様に感謝した。
この迷宮のボスはドラゴン・ロードであるという。
それは、チート級の魔法である時魔法を使う強敵であるという。
女神様は、切り札の使い所に注意するようにおっしゃった。
私の切り札は時魔法だ。
その中でも、ストップ・タイムが本当の切り札だ。
これの使い所?
もし、ドラゴン・ロードがストップ・タイムを使う事が出来たなら、その効果時間が私と同じかそれより長いなら、先にストップ・タイムを使うと圧倒的に不利になる…。
勿論、ドラゴン・ロードがスロー・タイムしか使えない可能性もあるが、やはり使える前提で考えるべきだ。
スロー・タイムに関しても、ドラゴン・ロードの方が効果時間が長い可能性もある。
スロー・タイムやストップ・タイムをドラゴン・ロードに先に使わせる方法…。
あるいは、ストップ・タイムを使えないようにする方法…。
そんな方法はあるのだろうか…?
私はしばらく逡巡していたが、一人で決心した。
その時、ちょうどみんなが目覚めはじめた。
みんなぐっすりと休めたようで、体調は万全であるようだ。
私は、みんなを集めると、自分の考えを説明した。
その後、少し緊張した面持ちで軽い食事を済ませ、気合いを入れ直してから、進み出した。
私たちは、通路を北に進み、扉をくぐって右に折れ、二つの扉のあったところまで戻ってきた。
さらに西の扉の方をしばらく進んで行き、いくつかの扉を通っていくと、第五層に上る階段があった。
「この階段を上って第五層に行くと、広い部屋になっていて、ボスであるドラゴン・ロードがいるという事だわ。時魔法を使う強敵だけど、負けるつもりはない。みんな、心していくわよ!」
「おう!」
気合いと共に、私たちは第五層へと上る階段を上がっていった。
第五層に上ると、そこは大きな正方形の部屋となっており、その北東の角付近に出てきた。
ボスの気配は、私たちの対角線上、南西の方角に感じた。
その圧倒的な存在感に、気圧されそうになる。
「みんな、気を強く持って。行くわよ!」
私たちは進み始めた。
まだ距離が50m程ある。
私たちは、ドラゴン・ロードに向かってゆっくりと歩いていく。
ドラゴン・ロードは、私たちの存在に気づいているが、特に動きを見せていない。
私たちを、取るに足らない存在だと思っているのだろうか?
それとも、めったに訪れる事のない侵入者を、見定めているのだろうか?
私たちは、それぞれに準備を進めながら、近づいていった。
あと30m程の距離にまでやって来た。
ドラゴン・ロードは、まだ動く気配をみせていない。
しかし、近づけば近づく程、その威容に圧倒されそうだ。
大きさは、7m程はあるだろうか。
鱗は、深緑色をしており、暗闇に溶け込んでいる。
頭の上に大小四本の角があり、背中から尻尾にかけて多数の骨板が並んでいる。
その時、背中にある一対の羽が羽ばたいた。
それと共に、より大きな圧力が私たちに襲いかかってくる。
私たちは身構えて、一旦立ち止まった。
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